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父の死後、2,000万円を受け取った50代息子→「死亡保険金は非課税」のはずが…3年後、税務署からの通知に“青ざめたワケ”

  • 2026.5.2

 

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関に勤務し、様々なお金の相談業務に携わっている中川です。

「生命保険の死亡保険金は非課税」
相続の場面で、この言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

確かに間違いではありません。ただ、これには"条件"があります。その条件を知らずに「申告不要」と判断してしまい、数年後に税務署からの通知で青ざめる。そんな事例は、相続の現場で決して珍しくないのです。

今回は、父親から死亡保険金2,000万円を受け取った50代男性が直面した"思い込みの誤算"をご紹介します。

「保険金は非課税」と聞いて申告しなかったAさん

50代のAさん(仮名)は、数年前に父親を亡くしました。

受取人に指定されていたAさんには、死亡保険金2,000万円が支払われました。

以前、知人から「生命保険の死亡保険金は相続税がかからない」と聞いた記憶があったAさん。預貯金や不動産は母親が中心に引き継ぐ形で話がまとまり、「保険金は非課税、自分には申告の必要はない」と判断したのです。

結果、相続税の申告は行わないまま、数年が経過していきました。

税務署から届いた一通の通知

転機は、相続発生から3年ほど経ったある日。税務署から「相続税の申告について」という通知が届きます。

死亡保険金が一定額を超えて支払われた場合、保険会社から税務署へ支払調書(誰にいくら保険金を払ったかを知らせる書類)が提出される仕組みになっています。Aさんが保険金を受け取った事実は、税務署側も把握していたのです。

慌てて税理士に相談したAさんは、そこで初めて自分の認識違いを知ることになりました。

生命保険の非課税には"枠"がある

生命保険の死亡保険金に非課税の扱いがあるのは確かですが、その金額は「500万円×法定相続人の数」で決まります。

Aさんの場合、法定相続人は母親とAさんの2人。非課税となる枠は500万円×2人=1,000万円でした。

受け取った2,000万円のうち、非課税となるのは1,000万円まで。残りの1,000万円は、相続財産として課税対象に加算される決まりだったのです。

預貯金と合算すれば基礎控除超え

問題はそれだけではありませんでした。

課税対象となったのは、保険金の非課税枠を超えた1,000万円に、預貯金など他の遺産約3,500万円を合わせた合計およそ4,500万円。

基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)は、Aさんのケースで4,200万円です。わずかに、基礎控除を超える金額になっていました。

本来、相続税の申告期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。Aさんはその期限を過ぎても手続きをしていなかったため、本来の相続税に加え、無申告加算税や延滞税が上乗せされる形で、追徴課税の通知を受ける事態となりました。

「知っているつもり」が最大のリスク

「生命保険は非課税」は、半分正しく、半分誤りです。非課税枠を超えた分は相続財産に加算され、他の財産と合わせて基礎控除を超えれば、申告義務が発生します。

相続が発生したら、まずは財産全体を棚卸しし、法定相続人が何人になるかを確認してみてください。非課税枠も基礎控除も、その人数で金額が変わります。

「自分には関係ない」と思った時ほど、一度立ち止まって試算してみる。それが、数年後の"想定外"を防ぐ一歩になります。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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