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3人兄弟「父の遺産はすべて母に渡す」と合意→5年後、兄の“とある一言”で状況が変わり…仲良し家族に起きた“恐ろしい事態”

  • 2026.4.20
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして主に家計相談やお金に関する情報発信などを行っている柴田です。

58歳男性・Aさん(仮名)から、こんな言葉が出てきました。「父が亡くなったとき、兄弟3人で『全部お母さんに渡そう』と決めたんです。でも5年後に兄が急に『あの話はなかったことにしたい』と言い出して……」。

Aさんの父親が亡くなったのは5年前。残された母親の生活を支えるため、兄弟3人は「父の遺産はすべて母に渡す」と口頭で合意しました。仲の良い兄弟だったこともあり、「わざわざ書類にしなくても大丈夫」と判断したようです、しかし、5年後に深刻な事態を招くことになりました。

口頭の合意では「法的な効力」が生まれない

相続が発生すると、遺言書がない場合は相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行います。そして協議が整ったら、その内容を遺産分割協議書という書面にまとめるのが正しい手順です。

書面にしなければ、法的な拘束力は生まれません。口約束はあくまで口約束です。実害が出るのは、実際に財産を動かそうとしたときです。不動産の名義変更や銀行口座の解約・払い戻しには、相続人全員が署名・実印を押した遺産分割協議書と、各自の印鑑証明書の提出が求められます。協議書がない限り、どれだけ「合意した」と主張しても手続きは進められません。

5年後に話が「白紙」に戻った理由

Aさんの兄が「やっぱりやめた」と言い出した背景には、5年の間に起きた状況の変化がありました。

兄は離婚を経て経済的に苦しくなっており、「自分の相続分を現金で受け取りたい」と主張し始めたのです。

口頭合意には法的拘束力がないため、相続人の1人が「やめた」と言えば、実質的に協議はゼロからやり直しになります。たとえ当時の合意を証明するメールや録音があったとしても、それだけで相手を強制的に従わせることはできません。このように、相続人の離婚・借金・死亡といった状況変化は、口頭合意を簡単に崩します。「仲が良いから大丈夫」は、時間が経つほど通じなくなるのです。

こうした事態を防ぐために、親に「遺言書」を書いてもらう

Aさんのケースで根本的な問題は、父親が遺言書を残していなかったことにあります。遺言書があれば、相続人全員が協議しなくても、原則としてその内容に従って財産を分けることができます。「母に全財産を渡したい」という父親の意思があったなら、それを遺言書に明記しておくことが、最も確実な対策でした。

遺言書には大きく「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。自筆証書遺言は費用ゼロで作れる一方、形式不備で無効になるリスクがあります。公正証書遺言は公証役場で専門家が関与して作成するため、形式上の不備が生じにくく、より確実です。

「うちの親はまだ元気だから」と先送りしがちですが、遺言書は判断能力がしっかりしているうちに作成することが大前提です。親が健在なうちに「遺言書を書いておいてほしい」と伝えることは、家族全員を守ることにつながります。

まとめ

「仲のいい家族だから口約束で十分」という判断が、数年後に取り返しのつかない揉め事を招くケースは少なくありません。相続トラブルを防ぐ最善の手は、被相続人が元気なうちに遺言書という形で意思を残しておくことです。

「うちはそんな財産もないし」と思わず、まずは親子で相続について話し合う機会を作ることから始めてみてください。不安を感じたら、相続に強い税理士や弁護士・FPへの相談をおすすめします。     


柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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