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「そんな指示はしていない」気分で言うことが変わる上司→記録を残した私の差し出した一枚に走った沈黙

  • 2026.5.9

前日と翌日で真逆になる指示

以前勤めていた職場の話です。直属の課長は、業務の進め方に細かく口を出すタイプでした。

「このやり方で進めて」

そう言われた翌日、同じ案件のことで呼ばれて開口一番こう言われたことが何度もありました。

「そのやり方は違うって、前にも言ったよね」

前日と真逆。

私の手元のメモには、確かに前日言われた指示がそのまま残っているのに、課長の頭の中ではもう書き換わっています。修正に半日かけた資料を、翌朝にはまた一から作り直す。それが半年ほど続きました。

気分のいい日は「任せるよ」、機嫌が悪い日は「なんでこうしたの」。同じ動きをしても評価は天気任せで、頑張った分だけモヤモヤが積み上がっていく感覚でした。

同じ島の先輩や中堅の主任にこっそり相談しても、「あの人はそういう人だから」と苦笑が返ってくるだけ。誰もが少しずつ諦めて、機嫌の波をやり過ごす癖がついていました。

差し出した一枚と、止まった言葉

転機になったのは、3か月ほど続いていた重要案件の進行確認のときでした。

例によって細かい指示が入り、過去の経緯から嫌な予感がしました。

(また、後で違うって言われる気がする)

私はその場でノートに指示内容を書き取り、課長の前で読み上げ直しました。

「この内容で進める認識でよろしいでしょうか」

うん、と頷いた課長の返事を確認してから、自席に戻ってすぐに同じ内容をメールで送りました。

本文に箇条書き、最後に「ご認識相違あればご連絡ください」と一文を添えて。CC には案件の主担当者も入れました。返信はありませんでしたが、それで十分でした。

1週間後、案件が想定通り進まないと判明した会議室で、課長は予想通りの一言を放ちました。

「そんな指示はしていない」

会議室の空気が、私のほうへ集まるのが分かりました。私はバッグからメールを印刷した紙を1枚取り出し、机の上にそっと差し出しました。

日付、時刻、宛先、本文。全部、揃っています。

課長は紙面に目を落としたまま、何度か口を開いて、結局何も言いませんでした。

CC で受け取っていた主担当者も、静かに頷いて私の側に回ってくれました。隣の席の先輩がほんの少し息を吐いたのが、耳に届いた気がします。

気分で人を振り回すなら、せめてその気分を残させてください。私はその日から、課長宛のメモは紙とメール、両方で残すようにしました。半年我慢して見つけた、私なりの自衛のかたちなのでした。職場を辞めるまでの最後の数か月、課長が私に対して言葉を被せてくることは、もうありませんでした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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