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“3,000万円の住宅ローン”を組んだ35歳夫婦→「無料で入れるからお得」団信に加入するが…その後、二人を襲った“想定外の悲劇”

  • 2026.4.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

「団信って、銀行が保険料を払ってくれるんですよね? タダで入れてラッキーだと思っていました」先日、住宅ローンを組んだばかりの35歳男性・Aさん(仮名)から、そんな言葉が出てきました。

しかし、Aさんご夫婦は団体信用生命保険(団信)の仕組みを大きく誤解されていました。「無料」だと思っていたものが、実はしっかりコストとして乗っていたのです。

「タダ」ではなく「見えないだけ」。団信の本当のしくみ

私も以前は「団信は無料で入れるからお得」と考えていました。今思えば脳内お花畑みたいな発想で、お恥ずかしい限りです。

団信とは、ローン返済中に契約者が死亡・高度障害状態になった場合に、残りのローンが保険金で完済される保険です。多くの銀行では「保険料は銀行負担」と説明されますが、これには注意が必要です。

実際には、保険料相当分が金利に織り込まれています。たとえば、団信なしなら金利1.5%のところ、団信込みで1.8%に設定されているようなイメージです。差額の0.3%が「見えない保険料」にあたります。

考えてみれば当然の話で、銀行がタダで保険サービスを提供してくれるわけがありません。コストは必ずどこかに乗っている、それが金利という形だっただけです。3,000万円・35年ローンで0.3%の金利差があった場合、総返済額の差は約180万円にのぼることもあります。「タダ」ではなく、「見えにくいだけで、しっかり払っている」という構造を、まず理解しておくことが大切です。

特約を付けるほど、"見えないコスト"は膨らむ

さらに注意したいのが、がん保障・三大疾病・全疾病保障といった団信の特約です。特約を1つ追加するごとに、金利は0.1〜0.3%程度上乗せされるのが一般的です。「がん保障付き団信」を選べば、それだけで金利が0.2%上がる商品も多くあります。仮に特約で金利が0.2%増えると、3,000万円・35年ローンでは総返済額が約120万円増える計算です。

手厚い保障は安心感がありますが、その分のコストが35年間じわじわと家計に乗り続けることを、契約前に必ず把握しておきましょう。Aさんご夫婦の場合も、がん特約・入院保障の特約を合計で金利+0.3%分付けており、知らないうちに総返済額を数百万円単位で押し上げていました。

「まぁいいや」で済ませられない、決して無視できない金額ですよね。得られる保障にそれだけの価値があるのか、冷静に考える必要があります。

既存の生命保険と"ダブり"を棚卸しする方法

また、団信と民間保険の保障が重複している場合、保険料を「二重払い」している可能性があります。具体的には次の順で確認してみてください。

まず、現在加入中の生命保険・収入保障保険の保障内容を確認します。死亡保障がある場合、団信でもローン残高が完済されるため、民間保険の死亡保障額を減らせる可能性があります。

次に、団信の特約と民間保険の重なりをチェックします。たとえば民間のがん保険に加入済みなら、団信にがん特約を付ける必要性は低くなります。重複している保障は、どちらかを整理するだけで毎月の保険料を圧縮できます。「ローンを組むタイミング」は、保険を見直す絶好の機会でもあります。団信の内容が決まったら、必ず既存の保険と照らし合わせてみてください。

まとめ

団信の「保険料タダ」は、正確には「金利に組み込まれているだけ」です。特約を重ねるほどコストは増え、既存の民間保険と保障が重複していれば二重払いにもなりかねません。

「何となく安心だから」で特約を選ぶのではなく、本当に必要な保障かどうかを一度立ち止まって考えてみましょう。判断に迷ったら、住宅ローン契約前にFPへ相談するのが、長い目で見た「コスパの良い選択」です。       


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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