1. トップ
  2. マンション住民「そんな大金は払えない!」突然、1戸あたり220万円を徴収!?臨時総会で怒号が飛び交ったワケ

マンション住民「そんな大金は払えない!」突然、1戸あたり220万円を徴収!?臨時総会で怒号が飛び交ったワケ

  • 2026.5.11
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。マンション管理士の資格を持つ不動産ライターのS.Kです。マンションを所有する方にとって、将来の大規模修繕は避けて通れない一大イベントといえます。

しかし、長年計画通りに修繕積立金を蓄えてきたにもかかわらず、いざ工事を目前にして「資金が大幅に足りない」という現実に直面するケースがあります。今回は、見積もり額が積立金を4割以上も上回り、追加負担をめぐって紛糾したマンションの事例を紹介します。

1戸あたり最大220万円の追加徴収で紛糾した臨時総会

築20年、100戸が入る15階建てマンションでの出来事です。管理組合は月約1.2万円の修繕積立金を集め、20年間で総額約2.8億円を蓄えていました。1回目の大規模修繕に向けて施工会社に見積もりを依頼したところ、提示された金額は、実施時期の後ろ倒し等の影響もあり、約4億円から5億円と、積立額の約2.8億円をはるかに上回る内容でした。

1戸あたり約120万円から220万円もの不足が生じ、その穴埋めとして多額の一時金徴収が提案されたため、臨時総会は激しい怒号が飛び交う事態となったのです。居住者からは「急にそんな大金は払えない」「計画通りに貯めてきたのになぜ足りないのか」「資材価格が下がるまで先送りすべきだ」という不満が噴出しました。

しかしすでに外壁の剥落や漏水の予兆も見られたため、先送りは建物の劣化を加速させる恐れがありました。

優先順位の調整とリフォームローンの活用による決着

激しい議論の末、管理組合は工事の優先順位を精査する決断を下しました。屋上防水や外壁補修といった緊急性の高い項目を先行し、バルコニー防水などは次回に先送りすることで、追加負担を1戸あたり約80万円まで圧縮したのです。

それでも不足する分については、管理組合として住宅金融支援機構の管理組合向けリフォーム融資を利用して借り入れる案が提示されました。当初は借り入れに慎重な意見もありましたが、放置による修繕費のさらなる膨張を防ぐため、最終的には多数の賛成で可決されました。

この事例は、かつての相場に基づいた資金計画が、現在のインフレ環境では通用しなくなっている現実を浮き彫りにしています。

13年連続上昇する労務単価と建築費高騰の正体

これほどまでに計画と現実が乖離した背景には、建築コストの著しい高騰があります。国土交通省が公表した公共工事設計労務単価は、2025年度に前年度比プラス6.0%となり、13年連続で引き上げられています。

この伸び率は過去11年間で最大であり、現場の人件費負担が急激に増している実態を物語っているのです。また、賃金上昇が本格化する前の2012年度と比較すると、建設工事費デフレーターは約35%も上昇しています。

さらに、為替市場で150円台を中心に推移する円安の影響により、塗料など輸入比率の高い資材価格も高止まりしています。長期修繕計画を当時の相場のまま放置していると、いざ工事の段階で深刻な資金不足を招くリスクが高くなります。

定期的な計画見直しと均等積立方式による自己防衛

マンションの資産価値を守るためには、長期修繕計画を定期的に見直すことが重要です。国が推奨する通り、少なくとも5年ごとに計画をアップデートし、最新の資材や人件費動向を反映させましょう。

また、修繕積立金の集め方は、均等積立方式を選択することが望ましいと言われています。段階増額積立方式は初期の負担こそ軽いものの、将来的な増額時に合意形成ができず、積立不足に陥るリスクを抱えています。

マンション購入を検討される方は、積立金の総額だけでなく、見直し時期や積立方式を事前に確認することが大切です。それが、将来の追加徴収という事態を回避するための有効な判断材料となります。

参考:令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価について(国土交通省)



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】