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「老後資金を増やしたい」“退職金250万円”で新NISAを運用→3ヶ月後、60代男性が犯した“痛恨のミス”【元銀行員は見た】

  • 2026.5.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

長年、地元のメーカーで課長職まで勤め上げた65歳男性・Bさん(仮名)。

定年退職を機に、「老後資金を少しでも増やしたい」と新NISAへの挑戦を決めました。独学で本を読み込み、慎重に検討を重ねた末の決断です。

退職金の一部から、つみたて投資枠で月10万円、成長投資枠で240万円を一括投入。合計250万円という、期待に満ちたスタートでした。

直後に訪れた「歴史的な急落」

しかし、運命は残酷でした。

運用開始からわずか104日目。世界的な経済不安から、株価の歴史的な大暴落がニュースを駆け巡ります。

震える指でスマホ画面を更新したBさんが目にしたのは、「212万4,800円」という評価額。投資したばかりの250万円から、一瞬にして37万5,200円もの大金が消えていたのです。

銀行窓口へ駆け込む「パニック」

「これ以上下がったら、俺の老後が終わってしまう!」

顔面蒼白で銀行窓口へ駆け込んだBさん。担当者が「今が安く買えるチャンスです」「長期保有が鉄則です」と懸命に説得しますが、パニック状態のBさんには届きません。

「損をしているのに、さらに買い増せというのか!」「私の大事な退職金をどうしてくれるんだ!」と窓口で激昂するBさん。

結局、その日のうちに全額を解約。確定した損失額は37万5,200円。それは、Bさんの現役時代の給与1か月分を軽く超える金額でした。

本当の「損」は解約後にやってきた

悲劇はこれだけではありません。Bさんが解約したわずか60日後、相場は急速に回復しました。

もし、あの時パニックにならずに持ち続けていれば、資産は262万3,000円。マイナスどころか、プラス12万3,000円の利益が出ていた計算になります。

知識として「暴落はチャンス」と分かっていても、実弾(退職金)が減る恐怖に耐えられる心の準備ができていなかった。それが最大の誤算でした。

救いがあるとするならば、新NISAは売却した分の「非課税投資枠」が翌年以降に復活することです。Bさんは手痛い授業料を払うことになりましたが、今回の反省を活かして、次は「一度に大金を投じない」「少額から慣れる」という形で再挑戦する道も残されています。

まとめ

マーケットの動きは予測不能です。だからこそ私はお客様に対し、運用を始める前に「資産が3割減るシミュレーション」を必ず一緒に行うよう心がけています。マーケットの波は必ず戻ってきます。その波に飲まれず、静かに待つための「心のゆとり」を持つこと。それこそが、新NISAを成功させるための一番の秘訣かもしれません。


ライター:おがわ163
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、大手金融機関(銀行)にて20年間、窓口業務・資産運用相談に従事。銀行窓口で20年間、のべ数千人のお客様のお悩みと向き合ってまいりました。制度の表面的な解説に留まらず、現場で実際に起きた「損得の分かれ目」や「生活者のリアルな感情」を大切にしています。専門用語を極力使わず、中学生でも理解できる「一番わかりやすい解説」をモットーとしております。