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「生活はできるだろう」“月20万円”の年金で暮らす70代夫婦→数年後、二人を待ち受けていた“思わぬ落とし穴”【お金のプロは見た】

  • 2026.3.31
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。日々の老後資金や年金に関するご相談に従事しているマネーシップス代表の石坂です。

老後の生活設計の相談では、「年金が月20万円ほどあるので生活は大丈夫だと思っている」という声を聞くことがあります。

しかし実際には、医療費や生活費によって家計の収支が少しずつ崩れるケースも少なくありません。今回は、年金収入はあるものの、医療費と生活費によって貯金が徐々に減っている70代夫婦の事例を紹介します。

「年金20万円なら大丈夫」のはずだった70代夫婦の家計

相談に来られたのは、東京都内に住む70代前半の夫婦です。

夫は会社員として長く働き、現在は年金生活を送っています。

夫婦の年金収入は次のような内訳でした。

  • 夫の厚生年金 月約14万5,000円
  • 妻の国民年金 月約5万5,000円

合計で月およそ20万円の年金収入です。夫婦は「年金が20万円あれば生活はできるだろう」と考えていました。

しかし実際の生活では、毎月の支出は次のような内容になっていました。

  • 食費 約6万5,000円
  • 光熱費 約2万2,000円
  • 通信費(スマホ・ネット) 約1万3,000円
  • 日用品 約1万5,000円
  • 保険料 約1万8,000円
  • マンション管理費・修繕積立金 約2万8,000円
  • 固定資産税(月平均) 約1万2,000円
  • 交際費・交通費 約1万5,000円

ここまでで、月およそ19万円ほどになります。

さらに医療費もかかっていました。夫は高血圧と糖尿病で月に1回通院しており、薬代も含めて、月約1万6,000円です。

妻も整形外科と内科に通院しており、月約1万2,000円ほどかかっていました。医療費は、合計で月約2万8,000円です。

結果として、毎月の支出は約21万〜22万円ほどになっていました。年金だけでは月1万〜2万円ほど足りない状況で、その不足分を貯金から補う生活になっていました。

「生活はできているが、貯金が少しずつ減っている」という状態が続き、将来の生活に不安を感じて相談に来られました。(※プライバシー保護の観点から内容を一部変更)

医療費は老後の家計を圧迫しやすい

老後の家計で見落とされやすい支出の一つが医療費です。高齢になると通院の回数が増えたり、複数の診療科に通うケースも珍しくありません。1回の支払いは数千円程度でも、薬代や検査費用が重なると月2万〜3万円ほどになる家庭も多く見られます。

入院や手術などが必要になった場合には、一時的にまとまった支出が発生することもあります。そのため「年金だけで生活できるか」を考える際には、生活費だけでなく医療費も含めて家計を確認しておくことが重要になります。

老後の家計は「収入」と「支出」のバランスが大切

70代になると収入の中心は年金になり、新たに収入を増やすことは難しいケースがあります。そのため大切になるのは、年金収入の範囲で生活費が収まっているかを確認することです。

たとえば、今回の夫婦の場合、年金収入は月20万円ほどでしたが、生活費と医療費を合わせると毎月21万〜22万円ほどかかっていました。この状態が続くと、毎月1万〜2万円ほどを貯金から補うことになり、年間では15万〜20万円ほど貯蓄が減る計算になります。

そのため、まずは現在の生活費を整理し、年金収入に近づけることが重要です。保険料や通信費などの固定費を見直すことで、支出を抑えられるケースもあります。

また、医療費や入院など予測しにくい支出に備えて、ある程度の貯蓄を残しておくことも大切です。年間の生活費が240万円ほどの家庭であれば、急な医療費などに備えて、200万〜300万円ほどの余裕資金があると安心につながります。

年金があるから安心と考えるのではなく、生活費とのバランスを確認しておくことが、老後の家計を安定させるポイントになります。


監修者:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、日本証券アナリスト協会認定資産形成コンサルタント、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。各種メディアにて毎朝金・プラチナ市況の解説を担当。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポート。