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眼科医「目の表面を傷つけている」→実は『目薬』が逆効果になっている…意外とやりがちな“危険な使い方”とは?

  • 2026.4.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

花粉症の季節になると、目のかゆみは本当に辛いものです。すがりたくなるのが目薬ですが、もし「かゆいから」と、日に何度も繰り返し点眼していませんか? 実は、良かれと思ってやっているその習慣が、かえって目の表面を傷つけている可能性があるのです。

なぜ、目薬のさしすぎが目の不調を招くのでしょうか。また、どのような使い方が本当に効果的なのでしょうか。今回は、目薬の正しい知識とリスクについて、専門家のモイモイさんに解説していただきました。目薬と正しく付き合い、辛い時期を健やかに乗り切るためのポイントを紐解いていきます。

なぜ「良かれと思って」が逆効果?目薬が引き起こす目の負担とは

---花粉症の時期は目薬が欠かせませんが、頻繁に点眼しすぎることには何かリスクがあるのでしょうか?

モイモイさん:

「目薬は正しく使えばとても有効ですが、必要以上に多く使うことで、かえって目の表面に負担をかけてしまうことがあります。目薬そのものの成分に加えて、製品によっては品質を保つために防腐剤が含まれており、これが眼の表面に悪影響を及ぼすことがあります。特に、防腐剤の中ではベンザルコニウム塩化物(BAK)がよく知られており、繰り返し使いすぎると、涙の膜や黒目の表面である角膜上皮に負担がかかりやすくなります。

角膜は、涙の膜と上皮のバランスによって刺激や乾燥から守られていますが、過剰な点眼によってこのバランスが崩れると、目の表面を守るバリア機能が弱くなってしまいます。すると、乾燥や刺激に敏感になり、しみる、ゴログロする、かすむといった不快感が起こりやすくなります。さらに、眼の表面が荒れた状態が続くと、外からの刺激にも弱くなり、目をこすりやすくなったり、症状がなかなか改善しにくくなったりすることもあります。

花粉症の時期は、もともと目の表面に炎症が起きやすいため、その上に頻回点眼が重なると悪循環になりやすいです。つまり、花粉症でつらいからといって自己判断で目薬の回数を増やしてしまうと、症状を抑えるつもりが、逆に目の表面を傷つけ、眼の不調を長引かせてしまうことがあるのです。」

「しみる・痛い」は危険信号?角膜上皮障害のメカニズム

---かゆみが強いと、つい何度も点眼してしまいます。目薬のさしすぎで目の表面にはどのようなことが起きているのでしょうか?

モイモイさん:

「花粉症で目のかゆみが強いと、少しでも楽になりたくて、目薬を何度もさしたり、刺激のある使用感のものを選んだりしてしまう方も少なくありません。しかし、こうした使い方でまず起こりやすいのが、角膜の最も表面にある細胞が傷つく角膜上皮障害です。角膜の表面は本来なめらかですが、過剰な点眼によって上皮障害が進むと、しみる、痛い、ゴロゴロする、まぶしい、かすむといった症状が出てきます。

さらに花粉症の時期は、アレルギーによる炎症で目の表面がもともと不安定になっており、まばたきや目をこする刺激だけでも傷が増えやすい状態です。そこに目薬のさしすぎが重なると、表面のダメージがさらに悪化し、角膜びらんや角膜潰瘍のような、より広い範囲の傷につながることがあります。
加えて、防腐剤が入った目薬を繰り返し使うと、こうした傷の修復が遅れやすくなることもあります。重症化した場合には、より深い角膜障害に進み、角膜が濁って見えにくさが残ることもあるため注意が必要です。かゆみを抑えようとして点眼回数を増やした結果、症状が悪化するのはこのような仕組みによるものです。そのため、つらい時ほど自己判断で回数を増やすのではなく、治療内容を見直して症状を適切に和らげることが大切です。」

1回1滴で十分!効果を最大限に引き出す正しい点眼法

---効果を求めて何度もさしてしまいますが、正しい点眼の回数や、より効果を高めるためのコツはありますか?

モイモイさん:

「私が患者さんによくお伝えするのは、目薬も飲み薬と同じで、『多ければ多いほど良い』というものではないということです。飲み薬も決められた量を守ることが大切なのと同じように、目薬も用法・用量を守って使うことが基本です。

まず、1回の点眼量は1滴で十分です。目にとどまれる量には限りがあるため、何滴も入れても効果が強くなるわけではなく、あふれた分は目の外に流れてしまいます。また、目薬の効果を高めるための方法として、点眼後はすぐに何度もまばたきをするのではなく、軽く目を閉じて目頭をやさしく押さえることをおすすめしています。こうすることで目薬が鼻へ流れにくくなり、目にとどまりやすくなります。

花粉症でもコンタクトレンズを使っている方は多いと思いますが、『コンタクトレンズ装用中も使用可』と記載された点眼を選ぶことが大切ですし、しみる・痛い・かすむといった症状が強い間は無理に装用せず、いったん休むことも重要です。コンタクトレンズの刺激で症状がつらくなったり、角膜の傷につながったりすることがあるからです。症状が続く時は、自己判断で回数を増やすのではなく、眼科で点眼の種類や使い方を見直すことが、角膜の健康を守るうえで大切だと思います。早めの相談が安心につながります。」

自己判断で回数を増やさないことが、目の健康を守る第一歩

「つらい症状をなんとかしたい」という思いから、無意識に繰り返していた目薬の点眼。それがかえって目のバリア機能を低下させ、新たな不調を招いていたとは驚きでした。目薬はあくまで治療の補助として、用法・用量を守ることが大前提です。

もし今、目薬をさしても改善せず「しみる」「ゴロゴロする」といった症状があるなら、一度その使い方を見直すタイミングかもしれません。自己判断で回数を増やすのではなく、専門家に相談して適切な治療を受けることこそ、辛い花粉症の時期を乗り切るための最も近道だといえそうです。


監修者:モイモイ
眼科医・医療ライター。大学病院での診療経験をもとに、眼科領域を中心とした一般向け医療記事の執筆・監修を行う。専門性の高い内容を読者に伝わる言葉へ置き換えることを得意とし、疲れ目やドライアイなど身近な症状から、早期発見が重要な眼疾患まで幅広く発信。医学的な正確性と読者目線のわかりやすさを両立したコンテンツ制作を心がけている。

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