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医師「決定的な違いが現れます」→実は『認知症』の前兆だった…物忘れかを見分ける「2つの重要なポイント」とは?

  • 2026.3.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「最近、もの忘れが増えた気がする」「以前より趣味を楽しめないみたい」。そんな変化が、単なる老化現象なのか、それとも認知症のサインなのか、不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。

実は、認知症の前兆は単なる脳の寿命の問題ではなく、日々の環境が大きく影響しています。見逃されがちな「軽度認知障害(MCI)」の段階で気づくことができれば、健やかな日常を取り戻すチャンスも広がります。

本記事では、専門家の見解をもとに、認知症を招く環境要因と、今すぐ家族で取り組める具体的な対策について解説します。

なぜ認知症になるのか? 脳を壊す「3つの生活環境」

---認知症の前兆は加齢だけが原因ではないと聞きました。脳の機能が低下する具体的なメカニズムや、注意すべき生活環境を教えてください。

松岡 雄治さん:

「認知症の前兆は、単純な加齢による脳の寿命の問題というより、日々の生活環境が大いに関与して引き起こされます。ギプスで固定して動かさない足の筋肉が細くなるように、脳の神経回路も使われないとみるみる弱ってしまうのです。

脳の認知機能を壊す環境要因として、次の3つの要素が挙げられます。

1. 社会的な孤立や難聴による『脳の刺激不足』
会話や耳からの情報が途絶えることで、材料が届かない工場のように脳が稼働を止めてしまいます。

2. 睡眠不足による『老廃物の蓄積』
睡眠中に洗い流されるはずの脳のゴミ(アミロイドβ)が排出されず、細胞に悪影響を与え始めます。

3. 高血圧による『脳の栄養失調』
高血圧や糖尿病が、脳へ向かう細い血管を内側からボロボロに傷つけます。

これらは連鎖的に破壊を引き起こします。細いパイプが詰まると血流が滞り、脳は水をもらえない畑のように干からびて細胞が死滅してしまうのです。特に中高年の高血圧と糖尿病には注意が必要ですので、心当たりがある場合には受診をためらわず、積極的に介入しましょう。」

「ただの年のせい」と見過ごさないために。老化と軽度認知障害(MCI)の決定的違い

---「もの忘れ」が目立つようになってきました。これは老化によるものなのか、それとも本格的な認知症の前段階なのでしょうか? 見分けるポイントを教えてください。

松岡 雄治さん:

「『老化による単なる物忘れ』は引き出しから記憶を取り出すのに時間がかかる状態にすぎません。

本当に注意すべきは、明確な物忘れが目立つ前の『軽度認知障害(MCI)』の段階です。日常の行動において、以下の決定的な違いが現れます。

・判断力(実行機能)の低下
老化はうっかり手順を間違えます。一方MCIは、料理の味が変わったり、ATMの操作に戸惑ったりするなど、複雑な『手段的日常生活動作』が突然できなくなります。

・意欲の低下
老化現象であれば『疲れているから』と休みますが、MCIの場合は、長年楽しんでいた趣味や外出を、急に『面倒くさい』と避けるようになります。

見分けるポイントは『段取りが組めなくなったか』と『趣味が面倒になったか』の2点です。このサインをただの年のせいと見過ごすリスクは深刻です。放置すると年間およそ5〜15%の確率で本格的な認知症へと進行しますが、この段階で早期に気づき適切な対策を打てば、16〜41%の確率で健康な状態に戻ることも分かっています。早期発見は、健康な状態に引き返すチャンスであり、最新の治療を受けるためにも非常に重要です。」

今日から実践できる! 認知症の進行を防ぐ「本人と家族の具体的な対策」

---もし身近な人に異変を感じたら、どのように対応すべきでしょうか? 本人と家族が今すぐ始められる対策を教えてください。

松岡 雄治さん:

「初期サインに気づいた時、家族は不安からつい『さっきも言ったでしょ』と強く指摘してしまいがちです。しかし、認知症では新たな記憶を保存することが難しく、指摘されると恐怖と混乱だけが残り、症状を悪化させる引き金になります。まずはご家庭で、次の対応を確認してください。

【今日からできる2つの具体的アクション】
1. 本人の進行予防策
・上の血圧が家庭で135mmHg以上なら受診します。
・ウォーキングをしながらしりとりをするなど、頭と体を同時に動かす有酸素運動を取り入れます。

2. 家族の対応
・否定せず相槌を打ちます。『さっきも聞いたでしょ』という言葉を飲み込み、『そうだね』と初めて聞かれたトーンで短く答えます。
・異変の見える化:いつ、どんな不可解な行動があったかをスマホや手帳に箇条書きで記録しておきます。

最終的な判断は専門家に委ねましょう。いきなり“もの忘れ外来”に連れて行くのは本人の自尊心を傷つけるため、まずは風邪の相談や血圧の検査などと理由をつけ、かかりつけ医を受診してください。その際、事前に記録したメモをこっそり医師や看護師に渡すだけで十分です。ご家庭だけで抱え込まず、地域包括支援センターなどの公的な相談窓口も頼ってください。専門家は、家族が孤立するリスクを防ぐ最大の味方です。」

「小さな行動」が未来を変える

認知症の前兆は、日々の生活環境が大きく影響しています。だからこそ、環境を見直すことや、小さな変化にいち早く気づくことが、健やかな日常を維持するための鍵となります。

今日ご紹介した対策は、決して難しいことではありません。まずは血圧管理や家族での温かいコミュニケーションなど、できることから一つずつ始めてみてください。一人で抱え込まず、かかりつけ医や地域包括支援センターを頼ることも、本人を守るための大切な一歩です。


監修者:松岡 雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。