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医師「心不全や脳卒中を引き起こす」→実は『突然死』を招いているかも…睡眠に現れる「危険なサイン」とは?

  • 2026.6.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「8時間は寝たはずなのに、なぜか体がだるい」「朝起きても全然すっきりしない」……そんな経験はありませんか?睡眠時間を確保しているにもかかわらず、疲れが取れない状態が続くのは、単なる"疲れ"では済まされないかもしれません。

実は、その背後には命に関わる病気のリスクが潜んでいる可能性があるといいます。睡眠コンサルタントの資格も持つ麻酔科専門医・松岡雄治さんに、疲れが取れない本当の原因から、危険度のチェック方法、そして正しい受診のしかたまで、詳しく解説していただきました。

「寝ても疲れが取れない」の正体とは?心臓や脳を蝕む睡眠障害のメカニズム

---「十分寝たはずなのに疲れが取れない」という状態が続いています。これはただの疲労蓄積なのでしょうか?それとも、何か深刻な原因が隠れている可能性があるのでしょうか?

松岡雄治さん:

「時間は足りているのに疲れが取れない背景には、不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの「睡眠障害」が潜んでいる可能性があります。これらは交感神経を異常に興奮させ、突然死の引き金になる病気のリスクを高める可能性を秘めています。

「十分寝たはずなのに疲れる」という状態は、睡眠の質(睡眠休養感)が著しく低下しているサインです。その裏には、主に3つの睡眠障害が隠れている可能性があります。

1つ目は「不眠症」です。寝つきが悪い、途中で目が覚める、朝早く目覚める病態です。客観的な睡眠不足だけでなく、実際には眠れていても本人は全く眠れた感覚がない状態も含まれます。

2つ目は「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」です。睡眠中に気道が塞がり、呼吸が止まったりいびきをかいたりして、中途覚醒を繰り返すなどして、睡眠の質が低下します。

3つ目は「レストレスレッグス症候群、周期性四肢運動障害」です。夕方以降の脚のむずむず感や、睡眠中の脚のピクつきで深い眠りが妨げられます。

これらの睡眠障害を放置すると、心筋梗塞や脳卒中などの疾患リスクを上昇させます。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、睡眠休養感の低下が心血管疾患の危険性を高めることが指摘されています。

心血管リスクが高まるメカニズムは次のとおりです。睡眠中の呼吸停止や頻回な覚醒が起こると、脳が危機を察知し、交感神経系を急激に興奮させます。すると、血管を強力に収縮させるストレスホルモン(カテコラミンなど)が大量に放出され、夜間にもかかわらず血圧や心拍数が上がり、心臓や血管に過酷な負荷がかかります。これが毎晩繰り返されることで動脈硬化が進行し、心不全や脳卒中を引き起こすのです。」

今すぐ確認!自宅でできる「睡眠障害」危険度セルフチェック

---自分が睡眠障害かどうか、病院に行く前に確かめる方法はありますか?どんな症状が危険なサインになるのか教えてください。

松岡雄治さん:

危険度を測るため、日中の眠気、就寝時の感覚、睡眠中の異常、起床時の体調という4つの視点からセルフチェックを行ってください。睡眠時間という量だけでなく、「睡眠休養感」が得られているかを客観的に評価する必要があります。厚生労働省のガイドラインでもその重要性が指摘されています。

チェック項目は以下の5つです。

  • 日中の強い眠気…会議中や運転中など、起きていなければならない場面で強い眠気に襲われる場合は要注意です。
  • 就寝時の異常感覚…夕方から夜にかけて、脚に虫が這うような不快感があり、脚を動かさずにはいられない状態です。
  • 睡眠中の異常…家族から「いびきがうるさい」「呼吸が止まっている」「寝ている間に脚がピクついている」と指摘される場合も危険なサインです。
  • 起床時の不調…十分に時間を確保したはずなのに、頭痛がする、熟睡感がないという状態です。
  • 上の血圧が140mmHg以上ある、または肥満体型(BMI25以上)である

なお、いびきは、狭くなった気道を空気が無理やり通ることで生じる音です。夕方以降の脚のむずむず感(レストレスレッグス症候群)の原因は、現在のところ完全には仕組みが解明されていませんが、脳内の神経伝達物質(ドパミン)の機能低下や鉄分不足などの関与が医学的には考えられています。

すべての症状が当てはまらなくても睡眠障害の可能性はあるため、一つでも当てはまり、日中の活動に支障が出ている場合は、放置せずに一度睡眠外来などに相談してみましょう。」

どこに行けばいい?受診前に準備すべき「4つの情報」と検査の流れ

---危険なサインに気づいた場合、どこに受診すればいいのでしょうか?また、スムーズに診てもらうために、事前に準備しておくべきことはありますか?

松岡雄治さん:

「危険なサインに気づいた場合は、速やかに「睡眠外来」や「呼吸器内科」「精神科・心療内科」を受診してください。睡眠障害の診断には、専門的な機器による客観的な評価が大切です。また、診察室で医師に伝えるべき情報を事前に整理しておくことで、スムーズに検査や治療へ移行できます。

受診時に医師へ伝えるべき情報は4つあります。

  • 睡眠の状況…床に入った時刻、実際に眠った時刻、起きた時刻、途中で目が覚めた回数をメモしておきます。
  • 日中の困りごと…運転中や仕事中など、どのような場面で強い眠気に襲われるかを具体的に伝えます。
  • 家族からの指摘や自覚症状…いびきや呼吸停止、就寝時の脚の不快感の有無を確認し、睡眠中の音を録音して持参します。
  • 身体の病歴と服薬状況…高血圧や糖尿病などの持病、現在服用している薬、カフェインの摂取量を伝えます。

医師はこれらの情報をもとに診察を行い、簡易モニター検査や睡眠ポリグラフ検査(PSG)を実施します。検査では、寝ている間の無呼吸の回数や、酸素濃度の低下を確認して重症度を確認することができます。

睡眠障害であっても、適切な治療を行うことで睡眠の質は劇的に改善し、疾患発症のリスクを下げることができる可能性があります。一方で、ご自身の生活習慣改善だけでは難しいケースもあるため、改善に乏しいと感じたらお気軽に受診してみてください。」

「寝ても疲れる」を放置しないために——今日からできること

「十分寝ているはずなのに疲れが取れない」という状態は、単なる生活疲れではなく、心筋梗塞や脳卒中のリスクに直結する睡眠障害のサインかもしれないことが、松岡先生の解説から明らかになりました。

まず今日できることは、記事内のセルフチェックリストを試してみることです。「日中の強い眠気」「起床時の頭痛」「家族からのいびきの指摘」など、1つでも心当たりがあれば、それは体からの大切なSOSかもしれません。

睡眠障害は適切な治療によって改善できる病態です。「気のせいかも」「忙しいから仕方ない」と見過ごさず、気になる症状があれば睡眠外来や呼吸器内科へ相談する一歩を踏み出してみてください。毎晩の睡眠の質を守ることが、将来の健康を守ることにつながります。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

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