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「早起きして勉強しよう」朝活を始めた30代男性→通勤中に激しいめまいと動悸で倒れ…その後、告げられた“思わぬ診断結果”

  • 2026.5.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆様こんにちは。日々、患者さんの睡眠と自律神経に向き合う、睡眠コンサルタントで麻酔科専門医の松岡です。

「できるビジネスパーソンは朝活をしている。明日から早起きして勉強しよう」

スキルアップのため、夜遅くまで働きながらも早起きをして朝活を始めた30代男性のAさん。日中は強烈な眠気に襲われますが、「せっかく早起きしたのに、うとうとしては意味がない」とコーヒーを何杯も飲んで無理を重ねていました。

しかし数ヶ月後、Aさんは通勤途中に激しいめまいと動悸で倒れてしまいます。診断は、重度のうつ病と高血圧。現在は休職を余儀なくされ、自信を失った日常に苦しんでいます。

今回は、誰もが一度は憧れる「朝活」に潜む、脳と身体の罠について解説します。

無理な早起きは、脳と自律神経への「過酷なダメージ」

朝の時間を有効に使うのは素晴らしい習慣ですし、余裕を持って一日を始めるのは気持ちが良いものです。朝活自体が悪いわけではありません。

危険なのは、「十分な睡眠時間を確保しないまま、起床時間だけを早める」ことです。これが続くと、脳と血管に大きなダメージを与えてしまいます。

【睡眠負債が自律神経を崩壊させるフロー】
・無理な早起きで、脳に日々の睡眠不足(睡眠負債)が借金のように蓄積する
・休日の寝だめにより、体内時計が生活リズムとずれる「社会的時差ボケ」に陥る
・交感神経が常に緊張した状態となり、血圧が異常に上昇する
・脳と体が回復する時間が奪われ、うつ病や心血管疾患を発症する

カフェインに潜む罠

コーヒーを片手に奮起するのは、あなたの高い向上心ゆえです。しかし、眠気をカフェインで散らし続けるのは非常に危険です。

疲労した体は、脳を休ませるために眠気を誘う物質を出します。カフェインは、その物質が脳のスイッチ(受容体)に結合するのをブロックし、一時的に眠気を感じなくさせているだけなのです。

決して「疲労が回復した」わけではありません。あなたが眠いのは気合が足りないからではなく、脳と自律神経が限界を訴えている証拠です。

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

「慣れるまでの辛抱だ」と誤認して脳を限界まで追い込まないよう、危険なサインを知っておくことが不可欠です。以下の症状を見逃さないでください。

1.休日の起床時間が、平日よりも「2時間以上」遅い

平日の睡眠不足を休日の寝だめで補おうとしている証拠であり、体内時計が狂う最大の原因です。

2.午前中からコーヒーやエナジードリンクが手放せない

慢性的な疲労を、カフェインの覚醒作用で無理やり覆い隠している危険な状態です。

3.会議中や運転中など、ふとした瞬間に意識が飛ぶ

医学的に「マイクロスリープ(微小睡眠)」と呼ばれる、脳が強制シャットダウンを起こす睡眠不足の極期サインです。

確かな「睡眠」こそが、質の高い「朝活」を実現する

朝活を成功させる鍵は、朝ではなく「前日の夜」にあります。まずは大人の睡眠の目安として最低限必要とされる「6時間以上」の睡眠時間を確保すること。その上で、夕方以降のカフェインを控えるなど、睡眠の質を高めることから始めてみましょう。

なお、厚生労働省の健康基準でも、平日に最低限の睡眠を確保した上で、休日に少し(1時間程度)多めに眠ることは健康維持に役立つとされています。ただし、前述の通り「2時間以上の寝坊」は逆効果になるため注意が必要です。

睡眠時間をしっかり確保しているにもかかわらず、どうしても日中の強い眠気が取れない時は、自己判断せずに睡眠外来や心療内科を受診してください。前向きな向上心を守るためにも、まずは「正しい睡眠」という土台から作っていきましょう。


※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。睡眠障害や心身の不調を感じる場合は、自己判断せず、速やかに医療機関(睡眠外来、心療内科、精神科など)を受診してください。

監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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