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「迷惑をかけたくない」墓じまいを決意→後日、寺から“200万円超え”の請求…お金のプロが明かす“離檀料の大きな盲点”

  • 2026.3.31
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「子どもに迷惑をかけたくない」という純粋な思いで決断したはずの墓じまい。

しかし、いざ手続きを進めようとすると、お寺から高額な離檀料を請求されたり、なかなか話がまとまらずトラブルに発展したりするケースが後を絶ちません。なぜ、供養の場であるはずのお寺との間で、このような深刻な揉め事が起きてしまうのでしょうか。

「自分たちだけで進めるのは不安だから」と業者に頼りすぎることが、かえって事態を悪化させることもあるといいます。墓じまいで後悔しないために、私たちはどのような心構えと準備を持って臨むべきなのか。トラブルを防ぐための正しい知識と対策について、専門家の見解を伺いました。

なぜ「離檀料」で揉めるのか?墓じまいに潜む盲点とは

---「墓じまいをしたい」と伝えた途端、法外な離檀料を請求されたり、埋蔵証明書を発行してもらえず遺骨を引き渡してくれないと言われたりするトラブルを耳にします。なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

柴田 充輝さん:

正直に申し上げると、私自身、供養の気持ちにつけ込むような商業的な宗教ビジネスのあり方には嫌気が差しています。ご遺族が「子どもに迷惑をかけたくない」という純粋な思いで墓じまいを決断したのに、そこに法外な請求をぶつけてくるのは、本来の宗教の姿とはかけ離れていると感じます。

話を戻しますと、トラブルの背景を冷静に理解しておくことが、ご自身を守る武器になります。そもそも離檀料には法的な支払い義務がありません。お世話になったお寺への感謝の気持ちを表すお布施のようなものであり、相場はおおむね10万円から30万円程度です。にもかかわらず200万円、300万円といった請求が起きるのはなぜでしょうか。

ここに大きな「盲点」があります。トラブルの主な原因は、お寺と檀家との付き合いに関する考え方のギャップにあるのです。若い世代はお寺との関係を重視してきた祖父母世代とは価値観が大きく異なり、管理費の滞納やお参りの放置が積み重なっていることも少なくありません。そうした状態で突然「墓じまいします」と伝えれば、お寺側が感情的になるのでしょう。

さらに厄介なのが、離檀料を払わなければ埋蔵証明書を交付しない、遺骨を引き渡さないという対応をとられるケースです。この書類がないと改葬手続きが進められないため、事実上の「人質」になってしまいます。こうしたトラブルを防ぐには、墓じまいを決定事項として一方的に伝えるのではなく、まず「相談」として丁寧にお寺に事情を説明することが大切です。法律上は支払い義務がなくても、長年の関係への敬意を示す姿勢が、円満な合意形成への第一歩になります。

「全部お任せ」は厳禁。業者との付き合い方と正しい段取り

---面倒だからと、業者にすべてを丸投げしたいと考えている方も多いようです。墓じまいの準備において、業者に頼ってはいけない部分や、注意すべきことはありますか?

柴田 充輝さん:

「面倒だから全部お任せで」と業者に丸投げしてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。特に注意したいのが、お寺との関係づくりを業者任せにしてしまうことです。

お寺に墓じまいの相談をしに行くことは、今までお世話になった挨拶をすることも兼ねています。そこに見知らぬ第三者が出てくると、かえってお寺と揉めてしまう可能性があるのです。お寺にとって檀家が減ることは収入源の喪失を意味しますから、業者から事務的に連絡が来れば心証を悪くするのは当然です。

業者との契約前に確認すべき点としては、まず「サービスの範囲」をしっかり把握することが挙げられます。代行業者によって対応できる内容は大きく異なり、すべてを行ってくれる会社もあれば部分的な対応しかしない会社もあります。何が含まれて何が含まれないのかを書面で確認しましょう。

次に、石材店から見積書や契約書といった書類をきちんと受け取っておくことが後々のトラブル防止につながります。口約束だけで進めると、追加費用を請求されたときに反論する根拠がなくなってしまいます。

お寺との合意形成で特に大切なのは、電話口でのやり取りや決定事項として告げるのではなく、できれば直接出向いて丁寧にコミュニケーションをとることです。墓じまいを考えた事情を率直に伝え、これまでの感謝をしっかり示したうえで、離檀料や手続きの進め方について具体的に相談しましょう。業者に頼れる部分と自分でやるべき部分を明確に分けることが、トラブル回避の鍵です。

見積もりで失敗しない!必ずチェックすべき費用の内訳

---墓じまいの費用相場が分からず、不当に高い見積もりを提示されるのではないかと不安です。見積もり段階で確認すべきポイントを教えてください。

柴田 充輝さん:

墓じまいで後から『こんなはずじゃなかった』とならないために、見積もり段階で必ず押さえておきたいチェック項目をお伝えします。

まず確認すべきは、お墓の基本情報です。お墓に何柱のご遺骨が入っているか、お墓の大きさや面積はどれくらいか、土葬のご遺体の有無の3点は、費用の算出に直結する重要な情報です。これを把握せずに見積もりを取っても、正確な金額は出てきません。

次に、見積書の「内訳」を必ず確認してください。墓石の解体・撤去費用は1平方メートルあたり約10万円、閉眼供養のお布施は3万円から10万円、離檀料は10万円から30万円程度が一般的な相場です。この相場感を頭に入れておくだけでも、金額交渉や不審な点にも気づきやすくなるので心強いです。

また、指定石材店があるかどうかも重要なポイントです。寺院墓地や民営霊園では提携の石材店が決まっていて他の業者を入れられないケースがあり、相見積もりが取れず費用が割高になる可能性があります。事前にお寺や霊園に確認しておきましょう。書面の契約書がない業者や大幅な値引きをしてくる業者は避け、必ず複数社から見積もりを取って比較検討してください。

そして、費用面で不安が大きい方にはもう一つの選択肢もあります。近年は、お墓の撤去や遺骨の供養を支援するNPO法人を利用する方法や、海洋散骨を選ぶ方も増えています。NPO法人の中には1柱あたり3万~5万円程度で対応してくれるところもあり、従来の改葬に比べて費用をぐっと抑えられるケースがあります。「新しいお墓を持つ余裕はないけれど、きちんと供養はしたい」という方は、こうした選択肢もぜひ検討してみてください。

円満な墓じまいのために。大切なのは「敬意」と「情報収集」

墓じまいは、単なる物理的なお墓の片付けではなく、先祖や寺院との長年の関係に一区切りをつける大切な儀式です。金銭的なトラブルを避けるためには、業者に丸投げせず、自分自身でお寺と丁寧に向き合うことが何よりも重要だということが分かりました。

また、見積もりの相場や内訳を事前に把握しておくことも、納得のいく合意形成を助ける強力な武器となります。もし費用面で不安がある場合は、NPO法人や海洋散骨といった選択肢も検討しつつ、自分たちにとって最善の形を模索してみてください。

長年の関係への敬意を忘れず、相手を尊重しながら冷静に対話を進めること。それが、後悔のない墓じまいへの一番の近道となるはずです。


監修者:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1200記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。