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『手の痺れとめまいがする…』“ただの疲れ”と放置した50代男性→数年後、医師に告げられた“意外な病”に「もっと早く気付いていれば」

  • 2026.6.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさまこんにちは、脳神経外科手術を含むあらゆる手術において全身管理を行う松岡雄治です。

「まただ。手が痺れてめまいがしたけれど、気づいたら治ってる。疲れているのかな、まあ大丈夫か」

街の精肉店を営むAさん(50代男性・自営業)は、忙しく働きながらそう思ってやり過ごしていました。

しかし、数年後、物忘れがひどくなり感情のコントロールが効かなくなったAさんは、妻に連れられ病院を受診。医師から「血管性認知症」と告げられます。小さな脳梗塞の積み重ねによって、脳の神経細胞が広範囲でダメージを受けて、ネットワークが失われていると説明されました。「もっと早く気付いていれば…」とAさんは振り返ります。

現在は、大きな不安なく趣味を楽しむ穏やかな日常は奪われ、進行の恐怖と向き合いつつ、家族との時間を大切にしています。今回は、めまいや手の痺れが「血管性認知症」の前兆だったケースをご紹介します。

「消えた症状」の裏で脳の機能が低下するメカニズム

「めまいや痺れはあったが数分で落ち着いたから大丈夫」という油断が、血管性認知症という事態につながったのはなぜでしょうか。それは、一時的な発作に見えても、実際にはすでに脳の組織が壊死しているケースが多々あるためです。

【一時的な発作が認知症を招くフロー】

  1. 一過性脳虚血発作(TIA):脳の血管に血栓が一時的に詰まり、めまいや痺れが出現し、血流が再開すると症状は消える
  2. 小さな脳梗塞の判明:現代の医学では、症状が消えたとしても精密検査(MRI等)で「微小な脳梗塞」が見つかることがある(その場合は「脳梗塞」と診断される)
  3. 階段状の機能低下:こうした小さな発作や梗塞を繰り返すうちに、ダメージを受ける脳の領域が広がり、発作のたびに「階段状」に認知機能が低下していく

「治ったからラッキー」という心理と、静かに進む脳へのダメージ

「少し休んだら治ったのだから、病院に行くほどではない」と考えたり、ただの疲れだと思ったりするのは、人間としてごく自然な心理です。

ただし、知っておくべき事実があります。一時的な症状(TIA)は、決して「治ったからラッキー」な出来事ではありません。将来起こるかもしれない致命的な「本物の脳梗塞の予告編」であると同時に、発作のたびにあなたの脳の機能を確実に低下させていく危険なサインになりうるのです。

さらに危険なのが、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を放置したまま、この小さな発作を見過ごすことです。これらは血管をボロボロにし、小さな脳梗塞を多発させる原因となります。正しい知識を持ち、血圧や血糖値をコントロールしましょう。

症状が重くなる前に確認したい「3つのサイン」

取り返しのつかない認知機能の低下を招く前に、ご自身のちょっとした不調を振り返ってみてください。以下のサインがある場合、脳の血管がダメージを受け、TIAを起こしている可能性があります。

1. 片方の手足や顔が急に痺れたり、力が入らなくなったりした

数分で治ったとしても、脳の運動や感覚を司る領域の血流が一時的に途絶えた可能性があります。

2. 急にろれつが回らなくなった、言葉が出なくなった

脳の言語を司る領域の血管が詰まりかけたサインかもしれません。

3. 片方の目が見えにくくなった、物が二重に見えた

目や脳の視覚を司る領域への血流が一時的に遮断された状態であり、決して見逃してはならない重要なSOSの可能性があります。

症状が出たり消えたりする今こそ受診しましょう

「症状も消えたのだから病院に行くなんて大げさだ」と見て見ぬふりをしてしまうと、思いがけない代償を払うことになるかもしれません。忙しい毎日の中で、つい自分の体を後回しにしてしまうことに心当たりがある方も多いでしょう。

TIAの段階で早期に発見し、適切な薬の服用や生活習慣の改善を行えば、重症の脳梗塞や血管性認知症への進行を予防できる可能性があります。「ちょっとおかしいな?」と感じたとき、症状が落ち着いたとしても、決して自己判断せず、まずはお近くの脳神経内科や脳神経外科にお気軽にご相談ください。


※本記事は一般的な医学的情報の提供を目的としており、特定の診断や治療を保証するものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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