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「最悪、貸せばいい」10万円の家に飛びついた50代男性→現地調査で判明…たった1年で痛感した大誤算

  • 2026.5.19
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

ネットで物件を探していると「こんな値段で家が買えるの?」と驚くような格安物件を見かけた経験はないでしょうか。中古の軽自動車と同じくらいの価格で売りに出されている家も、実際に存在します。

近年は住宅価格の高騰や物価上昇の影響もあり「マイホームはもう手が届かない」と感じている方も増えています。だからこそ、こうした格安物件は魅力的に映るものです。

しかし、その安さには必ず理由があります。そして、その理由を見誤ると「得したはずの買い物」が、人生をじわじわ苦しめる“負担”に変わることもあります。

今日は、10万円で手に入れた空き家が、結果的に毎年お金を失い続ける“負動産”になってしまった、50代男性の実体験をご紹介します。

10万円の空き家に飛びついた理由

これは、私が3年ほど前に実際に相談を受けたケースです。相談者の50代男性Aさんは、会社員として働きながら「このまま賃貸では不安だ」と感じていました。

ある日、Aさんは知人からこう言われます。

「古い家なんだけどさ、もう使わないから10万円でいいよ。引き取ってくれない?」

Aさんは驚きながらも、すぐにこう返したそうです。

「10万円?今の時代に家がその値段で買えるのか…」

周辺の住宅価格は2,000万〜3,000万円が当たり前。比較すると、破格どころではありません。

「リフォームすれば住めるし、最悪貸せばいい」

そう考えたAさんは、即決で購入を決めました。

調べて分かった「直せない家」という現実

購入後、Aさんは「リフォームすれば住めるはず」と考え、早速リフォーム業者に相談しました。ところが、現地調査を終えた業者の第一声は、想像とはまったく違うものでした。

「この建物ですが、大規模なリフォームをする場合、建築確認申請(建物を新築・増改築する際に、法律に適合しているかを役所に確認してもらう手続き)が必要になりますね」

さらに話を聞くと、問題はそれだけではありませんでした。

  • 接している道路が建築基準法上の接道義務を満たしておらず、再建築ができない可能性が高い状態
  • 建物が現在の建築基準法に適合していない、いわゆる既存不適格建築物(当時は合法だが現行基準に合っていない建物)
  • 一定規模以上の大掛かりなリフォームを行うと「増改築」とみなされ、建築確認申請が必要になり、内容によっては許可が下りない可能性がある

つまり「直せば住める」どころか、法的な制約によって自由に直すことができない家だったのです。この説明を受けたAさんは後日、大慌てで私のもとへ相談に来られました。

「この家、どうやって使えばいいんですか?」

切実な表情でそう尋ねられたのを、今でもよく覚えています。私は正直にお伝えしました。

「現状のまま使うしかありません。ただし、一般的に快適に住める状態とは言えません」

この時点で、Aさんが思い描いていた「格安で手に入れたマイホーム計画」は、ほぼ崩れてしまったのです。

活用できず、売れず、維持費だけが積み上がる

Aさんは当初「住めないなら貸せばいい」と考え、賃貸としての活用も検討しました。しかし、現実はそう甘くありませんでした。

  • 室内の老朽化が激しく、内見に来る人がいても入居希望者が現れない
  • 修繕しようにも、大規模工事ができず改善に限界がある
  • 再建築が難しい物件のため、売却しようとしても買い手がつかない

結果として、その物件は「使えない・貸せない・売れない」三重苦の不動産になってしまったのです。それでも、所有している限りコストは止まりません。

  • 固定資産税:約6万円/年
  • 草刈りや管理費:約5万円/年
  • 最低限の修繕費:約5万円/年

合計で、年間およそ16万円の支出。購入価格はわずか10万円でしたが、たった1年で購入費以上の損失が発生する構造になっていました。

空き家は「安い理由」を必ず疑うべき

安く買える空き家は、確かに魅力的に見えます。しかし、その多くには安い理由が必ず存在します。そしてその理由は、

  • 法的に自由に使えない
  • 構造的に思い通りに直せない
  • 市場で売却しにくい

といった、後からでは解決が難しい問題であるケースが少なくありません。今回のAさんのように「10万円で手に入れた資産」が、毎年16万円の支出を生む“負動産”に変わることも、実際に起きています。

こうした失敗を防ぐために、最低限確認していただきたいのは次の3点です。

  • 購入前に「再建築が可能かどうか(接道条件等)」を確認する
  • 不動産会社や建築士に相談し「活用できる不動産か」を判断する
  • 「リフォームすれば使える」という前提で判断しない

住宅価格が高騰している今だからこそ、安さに惹かれた判断が長期的に大きな負担へと変わることもあります。Aさんと同じ失敗を繰り返さないためにも「なぜこの価格なのか」という視点を、ぜひ忘れないでください。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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