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「相続放棄すれば完全に縁が切れる」と思っていたのに…親が遺したリゾマン、手放すまでのリアルな壁

  • 2026.6.1
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界で15年の実務経験を持つ、ライターの西山です。1980年代から90年代のバブル期に、各地のリゾート地や温泉地で大量供給されたリゾートマンション。現在では買い手がつきにくく、月額数万円の管理費や修繕積立金だけが重くのしかかる「負動産」となっているケースが少なくありません。

親が亡くなった際、「相続放棄をすれば完全に縁が切れる」と考える方は多いのではないでしょうか。今回はリゾートマンションの相続放棄に潜む実務上の落とし穴と、現実的な出口戦略について解説します。

次順位の親族へ波及する権利義務と保存義務の法解釈

親が所有していたリゾートマンションについて、自身が相続放棄をすれば支払い義務から逃れられると考える方は少なくありません。たしかに2023年4月施行の改正民法により、相続放棄後の財産保存義務は「放棄の時に現に占有している場合」に限定されました。

普段使っていない物件であれば、法的な保存義務は免れる可能性が高いです。しかし自身(子)が相続放棄をすると、親の直系尊属(祖父母など)、さらには親の兄弟姉妹や甥姪といった次順位の相続人へと権利や義務が移っていきます。事前に事情を伝えておかなければ、知らないうちに次順位の親族が同じ問題を抱える形となり、深刻なトラブルに発展しかねません。

予納金の壁と建物が対象外となる国庫帰属制度

親族全員が相続放棄をしたとしても、すぐにマンションを手放せるわけではありません。家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てない限り、マンションの所有者は宙に浮いた状態となります。

この状態では法的な支払い義務がなくても、管理組合から元相続人宛てに事実上の連絡が届き続けるケースがあるのです。しかも清算人の選任には、数十万〜百万円程度の予納金が必要となるため、手続きが難航しやすくなります。

また、民法改正と同じ2023年4月に施行された相続土地国庫帰属法による国庫帰属制度も、あくまで土地を対象とした制度です。リゾートマンションのような建物部分は国の引き取り対象にはならず、根本的な解決策にはなり得ません。

親族間での連携と生前の有償引き取りという選択肢

リゾートマンションの有力な出口戦略は、親が元気なうちに売却を進めておくことです。買い手がつかない場合は、専門の不動産引き取り業者へ処分料を払って所有権を手放す「有償引き取り」を利用するケースも増えています。

もし相続発生後に放棄を選択する場合は、自分一人で完結させようとせず、次順位の親族へ事情を説明して一斉に放棄手続きを行う段取りが必要です。相続放棄の手続きは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内という熟慮期間の制約があります。時間切れとなってしまわないよう、早めに専門家へ相談しておくことをおすすめします。



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士・日商簿記2級などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


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