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保護者「同じ場所で待ちたくない」「8時15分以降に来て欲しい」送迎バスへの“要望”に運行会社が取った対応…

  • 2026.3.27
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

幼稚園では、年度変わりになると新しく入園する園児を迎えるため、幼稚園バスの時刻表を作り直します。なかには、バスの運転士自身が運行ルートを考える幼稚園もあります。

今回紹介するのは、幼稚園のバス運行管理をする会社に勤務していた14年程前のお話です。

少子高齢化がニュースを賑わしていた14年前、幼稚園は児童の取り合いでした。そのため、さまざまな理由が時刻表を作成する当時の私の頭を悩ませていたのです。

幼稚園バスの時刻表作成における悩ましい要因

よく道路を走る幼稚園バスを見かけますが、実はさまざまな条件をクリアしながら時刻表を作成しています。

特に、14年前の私を悩ませたのは、「40分ルール」と「保護者の要望」です。さらに、当時は「他園の200m圏内に入らない」という暗黙のルールもありました。

40分ルールとは、幼稚園バスに最初の園児が乗車してから、幼稚園までの運行時間が40分というもの。新入児童が必ずしも自宅が近いとは限らず、バス2台で網羅するには幼稚園バスのルートが広範囲に及ぶケースもあります。

そして、更に悩ましい問題が保護者からの要望です。近くまで迎えに来て欲しいと思うのは当たり前です。なかには、8時15分以降など時間指定する要望もありました。

幼稚園は、入園児童を確保するため、可能な限り要望を聞き入れようとします。そのようななかで、幼稚園バスの運行を管理するバス会社は時刻表を作成しなければなりません。

とはいえ、バス会社として本領発揮する場面でもあります。こうして、毎年3月は「保護者の要望vs幼稚園バスの時刻表作成」が始まります。

持てる能力を駆使して珍要望にも応える時刻表を作成

最初の園児が乗車してから40分以内に幼稚園へ到着するためには、一番遠い園児から迎える必要があります。

しかし、その保護者からは時間の指定があったり、近くの園児が早い時間指定をしてきたり、それぞれの家庭の事情から、多様なご要望が寄せられます。

少子化が進んでいた当時から、幼稚園側は選ばれる立場であり、私立幼稚園は特に保護者の要望を重視していました。そのため、運行管理の担当者である私と専属運転士は、何度も試走しながら運行ルートを組み立てていきました。

「できた!」と喜べば、他園の200m圏内に走行ルートを含めてしまったり、途中で園児に追加が出たり…当時は帰宅してからも、お風呂に入りながら運行ルートのイメージを繰り返したものです。

特に悩んだのが「マンションでグループが違うから同じ場所で待ちたくない」といったイレギュラーなご要望です。そんな希望には、マンションの表と裏にバス停を作り、2台のバスでそれぞれ迎える対策を取りました。

やっと出来上がる頃には幼稚園は終業式を迎え、新しい園児を迎える準備に入り、新しい時刻表を配布します。

新年度の運行開始!しかし待ち受けていたのは…

新しい園児を迎え、新ダイヤで運行を開始した幼稚園バスは、概ね順調だと運転士から喜びの声があがりました。しかし、喜んだのも束の間…

保護者からは「予定が変わったから時間を変更したい」「道路の反対側の方が待ちやすい」などさまざまな要望が入ります。

実際に幼稚園へ通うようになると、子どもの機嫌が悪い日や雨でバス停まで行く時間が足りない日もあるようです。そのため、毎朝忙しい保護者はバスの時刻表を変更して欲しいと申し出てくるのです。

このように、年度末にどれだけ悩んで時刻表を作成しても、4月の幼稚園バスは試走に近い形となります。4月に時刻表を見直し、保護者を説得しつつも要望を取り入れ、時刻表を確定していきました。

幼稚園バスは保護者の要望すべてを満たせないケースが多い

私が担当していた幼稚園は、関西のある地域です。条例や地域の特性によって、幼稚園バスは保護者の要望すべてを満たせないケースは少なくありません。

私立幼稚園同士の確執が、保護者の要望を叶えられない背景となってしまう場面もあります。しかし、運行会社や運転士は、できる限り保護者の希望を叶え、各家庭が楽しく過ごせる幼稚園生活を支えています。

今はバス会社を退職した私ですが、あのときさまざまな要望に応えながら作成した時刻表。あのときの達成感は、今でも忘れられない良き思い出です。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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