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京都で出会う色彩豊かな西洋シャクナゲ、日本最古の公立植物園|花を旅する

  • 2026.3.9
撮影=高嶋克郎

花や緑は、古くから人の暮らしに欠かせない存在でした。そうした自然を身近に感じるため、人は住まいや寺社に庭を設え、植物を日々の営みに取り込んできたのです。季節の移ろいはもちろん、花と向き合い、香りや色、感触を五感で味わう──そんな庭での楽しみは尽きません。

さあ、植物が目覚める春の到来です。今年は、花の庭を訪ねてみませんか。花に宿る命に心を重ねる時間は大きな豊かさをもたらしてくれるはず。北海道から九州まで、各地に息づく花の名庭を選りすぐってご紹介します。

関西からは、気品高く咲き誇るシャクナゲの庭園をお届け。色とりどりに咲き誇る、京都の西洋シャクナゲの魅力をご紹介します。

シャクナゲ【関西】

シャクナゲは「花木の女王」といわれ、気品高い姿で人々を魅了してきました。神戸ではおもに清楚な趣の日本シャクナゲを、京都では華やかな西洋シャクナゲを観賞。その違いもお楽しみください。

シャクナゲ(石楠花)
春から初夏、輪状の花を付ける常緑性の花木。原種は中国に多く分布し、西洋シャクナゲの源流になった。日本にも数種類の原種がある。

学名:Rhododendron subgenus Hymenanthes
和名:シャクナゲ(石楠花、石南花)
その他の名前:ロドデンドロン
科名 属名:ツツジ科 ツツジ属

100年の木陰に咲く西洋シャクナゲの庭

京都府立植物園[京都]

西洋シャクナゲ園から比叡山を望む。比叡山にもシャクナゲ園があり、併せて訪れてみたい。濃い赤色の花は代表的な品種「太陽」。 撮影=高嶋克郎

大きく豪華な花が織り成す色彩豊かな春絵巻

約24ヘクタールの広大な敷地に、約12000種類もの植物が植栽されている日本最古の公立植物園。一年を通してさまざまな花が見られますが、正門から東へ広がる洋風庭園の一角を「西洋シャクナゲ園」が占めており、4月から5月にかけて赤、白、ピンク、黄色など色とりどりのシャクナゲが順々に満開となります。

西洋シャクナゲは、ヒマラヤからインド、東アジアにかけてが主な原産地。そこからヨーロッパに持ち帰られ品種改良されたもので、同園では50種、80株を育成しています。冷涼な地域で育つ高山性の性質ゆえ、京都は決してよい環境とはいえないそうですが、約100年の樹齢を重ねた2メートル近いヒマラヤスギの大木がシャクナゲを覆い、木陰を作って守っています。

シャクナゲは世界で4000~5000種あるとされ、木に咲く花としては最も種類が多い。木と花の大きさは比例する。平地でこれだけの品種が見られる場所は珍しい。 撮影=高嶋克郎
日本で育成された「芳子(よしこ)」。白いシャクナゲのなかでも特に華やかで人気の高い品種。 撮影=高嶋克郎

しかし2017年の台風でヒマラヤスギ2本が倒れ、シャクナゲも大きな被害を受けました。

「苗木から花が咲くまでには5年、立派な木になるまでには10年かかる花なので、また10年かけて大きくしていかないといけません」と、同園課長補佐の中井貞さん。満開のシャクナゲの足元で、未来をつなぐ小さな苗木たちが大切に育てられています。

台風被害のあと、新たに植栽された中国原産の「デラバイ」。 撮影=高嶋克郎
花が枝先にボール状に付く大きな花は、蕾まで肉厚。 撮影=高嶋克郎
おすすめの過ごし方
撮影=高嶋克郎

シャクナゲ園内にはいくつものゆったりしたベンチがあり、座ってのんびりスケッチをするのもいい。シャクナゲが咲き始める時季は、チューリップや桜も併せて観賞できる。

ここでひと息
写真提供=京都府立植物園

園のほぼ中央に位置する「森のカフェ」では、喫茶や軽食を楽しめる。京丹後地方の鹿肉を使った「鹿カレー」770円。春夏は目の前に芝生が広がるテラス席も気持ちいい。

DATA
※西洋シャクナゲ園は4月中旬~5月上旬が見ごろ。色や品種の違うシャクナゲが順々に咲く
料金/500円
営業時間/9時~17時(最終入園16時)
休園日/12月28日~1月4日
tel.075-701-0141
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京都府京都市左京区下鴨半木町

京都府立植物園

【シリーズ・花を旅する】春に導かれて日本各地へ

ルピナス【北海道】
・深山峠[北海道・上富良野]、上野ファーム[北海道・旭川]、大雪 森のガーデン[北海道・上川](3/28公開予定)

あじさい【東北】
・みちのくあじさい園[岩手・一関]、雲昌寺[秋田・男鹿](3/27公開予定)

バラ【関東・甲信越】
・蓼科高原 バラクラ イングリッシュ ガーデン[長野・蓼科]、佐倉草ぶえの丘[千葉・佐倉]、国営越後丘陵公園 ながおか香りのばら園[新潟・長岡](3/20公開予定)

シャクナゲ【関西】
・神戸市立森林植物園[兵庫・神戸]
・京都府立植物園[京都](この記事)

牡丹【山陰】
・由志園[島根・松江](3/15公開予定)
・牡丹番付とは?(3/18公開予定)

藤【九州】
・河内藤園[福岡・北九州]、中山熊野神社[福岡・柳川](3/12公開予定)

・心身のストレスを緩和する「花の癒やし効果」(3/23公開予定)
・「私の庭」にようこそ(3/30公開予定)

コラージュ制作=camouCollage(渡部絵里子)

撮影=高嶋克郎 編集・文=柏木敦子(婦人画報編集部)

『婦人画報』2026年4月号より

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