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母から“不動産”を生前贈与で受け取り→「制度を使ったので贈与税はゼロ」のはずが…6ヶ月後、30代娘に届いた“1通の通知”に絶句

  • 2026.5.1
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

私が過去に不動産取得税の実務に携わっていたときの話です。

不動産取得税とは、土地や建物といった不動産を売買や贈与などで取得したときに課税される都道府県の税金です。不動産を持っていると毎年かかる固定資産税とは別の税金で、取得したことに対して一度だけ発生します。

取得したときだけしか税金が発生しないので、不動産売買などの事業を行っている方以外は馴染みがないものかと思います。そのため、固定資産税や贈与税のように、節税対策の意識が向きにくく、次のようなご意見をいただくことも多いです。

相談事例:「贈与税はゼロのはずなのに、なぜ通知が届くの?」

「相続時精算課税制度を使ったので、贈与税はゼロでした。なのに、なぜ不動産取得税の通知が届くのですか?」

30代の女性は母親から生前贈与を受け、その際に贈与税の軽減制度の一つである相続時精算課税制度を利用して、贈与税が発生しなかったようです。

それにもかかわらず、贈与から約半年が経過したタイミングで不動産取得税の通知が届いたことに疑問を持ち、こちらへ連絡をいただきました。

不動産取得税の通知は、都道府県によって異なりますが、取得後おおむね4~6か月後に届きます。
ここに、贈与税と不動産取得税の制度の違いによって生まれた「落とし穴」があります。

贈与税と不動産取得税・制度の決定的な違い

相続時精算課税制度は、親などからの生前贈与について利用できる制度で、贈与時点の贈与税の納税を将来の相続時まで繰り延べる仕組みです。

生前贈与を受けた不動産の評価額から基礎控除110万円と、特別控除の最大2,500万円を引くことができます。
評価額が残れば、これに対して20%の税率を乗じて税額を算出しますが、0円になり贈与税が発生しない方もいます。

贈与税がかからないことがわかって、ホッとする方も多いでしょう。
しかし、不動産取得税には相続時精算課税制度のような生前贈与に対する軽減措置はありません。不動産の所有権が移れば、取得者に対して不動産取得税がかけられます。

親からの贈与を行う際、真っ先に思い浮かぶのが贈与税で、あまり馴染みのない不動産取得税まで考えが及ぶ方は少ないのです。

「生前贈与」は相続ではない?非課税にならない理由

「贈与税は相続時精算課税を使ったので、相続なら不動産取得税はかからないのでは?」
彼女はこう続けました。

不動産取得税は「相続」によって取得した場合は非課税となります。
彼女は、親からの生前贈与で実家の土地を取得し、相続時精算課税制度を利用しているので相続扱いになるのではないかと主張しました。

ただ、不動産取得税は相続時精算課税制度を利用していても、生前贈与を行ったのであれば、「贈与」による取得として扱います。
そのため、今回は非課税とはなりません。

別の制度として、不動産取得税の軽減措置も設けられていますが、土地の取得後3年以内に住宅を新築するなどの条件があります。
実家の土地を取得しただけの彼女が満たすことはできなかったため、不動産取得税を納付いただくこととなりました。

生前贈与を検討する際は「出口の税金」まで確認を

親が高齢になり、子どもへ財産を引き継ぐのはよくある話です。特に不動産は亡くなってから引き継ぐと、複数人が共有で相続し、権利関係が複雑になる場合もあります。早めに財産を整理しておくために、生前贈与を活用する人も少なくないでしょう。

「贈与」と聞くと、どうしても贈与税のことばかりが頭に浮かぶと思いますが、税金の落とし穴にはまらないよう、不動産取得税にも意識を向けた上で、贈与を行うようにしてみてください。


執筆:小林ハム
不動産取得税の賦課業務に携わった経験を持つ専門ライター。複雑な税金制度を、実際にあった相談事例を交えて「分かりやすく、自分事として」伝えることを得意とする。