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認知症の70代母と銀行へ向かった40代息子→親の貯金で「施設費」を払うつもりが…窓口で直面した“想定外の事態”

  • 2026.5.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「親が将来施設に入ることになったら、親自身の貯金から払えばいいよね」 これは、親の老後を考えるご家族にとって、ごく当たり前で「良かれと思った(合理的な)行動」です。

長年コツコツ貯めてきた大切なお金ですから、親自身の快適な老後のために使うのが一番だと誰もが考えます。

しかし、この「親の口座に入れたままにしておく」という当たり前の選択が、いざ介護が始まった瞬間に、家族をパニックに陥れる“落とし穴”となります。

窓口での一言で突然の凍結、介護費用を自腹で払うことに

70代の親の認知症が少し進み、いよいよ施設への入居費用が必要になったある日。

40代の息子が親を連れて銀行の窓口へ行き、「定期預金を解約して引き出したい」と伝えました。

しかし、窓口の担当者が親に「お名前と生年月日をお願いします」と質問した際、親が自分の名前を答えられなかったり、ちぐはぐな会話をしてしまったりした瞬間、事態は急変しました。

「ご本人の意思確認ができないため、お取引はお断りさせていただきます」

この判断が下されると、預金保護の観点から口座取引が制限(事実上の凍結)されます。結果として、300万円の施設の入居費用や毎月の支払いを、子供が自分のなけなしの貯金から身銭を切って立て替えるという、経済的な打撃を受けることになってしまったのです。

銀行が取引を制限する背景と法的リスク

なぜ銀行は、家族が困っている状況でも取引を制限するのでしょうか。

金融の現場に18年いた私から裏事情を明かすと、これは、銀行が預金者の権利と資産を保護する義務を負っているためです。

もし意思能力が不十分な状態での払い出しを認め、後に他の親族から「不当な引き出しを許した」と責任を問われた場合、銀行は法的なリスクを負うことになります。

窓口では「成年後見制度」の利用を案内されるのが一般的です。しかし、この制度は家庭裁判所を通じた手続きに一定の期間を要するほか、専門家(弁護士や司法書士など)が後見人に選任された場合は、月々の報酬が発生し続けるという側面もあります。利用にあたっては、その特性を十分に理解しておく必要があります。

元気なうちからの「認知症リスク」対策を

相続対策(亡くなった後のこと)に比べて、存命中の「認知症による資産凍結リスク」への備えは後回しにされがちです。

判断能力が低下してからでは、利用できる対策の選択肢は著しく制限されます。親が自身の意思をはっきりと示せるうちに、「代理人指名手続き(代理人カードの発行)」や、より柔軟な資産管理が可能な「家族信託」など、具体的な対策を検討しておくことが、家族の平穏な暮らしを守る鍵となります。

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