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3,200万円で住宅購入→「早く返済を進めたい」毎年100万円繰り上げ返済するが…5年後、40代男性を襲った“想定外の落とし穴”

  • 2026.4.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。家計や資産形成の相談を日々お受けしている、マネーシップス代表の石坂です。

住宅ローンの繰り上げ返済は、利息を減らして、返済期間を短縮できる方法として知られています。そのため、「余裕があれば積極的に行った方がよい」と考える方も多い分野です。

一方で、繰り上げ返済を優先しすぎた結果、手元資金が不足し、家計が不安定になるケースも見られます。今回は、実際の相談現場でよくある事例をもとに、資金計画の考え方を紹介します。

「計画通りの返済」が家計を崩したケース

相談に来られたのは、40代前半の会社員の男性です。妻と子ども1人の3人家族で、世帯年収は約680万円です。

住宅購入時の借入は3,200万円、返済期間は35年。変動金利0.7%でスタートし、毎月の返済額は約8万5,000円でした。

このご家庭では、「少しでも早く返済を進めたい」という考えから、毎年100万円の繰り上げ返済を継続して行っていました。ボーナスや貯蓄を充て、5年間で合計約500万円を返済に回しています。

その結果、元本は順調に減り、将来の利息負担も軽減されていました。

しかしその一方で、手元の預貯金は大きく減少していました。当初は約300万円あった貯蓄が、繰り上げ返済を優先したことで最終的には約50万円程度まで減少していたのです。

その後、勤務先の業績悪化によりボーナスが減少し、さらに家電の買い替えや医療費が重なったことで、資金繰りに余裕がなくなる状況となりました。

「計画的な行動」がリスクになることもある

繰り上げ返済は、利息を減らすという点では合理的な行動です。

ただし、今回のケースでは「手元資金を減らしすぎた」ことが問題でした。

住宅ローンの金利が0.7%の場合、100万円を繰り上げ返済して減らせる利息は年間で約7,000円程度です。一方で、その100万円を手元に残しておけば、急な支出や収入減少に対応することができます。

つまり、「確実な利息削減」を優先するあまり、「不確実なリスクへの備え」を弱めてしまっている状態です。

私が相談を受ける中でも、「計画的に返済していたのに、途中で資金が足りなくなった」というケースは少なくありません。特に教育費や収入の変動がある時期には、その影響が大きくなります。

住宅ローンは長期間にわたる支出であるため、総額の削減だけでなく、資金の余裕を維持する視点が欠かせません。

後悔しないために知っておきたいFPが考える繰り上げ返済

繰り上げ返済は有効な手段ですが、優先順位を誤ると家計全体のバランスを崩します。

まず重要なのは、手元資金の水準をあらかじめ決めておくことです。生活費の半年分程度を目安に資金を確保しておくことで、急な支出や収入の変動にも対応しやすくなります。この水準を下回る状態で繰り上げ返済を行うと、家計の安定性が低下します。

また、繰り上げ返済の効果を正しく理解することも必要です。低金利の住宅ローンでは、利息軽減の効果は限定的です。そのため、「大きく得をする」というよりも、「確実に負担を減らす手段」として位置づけることが重要です。

さらに、住宅ローンだけでなく、教育費や老後資金、日常の生活費なども含めて、家計全体で資金配分を考える必要があります。繰り上げ返済はあくまで余裕資金の範囲で行うものであり、最優先にすべきものではありません。

住宅ローンは長期にわたる支出です。利息の削減だけでなく、生活の安定を維持できるかという視点を持つことが、後悔しない資金計画につながります。

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