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「寝かせておくのはもったいない」銀行員の勧めで“貯金1000万円”を投資へ→1年半後、30代女性が通帳を見て“青ざめたワケ”

  • 2026.4.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

筆者が銀行員時代に相談を受けた話です。

よく仕事の関係で銀行に来店する30代独身女性・A子さん(仮名)が、珍しく私服で銀行に来店され、私をみつけるなり話しかけてきました。

「今日は仕事が休みなんです。ちょっと周りに相談できないことがあって・・・」。私は外出予定があったものの、いつも明るいはずのA子さんの沈んだ表情をみて「これは、相談に乗らなくては」と直感的に感じ、相談を受けました。

コツコツ貯めた1,000万円を人気の毎月分配型投資信託へ

A子さんはある日、給与振込や生活費決済で利用しているB銀行の窓口で声をかけられたそうです。

「A子さま。これだけ口座に残高があるのに寝かせておくのはもったいないと思います。資産運用にご興味はございませんか?」

A子さんは実家暮らしで倹約家ということもあり、コツコツと貯めてきた預金が一千数百万円あったそうです。

銀行員が勧めてきたのは、毎月分配型投資信託Cファンドでした。当時、Cファンドは「高い分配金が得られる」と大人気。1,000万円あたり毎月約3万円ほどの分配金を受け取れたほか、運用実績に応じて、多い時には数十万円のボーナス分配が行われていました。

A子さんは、高い分配金に魅力を感じただけでなく、銀行から勧められた安心感から、Cファンドを1,000万円購入しました。

当時A子さんは、「毎月の分配金は旅行やちょっとした贅沢に使おう。高額なボーナス分配は貯蓄に回して将来に備えよう」と考えていたそうです。

その後、A子さんは期待どおりに分配金を受け取り、「こんなに簡単にお金が増えるのか。なぜ、もっと早く投資しなかったのだろう」と考え、家族や知人に「こんな商品があるよ」と勧めたといいます。

投資した1,000万円がわずか400万円に!

ところが、A子さんがCファンドを購入して約1年半後、未曾有の金融危機が発生し、世界経済は大混乱に陥ります。いわゆるリーマン・ショックです。

全世界株式の価格が約60%下落する中、A子さんが保有するCファンドも基準価額がズルズルと値を下げ、60%を超える下落となりました。

つまり、時価評価額で見ると投資した1,000万円が400万円以下になってしまったのです。それまで景気よく出ていたボーナス分配もピタリと止まり、毎月の分配金も大幅に減額。A子さんの夢は一瞬で崩れ去りました。

A子さんからは、「TETSUさん、どうしたらよいのでしょうか?ここまで値下がりしてしまったので解約できません」「購入したB銀行に問い合わせても『基準価額の回復を待つしかない』の一点張りで…」と相談を受けました。

正直な話、私もどうするべきか明確な答えは出せませんでした。「どれくらいの期間で、どの程度回復するのか分からない」「もっと下落する可能性すらある」と考えたからです。

その後、私は転勤したため、A子さんとお会いする機会はなくなりましたが、たまに「A子さんはどうしたのだろうか?」と思い出すことがあります。

金融機関の「セールストーク」の裏側

今回の事例のように、時価評価額が激減し、受け取った分配金を加味しても資産の半分以上を失ってしまうケースは、運用益を切り崩して分配を出す「毎月分配型」では珍しいことではありません。

最後に、元銀行員としてお伝えしたいのは、金融機関が勧めてくる商品は必ずしも「顧客の利益」が最優先とは限らないという現実です。金融機関もビジネスである以上、販売手数料が高い商品や、キャンペーン対象の商品が優先的に提案される構造的な側面があります。

もし資産運用を始めるのであれば、セールストークを鵜呑みにせず、以下のポイントを意識してください。

  • 複数の金融機関や商品を比較すること
  • 「分配金」がどこから支払われているのか仕組みを理解すること
  • 特定の金融機関に属さない「独立系FP」へセカンドオピニオンを求めること

大切な資産を守れるのは、自分自身の冷静な判断だけなのです。


※記事内のエピソードは個人の事例であり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。
※資産運用には元本割れのリスクがあります。実際の投資判断や契約に際しては、必ずご自身で最新の一次情報を確認し、必要に応じて専門家へご相談のうえ、自己の責任において行ってください。

執筆:TETSU
元銀行員、保険会社勤務後、専業Webライターとして活躍。