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「35坪の4LDKで話もまとまったのに…」新居を待つ30代夫婦を襲った“思わぬ落とし穴”【一級建築士は見た】

  • 2026.4.17
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「土地も決まって、35坪の4LDKで話もまとまって、あとは着工を待つだけだと思っていました。でも、確認申請がなかなか下りなくて……」

そう話すのは、注文住宅を計画中のAさん(30代女性・夫婦+子ども2人の4人暮らし)です。

最近、注文住宅ではこうした相談が増えています。

家づくりでは、工事を始める前に確認申請(建物が法律のルールに合っているかをチェックしてもらう申請)が必要になりますが、この手続きが以前より煩雑になっています。

2025年4月以降は、新築住宅で省エネ基準への適合が義務化され、木造戸建住宅の確認手続きも見直されました。そのため、「契約したら次は着工」という感覚でいると、最初の段階で予定が止まってしまうことがあります。

確認申請に時間がかかる理由

今、確認申請に時間がかかりやすい一番大きな理由は、審査で確認する内容が増えたことです。

これまでは、一定規模以下の木造住宅では審査が一部省略されていたケースがありました。いわゆる「4号特例」です。ところが2025年4月からこの範囲が見直され、木造2階建てや延べ200㎡を超える平屋などでは、これまで省略されていた構造関係の審査などが追加で必要になりました。

しかも今は、断熱や設備の省エネ性能まで確認の対象になります。つまり、以前のように「図面を出せば終わる」という感覚では進みにくくなっています。

設計内容を細かく整え、必要な資料をそろえてからでないと、申請が前へ進みにくい時代になったのです。

困るのは「申請が遅いこと」そのものではない

一般の方にとって、「申請に時間がかかる」と言われても、最初は少しピンと来ないかもしれません。ただ、本当に困るのは、確認申請が長引くことで家づくり全体の予定がずれてしまうことです。

たとえば、次のような影響が出やすくなります。

  • 着工が遅れる
  • 引っ越し時期がずれる
  • 仮住まいの期間が延びる
  • 家賃と住宅ローンの負担が重なる
  • 資材価格の変動(インフレ)を受けやすくなる

たとえば家賃12万円の賃貸住宅に住んでいて、引き渡しが3か月ずれれば、それだけで36万円の負担になります。確認申請の遅れは、単なる役所手続きの問題ではなく、住む人の家計や生活スケジュールにそのまま影響しやすいのです。

後悔を減らすカギは「申請に時間がかかる前提」で考えること

今の注文住宅では、「確認申請は以前より時間がかかることがある」という前提で計画しておくことが大切です。

特に意識したいのは、次の点です。

  • 契約前に、着工までの流れを確認する
  • 申請に必要な資料がどこまで固まっているか聞く
  • 引っ越し時期をぎりぎりで組まない

確認申請は、家づくりの裏側にある地味な手続きに見えるかもしれません。ですが、今の家づくりでは、この段階が想像以上に大きな分かれ道になります。

「契約したのに、まだ建てられない」
そんな大誤算を防ぐには、間取りや価格だけでなく、いつ確認申請を出せるのか、どこで止まりやすいのかまで含めて見ておくことが大切です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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