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『ブランド品の偽物』には“ここ”を見て判断してた…。元査定員が明かす、ハイブランド偽物の「意外な見分け方」とは?

  • 2026.4.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

あなたの大切にしているそのブランド品は、本物ですか?
そう問われて、自信をもって答えられるでしょうか。

ブランド品の入手方法は、正規店で購入するだけではありません。

  • 亡くなった母の遺品を整理してきたら出てきた
  • フリマアプリで「正規品」と書かれていたから買った
  • 海外旅行先で安く手に入れた

お客様お手持ちのブランド品の中には、正規品、本物であるという確証がとれないものも存在します。

私がリユース店の買取窓口に立っていた頃、よく受けたのが、「これ、本物ですか?」という質問でした。質問をくださるのは、必ずしも買取を希望されているお客様ばかりではありません。ご自身の大事にしているブランド品が偽物でないことを確かめ、安心したいと考える方もいらっしゃいます。

今回は、かつてリユース業界で査定に従事していた私が、買取窓口で回答に困るご質問についてお話しします。

真贋をお答えできない窓口の事情

持ち込まれたブランド品が本物かどうか。つまり真贋の判定について、買取店でお答えすることはできませんでした。

私が覚えているのは、亡くなったお母さまが大切にされていたバッグを持ってこられた、おそらく40代ごろの女性のことです。年代物のバッグでしたが、当社の基準に照らすと真贋が怪しく、買取ができないことが分かりました。

「買取基準を満たしていないため、お取り扱いできません」とお伝えしましたが、ご納得いただけませんでした。
しばらく黙ってから「偽物ってことですか?」と聞かれましたが、お答えすることができませんでした。見た目はきれいで、かつお母さまが大事にされていた遺品ということで、買取を拒否されたことにショックをうけられたのかもしれません。ご本人には悪意がないだけに、こちらも心苦しいものがありました。

その時は、バックヤードに戻って、形だけもう一度確認してから、同じ言葉をくりかえしました。最終的にはお引き取りいただけましたが、ひどく後味の悪い思い出が今も残っています。

もちろん、我々も意地悪で回答しなかったわけではありません。
そもそも、ブランド品が「本物」だと認定できるのは、その商標権を持っているブランドメーカーのみと法的に決まっています。我々、買取店のスタッフが認定することはできません。

買取店としては、「お預かりした商品がいくらで販売できる見込みがあるか」という判断をしているにすぎないのです(「鑑定」ではなく「査定」という言い方をします)。
コピー品の可能性がある、と判断した場合は、「偽物です」ではなく「当社の買取基準を満たしていない」という理由で買取をお断りしていましたが、納得されないお客様も多かったです。

買取店の担当者が見ているもの

真贋の断定はできないものの、買取ができるかを判断するために担当者は品物を細かくチェックします。確認ポイントはブランドによってさまざまです。

一番持ち込まれる頻度が高く、眼にする機会も多かったのがルイ・ヴィトンでした。

まず確認するのはブランドロゴや製造番号の刻印です。アルファベットと数字の組み合わせで製造時期や工場が分かりますが、フォントの形や打刻の深さなどが均一かどうかには注意を払っていました。偽物の疑いのある品物の場合、刻印が雑なものがあるのです。

また、ヴィトンのバッグのステッチは、手縫い特有のわずかなランダム感があります。ステッチが機械縫い特有のまっすぐすぎるものは、要注意です。

あとは、匂いもチェックするようにと教えられました。
先輩によると、偽物の場合、革の製造工程やキャンバスに粗悪なものがあるようで、本物と比較して薬品のような匂いがするそうです。私はなかなか判別がつきませんでしたが。

ヴィトンは偽物の流通量がとにかく多いブランドです。持ち込まれる件数が多い分、偽物に当たる件数も必然的に多くなる。窓口に立ち始めた頃は「こんなに多いのか」と驚いたものです。

他のブランド、たとえばエルメスの場合は刻印の位置が製造年代によって変わります。金具と革の穴がぴったり合っているかどうかも要チェックですね。コピー品は、ここがわずかにズレていることがあります。

ロレックスは、リューズと呼ばれる時計横のつまみを実際に触ってみます。本物はギザギザが丸みを帯びていて、回しても指が痛くない。偽物は角が立っていて、チクッとすることがあります。リューズを巻き上げた際の感触がガタついている場合は、油が切れている可能性もありますが、クオリティの低い偽物ということもあります。

ただ、最近はコピー品のクオリティも上がってきており、確信が持てない場面も多かったです。スーパーコピーと呼ばれる精巧な偽物も数多く流通しています。

窓口で確信がもてない場合、店としては安全策として買取しないことにしていました。

他にもあった、窓口で困る場面

真贋の話以外でも、窓口でお答えに困る場面はありました。

よくあったのが、「メルカリだともっと高いんですけど」と言われること。スマホの画面を見せながら、「こちらでは5万円で出品されています」。つまりその金額に合わせてほしいということですね。

お気持ちは分かりますが、メルカリは個人同士が取引をする場で、相場はあいまいです。
売っておしまいのメルカリと違い、買取店はマージンを載せて売却をする想定で買取価格を決めているので、そもそも構造が違うのですが、なかなか理解を得るのは難しかったです。

大切なブランド品を守るために

買取ができない・あるいは非常に低い価格を提示せざるを得ないのは、言い換えれば店側で再販することに不安のある商品、ということです。入手経路がイレギュラーだったり、保証書が付属していないなどの理由が多いですね。

品物と一緒に、箱や保証書もお持ちいただくことができれば、買取査定の際に非常に有利に働きます。もしブランド品を手放す可能性が少しでもあるなら、付属品はぜひ捨てずに取っておくことをおすすめします。

手元のブランド品が本物かどうかどうしても確認したいなら、正規ブランドの修理窓口やメンテナンス窓口に持ち込むのが一番確実です。有料の鑑定サービスも存在しますが、本物であることを保証することができるのは、やはりメーカーだけです。

窓口に立っていた頃からずっと感じていたことですが、「どこで買ったか」の時点で、だいたいの話は決まっています。正規店か、信頼できるリユース店か、見知らぬ個人からか。

真贋を調べること自体は悪くないのですが、そこに至る前の話、つまり買い方の選択肢について意識すると、その後の思わぬトラブルを未然に避けられるかもしれません。


ライター:たるみくまお
現在、商社に勤務する現役ビジネスマン兼Webライター。過去にはアパレル・リユース業界に身を置き、店舗での接客およびブランド品・高級時計の査定業務に従事。古物商許可証を保有し、買取窓口の最前線で数多くの「モノと人のドラマ」に触れてきた経験を持つ。現在は商社での法人営業で培ったヒアリング力と、元査定担当としての「真贋や価値を見極める目」を掛け合わせ、二次流通市場のリアルな裏事情や、大切な品の資産価値を守るための正しい知識を分かりやすく解説する執筆を得意としている。

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