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「うちには車がないのに払うの?」資産価値のためのEV導入に“600万円”……住民説明会で噴出した不満の声

  • 2026.5.19
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わってきた、マンション管理士のS.Kです。近年は電気自動車の普及が進んでおり、ご自宅のマンションでも充電設備の話題が出た経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

今回は、資産価値の維持を目的として充電設備の導入を提案したものの、費用負担を巡って議論が紛糾したエピソードを紹介します。

将来を見据えた設備投資と費用負担を巡る議論

2026年春、首都圏郊外にある築15年で総戸数180戸のマンションにおいて、理事会で電気自動車の充電設備を導入する検討が始まりました。周辺の物件で導入事例が増えており、将来の資産価値を維持するためにも先行して設置すべきという判断からです。

居住者アンケートを実施したところ、現在EVを所有する世帯はわずか2戸でしたが、5年以内に購入を検討している世帯は18%にのぼりました。そこで普通充電器を6台設置する見積もりを取ると、総額は約1,200万円。補助金を活用しても、修繕積立金から約600万円を拠出する計画が説明会で提示されました。

すると参加した居住者から「車を所有していないのに負担するのは不公平だ」という反対の声が上がります。さらに「電気代や保守点検費が管理費から引かれるのはおかしい」「数年後に充電規格が変わったらどうするの」といった慎重な意見も相次ぎました。

2回の説明会を経ても一定数の反対意見があったため、理事会は今期の議案提出を見送り、費用負担スキームの再検討に着手することを決めたのです。

費用負担の分離と初期費用ゼロ円モデルがもたらす解決策

マンションにおける新たな設備の導入は、費用負担のあり方が合意形成を大きく左右します。近年は民間事業者が補助金を利用して、初期費用や月額費用をゼロ円で提供するサービスが広がっています。

利用者が使った分だけ支払う従量課金の仕組みを採用すれば、車を持たない居住者の負担がなくなり、合意を得やすくなるはずです。仮に管理組合が主体となって設置する場合でも、初期費用は修繕積立金から出しつつ、維持費は利用者から徴収するといった明確な区分が求められます。

総会でいきなり提案するのではなく、事前のアンケートや説明会を通じて疑問に丁寧に答えていく姿勢が、長期的に円滑な運営を実現する土台となるでしょう。

参考:充電インフラ整備促進事業(経済産業省資源エネルギー庁)



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


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