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「受診を検討して」皮膚科医が警告。爪の『縦スジ』には原因があった…加齢や乾燥だけじゃない“恐ろしい病気”のサイン

  • 2026.3.7
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ふと自分の手元を見たとき、爪に縦スジが入っていたり、色がくすんで見えたりして「ドキッ」としたことはありませんか?

「年齢のせいだから仕方ない」と諦めてしまうことも多い爪の変化ですが、実はその中には、貧血や内臓疾患など、体からの重要なサインが隠されていることもあります。

一体どのような変化なら様子を見てよくて、どのような症状なら病院へ行くべきなのでしょうか?

今回は、爪に現れる症状の見極め方や、自宅でできる正しいケア方法について、皮膚科医の竹内先生に詳しく解説していただきました。

その爪の変化、ただの老化現象ですか?

---爪の縦スジや色の変化は、年齢とともに増える気がします。これらはすべて老化現象として片付けてしまって良いのでしょうか? 受診すべき「危険なサイン」があれば教えてください。

竹内先生:

「年齢変化として多いのは、左右対称にゆっくり進む縦スジ、軽い乾燥による二枚爪、爪の伸びが遅いなどで、痛みや皮膚の腫れを伴わないことが一般的です。

一方で、内臓疾患や全身の異常のサインとして見逃したくないのは『色』『形』『突然の変化』です。例えば、爪が全体に白っぽく見える(肝疾患・低栄養・爪白癬などの可能性)、爪が青紫〜灰色っぽい(循環・呼吸器の問題を示唆)、スプーン状に反って薄い(鉄欠乏性貧血のことがある)、爪が広く浮いて剥がれてくる(甲状腺機能異常なども鑑別)、横方向の深い溝や線が複数出る(高熱や強いストレス、全身状態の変動後に生じることがある)などです。

さらに、むくみ・息切れ・だるさ・体重減少・黄疸などの症状が同時にある場合は、爪の変化が皮膚疾患(爪白癬やカンジダなど)によるものではなく、内臓疾患の一症状である可能性が上がります。爪について急な色調変化/形の大きな変化/全身症状の併存があれば『年齢のせい』と決めつけず、お近くの皮膚科(や必要に応じて内科)の受診を検討してみてください。」

爪がボロボロ…これって栄養不足?

---爪がすぐに割れたり、薄くなったりすることに悩んでいる人も多いです。これは家事などの外的要因が大きいのでしょうか、それとも体の内側の問題なのでしょうか?

竹内先生:

「爪が脆く割れやすい・欠ける・薄い状態の場合、外的刺激(手洗い・洗剤・摩擦・ジェル/アセトン・乾燥)が原因として生じることが多いですが、全身状態のサインとして出ることもあります。

代表は栄養状態の不良で、鉄欠乏(貧血)では薄く反る・割れやすくなる、低栄養や急な体重減少では爪の成長が落ちるなどの症状がみられます。

亜鉛や微量元素であるセレンの欠乏でも、爪に症状が出ることが知られています。甲状腺機能異常(特に亢進)では爪が浮きやすいことがあります。皮膚疾患では乾癬やアトピーで表面がデコボコ・欠ける、円形脱毛症でも点状陥凹が出ることがあります。

肝・腎など重い内臓疾患だけで爪がボロボロになるケースは多くはありませんが、慢性疾患で栄養不良や末梢循環が悪いと爪が弱くなり得ます。また薬剤(抗がん剤など)や強いストレス後に横溝(爪に横線)が出ることも。つまり、爪の変化は『生活刺激+栄養・ホルモン・皮膚疾患・薬剤』の影響が重なって起きる可能性があります。」

高いクリームは不要? 今すぐできる正しいケア

---爪を健康に保つためには、やはり高価なネイルクリームなどを使ったケアが必要なのでしょうか? 自分でできる効果的な対策を教えてください。

竹内先生:

「爪のセルフケアとして、高級クリームを使うことは必須ではありません。外部からの刺激を減らして、乾燥を防ぐことが大切です。今すぐできる具体策として、下記のようなものがあります。

1.水・洗剤・アルコールに長く触れない:食器洗い・掃除は手袋を着用し、手洗い後は水分をよく拭き取る。

2.保湿をしっかりと行う:家にあるワセリンや白色ワセリン、オイル(ベビーオイル等)を爪と甘皮まわりに薄く塗り、寝る前にもう一度行う。

3.爪の扱いを変える:爪を短めに保ち、先端をヤスリで一方向に整える(ガタつきを残さない)。爪を道具代わりに使わず、ジェルや除光液(アセトン)を頻回に使うことは避ける。

爪の主成分はタンパク質です。爪の生成を促すためにもタンパク質や鉄、亜鉛を意識した食事を心がけましょう。爪噛み・むしり癖がある方は中止が必要です。

爪はこれらのセルフケアを行なってもすぐに生えるわけではなく、2〜3か月は“新しい爪が伸びる期間”なので、ケアは短期勝負ではなく継続が大切になります。痛み・腫れ・色の異常がある場合は、セルフケアより受診を優先してください。」

「2〜3か月」の継続が、健やかな爪を育てる

毎日の生活で酷使しがちな爪ですが、その変化は単なる「荒れ」や「老化」だけではなく、貧血や内臓疾患といった体からのメッセージである可能性があります。特に「急な色の変化」や「全身の不調」が重なる場合は、自己判断せずに医療機関を頼ることが大切です。

そして日々のケアにおいて重要なのは、高価な道具ではなく、水仕事の際の手袋着用やこまめな保湿といった「基本の積み重ね」でした。新しい爪が育つまでの数ヶ月間、じっくりと自分の手元と向き合うことから始めてみてはいかがでしょうか。


監修者:竹内
医学部を卒業後、現在は皮膚科医として病院やクリニックで外来診療を行っています。 皮膚科医として専門的な内容をわかりやすく伝えることに重点をおき、WEB記事監修や執筆活動も行っています。