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子どもに“結婚資金1,000万円”を送った60代母→「非課税で渡せる」と思いきや…その後、金融機関に告げられた“想定外の事実”

  • 2026.5.1
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表の石坂です。

結婚・子育て資金の一括贈与は、「最大1,000万円まで非課税で渡せる」制度として知られています。ただし内訳として、結婚関連費用は300万円まで、残りの金額(最大700万円まで)は出産・育児費用として上限が設けられています。

特に注意したいのが、「期限内に使い切れなかった場合」の扱いです。

今回は実際の相談をもとに、どこで考え方のずれが起きたのかを確認しましょう。

結婚資金のつもりが使いきれず、700万円が残る結果に

ご相談に来られたのは60代の女性です。

子どもの結婚にあわせて資金援助をしたいと考え、この制度を利用して1,000万円をまとめて信託しました。
当初は、結婚式や披露宴、衣装代に加え、その後の出産や育児にかかる費用まで含めて使う予定でした。結婚だけでも数百万円はかかると考えており、その後の支出も含めれば、最終的には使い切る見込みでした。

しかし実際には予定が変わります。
子ども夫婦は結婚式を行わず、親族中心の食事会のみとし、費用は約100万円程度に収まりました。その後も大きな支出はなく、制度を使い始めてから数年で使った金額は約300万円にとどまり、約700万円がそのまま残る状態となりました。ここで「残ったお金はどうなるのか」が気になったといいます。

金融機関に確認したところ、この制度は受贈者(子)が50歳に達した時点で契約が終了し、その時点で残額がある場合、その残りに贈与税がかかると説明を受けたそうです。
「非課税で渡せるお金」と考えていたものが、使い方や期限によっては課税の対象になると分かり、想定との違いに戸惑いを感じていました。

また、この資金は専用の口座で管理し、対象となる費用にしか使えません。結婚式や婚礼、出産・育児に関する費用には使えますが、それ以外の生活費などには使えない仕組みです。
さらに、一度この制度を使うと、途中で自由に使い方を変えることも厳しくなります。

非課税でも自由に使えるわけではない

今回のケースでは、「1,000万円まで非課税」という点を基準に金額を決めたことが影響しています。
実際には結婚関連の費用が約100万円程度にとどまり、その後の支出も少なかったため、多くの資金が残る結果となりました。

この制度は、結婚や出産、育児に関する特定の費用にしか使えません。さらに使える期間も決まっているため、自由に使えるお金とは性質が異なります。

なお、契約期間中に贈与者(親や祖父母)が亡くなった場合、その時点での残額は贈与者の「相続財産」に加算される(相続税の対象になる)点にも注意が必要です。

結果を分けるのは「金額」ではなく「使い方」

この制度を使うときは、「いくらまで非課税にできるか」ではなく、「実際にいくら使うか」を基準に考えましょう。

結婚や子育てにかかる費用は、家庭によって大きく変わります。結婚式をするかどうかだけでも、必要な金額は大きく変わります。
また、この制度には期限があるため、「いつまでに使うか」も考えておく必要があります。

一度にまとめて渡すと、その分だけ使い道と期間に制限がかかります。あくまでも「非課税の上限」ではなく、「期限内に無理なく使い切れる金額かどうか」で判断することがポイントです。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。

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