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「どれくらいになるのか」父の形見の“時計”を査定に出すと?→数分後、30代女性が聞かされた“驚きの事実”【買取のプロは見た】

  • 2026.3.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

以前、リユース店の窓口に立っていた頃、お客様に査定額をお伝えするのがつらい場面が時々ありました。

もちろん、状態がかなり悪い品物や、明らかに基準から外れているものについてご説明するのも気まずいのですが、それ以上にしんどかったのは、お客様が大切にしてきたつもりのお品物が、ちょっとした手入れや修理のせいで思いのほか評価を落としてしまっている時です。

今でも印象に残っているのが、お父様の形見だという高級時計をお持ちになった30代女性のお客様のことです。

形見の高級時計、見た目は新品同様なのに「評価が低い」理由

箱から出された時計は見た目がとてもきれいで、外装にも大きな傷はなく、普段から丁寧に扱われていたことがすぐにわかりました。お客様も「父のものなんですが、私は使わないので、どれくらいになるのか知りたくて」と話されていて、それなりの金額になるだろうという期待も感じられました。

実際、そのブランドの定番モデルで、状態が良ければ中古でもかなり高値がつく種類のものでした。

私は時計をお預かりして、バックヤードの鑑定担当に回しました。ところが、数分して戻ってきた担当者の反応があまり良くありませんでした。

確認すると、外側はきれいでも、文字盤や針の一部が純正ではないパーツに交換されている可能性が高いとのことでした。そのため、査定額は本来見込める金額よりかなり低くなってしまう、という判断だったのです。

街の時計店と正規メンテナンス、査定の現場で分かれる明暗

その結果を窓口でお伝えすると、お客様はかなり驚かれていました。

「こんなにきれいなのに、どうしてですか」と聞かれたのを覚えています。

さらにお話を伺うと、お父様が数年前に街の時計店でオーバーホールをされたことがあったとのこと。費用を抑えるために正規のメーカー修理ではなく、近所のお店にお願いしたのではないか、ということでした。

もちろん、街の時計店の修理が悪いという話ではありません。ただ、査定の現場では、純正パーツかどうかがかなり重く見られます。そこが変わっていると、見た目が整っていても評価が伸びにくくなりますし、ブランドによっては今後の正規メンテナンスや再販時の扱いに影響することもあります。

バッグも同様。メーカー外の「良かれと思った修理」が裏目に

こういうことは時計に限りません。以前店頭にいた時も、ブランドバッグで似たケースを何度か見ました。

持ち手や角の擦れを一般の修理店できれいに直してからお持ち込みになるのですが、見た目が良くなっていても、メーカー外で手が入っていることで査定ではマイナスになることがあります。

お客様からすると、大事に使うため、あるいは少しでも良い状態にするためにしたことですから、それが評価に響くと知って落胆されるのも無理はありません。

大切な品の価値を守るために――手放す前に一度「相談」を

店頭でこうしたケースに接していた経験から今でも思うのは、受け継いだ時計やバッグのように思い入れのある品物ほど、修理やメンテナンスをする前に一度相談したほうがいいということです。

きれいにしてから持ち込んだほうが良さそうに思えても、査定の観点では必ずしもそうとは限りません。特に高級時計やブランド品は、そのひと手間が価値に大きく関わることがあります。以前窓口に立っていた時、順番が違っただけで結果が大きく変わってしまう場面を何度も見てきたので、その点は強く感じています。


ライター:たるみくまお
現在、商社に勤務する現役ビジネスマン兼Webライター。過去にはアパレル・リユース業界に身を置き、店舗での接客およびブランド品・高級時計の査定業務に従事。古物商許可証を保有し、買取窓口の最前線で数多くの「モノと人のドラマ」に触れてきた経験を持つ。現在は商社での法人営業で培ったヒアリング力と、元査定担当としての「真贋や価値を見極める目」を掛け合わせ、二次流通市場のリアルな裏事情や、大切な品の資産価値を守るための正しい知識を分かりやすく解説する執筆を得意としている。