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「変動金利のほうが得」住宅購入で3,500万円を借りた30代夫婦→5年後、総返済額が“500万円以上”膨らんだワケ【お金のプロが解説】

  • 2026.4.20
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務の現役マネージャーとして、日々さまざまなお金のご相談に向き合っている中川です。

「住宅ローンは変動金利のほうが低くてお得」と考える方は多くいます。低金利の局面では、毎月の返済額を抑えやすく、家計に余裕が生まれるように見えるのが変動金利です。

しかし、その前提が変わったとき、金利変動は大きな負担につながります。今回は、変動金利を選んだことで総返済額が500万円以上増えた30代夫婦の事例をご紹介します。

変動金利を選んだ「合理的な判断」

今回ご紹介するのは、30代後半のAさんご夫妻です。

借入額は3,500万円、返済期間は35年でした。当時の金利は、変動が約0.5%、固定が約1.2%でした。

「今は支出を抑えたい」

そう考え、営業担当の「当面は大きく上がらない」という説明も後押しとなり、変動金利を選択しました。数字だけを見れば、合理的な判断だったといえます。

数年後に始まった金利上昇

契約から数年は問題なく返済が続いていました。しかし、5年ほど経った頃から状況が変わります。
市場金利の上昇に伴い、住宅ローン金利も引き上げられたのです。

変動金利は見直しが行われても、返済額は一定期間据え置かれる仕組みがあります。そのため、金利が上がったことを実感しにくいのです。

見直しのタイミングで、返済額は一気に増加しました。

毎月の返済額:+1万4,000円

家計への影響は、一気に重くなっていきました。

見えにくい総返済額の増加

問題は、毎月の返済額だけではありませんでした。
試算を確認すると、総返済額は当初より約500万円増加していたのです。

毎月の返済額が1万4,000円増加し、返済は長期間続きます。
Aさんは将来への不安を感じました。金利が上昇していくリスクを実感したのです。

教育費と重なり家計の余裕がなくなる

金利上昇は、教育費が増える時期と重なりました。
習い事や学用品費が増え、将来の進学も控えています。そこに返済額の増加が重なり、貯蓄のペースは鈍化しました。

「家計が苦しい」

そう感じる場面が増えていったといいます。

住宅ローンは「最悪ケース」で考える

今回のポイントは、「金利は上がらない」という誤った認識でした。
住宅ローンの返済は数十年間続きます。その間に金利環境は変わっていくのです。

重要なのは、金利が上昇した場合でも返済を続けられるかを確認することです。
例えば、金利が1%上がった場合の返済額や、総返済額への影響を試算するだけでも判断は変わります。

目先の負担だけでなく、将来の変化を前提に考えることが大切です。

「今の安心」が将来のリスクになる

Aさんご夫妻は返済を続けていますが、「もっと慎重に考えるべきだった」と振り返ります。

変動金利か固定金利かに正解はありません。ただし、どちらを選ぶ場合でもリスクを理解することが重要です。
「今の低金利が続く」と考えるのではなく、「上がるかもしれない」と想定する。その視点が、家計を守ることにつながります。


執筆・監修:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance)
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。 20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。 専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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