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適応障害で休職した30代女性→「少し稼ぐくらいなら…」月3万円で副業を始め…6ヶ月後、健保から届いた通知に“絶句したワケ”

  • 2026.5.1
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。
金融機関でマネージャーを務めながら、家計や社会保険のご相談に日々向き合っている中川です。

「休職中でも、少し稼ぐくらいなら問題ない」そう考える方は少なくありません。

しかし健康保険組合の判断は、想像よりも厳しいものです。

傷病手当金の受給中に「ちょっとしたお小遣い稼ぎ」を始めたことで、一転して返還を求められる事例に出会うこともあります。
今回は、そんな"回復のためのつもり"が裏目に出た30代女性・Aさん(仮名)のケースを紹介します。

月20万円の傷病手当金、療養4か月目に始めた"気分転換"

Aさんは都内の事務職。

適応障害で長期休職に入り、健康保険組合から傷病手当金を受給していました。
月額はおよそ20万円。生活の不安は和らぎ、静かな療養生活を続けていたそうです。

療養4か月目に入った頃、症状は少しずつ落ち着いてきました。

主治医からも「軽い活動なら気分転換によいですね」と言われ、趣味のハンドメイド作品をSNSの販売サイトに出品するようになります。

売上は月に3〜5万円ほど。
「お小遣い程度だし、完全に回復するためのリハビリのようなもの」。
そう考えていたAさんは、健康保険組合への報告は不要だと思い込んでいたといいます。

半年後、健康保険組合から届いた一通の封書

転機は約半年後に訪れました。
健康保険組合から一通の封書が届きます。内容は、傷病手当金の支給要件に関する確認でした。

傷病手当金は「労務不能」な期間にのみ支給される制度です。
発覚の経路は、主に3つあります。第三者からの通報、継続申請時の事業主証明を通じた勤務先からの情報、そして副業収入の申告に伴う住民税の変動を会社が把握するケースも考えられます。
SNSでの継続的な販売は、第三者が気づきやすい情報でもあります。

Aさんの場合も、販売の継続と一定の収益があわせて確認され、「反復継続性と収益性を伴う労務」と評価されました。
結果として、販売を始めた時期以降の傷病手当金およそ60万円の返還を求められ、以降の支給も停止となります。
「少額だから」「回復のためだから」という本人の認識は、制度の判断基準とは無関係だったのです。

通知を手にしたAさんは、しばらく声が出なかったと振り返ります。
「治療のためにと思って始めたことが、生活の支えを削る結果になるとは考えてもいませんでした」。

主治医の許可と、健康保険組合の判定は別物

傷病手当金は、働けない期間の生活を守るための制度です。
反復継続性のある活動や収入は、たとえ少額でも「就労」と判断される可能性があります。

主治医の許可は医学的判断にすぎず、支給要件を満たすかどうかの判定とは別の話です。
基準は健康保険組合によって異なるため、自己判断での線引きは避けるほうが安心でしょう。
悪質性が認められた場合には、返還額に加算金が上乗せされる可能性もあります。

療養中に何か始めたいときは、主治医に相談したうえで、健康保険組合へ事前に確認する習慣をつけるようにしてください。
活動内容・収入見込み・頻度を書き出し、支給要件に抵触しないか担当窓口に尋ねるのが確実です。

「バレなければ大丈夫」ではなく、「事前に聞けば安心」という姿勢こそが、ご自身の療養生活を結果的に守り、安心して回復へ向かう道を開いてくれるのです。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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