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「新案を見てほしい。かなりの自信作だ」と会議で発表する上司。だが、スクリーンに映し出された光景に思わず絶句

  • 2026.3.9

完璧な「模造品」

30代になり、仕事の重圧を心地よく感じ始めていた。

中堅としての自負が、形になりつつある実感。あの日、私はチームの命運を分ける重要な会議に向けて、数夜を捧げた渾身の企画書を携えていた。

プロジェクターが起動し、会議室の照明が落ちる。

私は、事前にメールで共有しておいた資料を上司がどう評価してくれるのか、期待と緊張が入り混じるなかで出番を待っていた。

しかし、上司の口から飛び出したのは、予想だにしない言葉だった。

「今回のプロジェクトだが、私がゼロから練り直した新案を見てほしい。かなりの自信作だ」

スクリーンに映し出されたのは、私が一文字一文字、心血を注いで紡ぎ出したあの資料だった。

図表の配置も、緻密な分析データも、すべてが「私」のものだ。

上司は、流れるような手つきでレーザーポインターを操り、悦に入った表情で語り続ける。

「特にこの分析には骨を折ったよ。だが、この視点こそが今の我々に必要だと思っている」

(…嘘だろ。それ、全部俺が作った資料じゃないか)

あまりにも堂々とした、淀みのない「盗作」。自分の記憶が書き換えられたのではないかと錯覚するほどの厚顔無恥さに、私は声も出せず、ただただスクリーンを見つめることしかできなかった。

飲み込んだ叫び

「素晴らしい」「さすがの着眼点ですね」

周囲から上がる、惜しみない称賛の声。上司は満足げに頷き、さも当然といった風情でその喝采を浴びている。

私の喉元まで、「それは私の成果です」という言葉がせり上がってきた。

だが、会議の空気を壊すリスク、そして何より目の前で平然と嘘をつき続ける男への嫌悪感で、指先が冷たく震える。

結局、私は一言も発することができないまま、会議は閉幕した。

デスクに戻っても、胸の奥にはドロリとした泥のような感情が居座り続けていた。

上司は、何食わぬ顔で鼻歌まじりに次の指示を出している。誰にも気づいてもらえない虚しさ。正当な評価を奪われたことへの怒り。視界が、少しだけ濁って見えた。

給湯室の告白

数日後、重い足取りで向かった給湯室。コーヒーを淹れていると、ふいに同僚が隣に立った。

静寂を破るように、彼が小さな声で囁いた。

「……あの企画、本当は君が作ったんだろう?」

驚きで、マグカップを持つ手が止まる。彼は周囲を気にしながらも、確信に満ちた柔らかな笑みを浮かべていた。

「事前に共有してくれていた資料、隅々まで読んでいたからね。あの場で言えなかったのは申し訳ないけど、誰が真実の『生みの親』か、わかっている奴はちゃんとわかっているよ」

その一瞬、胸に溜まっていた重苦しい澱(おり)が、一気に溶け出していくのを感じた。

「ありがとう……。誰にも、気づいてもらえてないと思ってた」

「まさか。あんなに熱量のこもった資料、誰が書いたか見れば一発でわかるさ」

彼のさりげない一言が、折れかけていた私のプライドを、静かに繋ぎ止めてくれた。

同僚の配慮によって、私の心は救われた。正しく見てくれている人がいる。

その事実だけで、この理不尽な世界でもまだ戦っていける気がした。

けれど、心の片隅には、どうしても拭えない「恐怖」が残った。

あの会議室で、部下の努力を無造作に踏みにじり、自分の手柄として披露していた上司のあの顔。

罪悪感の欠片も見せず、他人の魂を盗んで浴びる称賛を、彼はどんな気持ちで享受していたのだろうか。

彼の朗らかな笑い声が、ひどく不気味で異質なものに聞こえてくる。

救われた爽快感のすぐ隣で、人間の底知れぬ無神経さと、闇のような空虚さに触れてしまった。

そんな、冷たい余韻が消えない出来事だった。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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