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世帯年収1000万円で4800万円のマンション購入→35年の住宅ローンを組むが…数年後、夫婦を襲った“思わぬ大誤算”【お金のプロは見た】

  • 2026.3.10
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。日々お金にまつわる相談に向き合っている、マネーシップス代表の石坂です。

「家賃を払い続けるなら、家を買った方がいい」住宅購入を検討すると、このような言葉を耳にすることがあります。住宅ローンの金利が低い時期には、家賃と大きく変わらない返済額で住宅を購入できることもあり、「それなら購入した方がよい」と考える人も少なくありません。

特に共働き世帯の場合、二人分の収入があることで住宅ローンの審査にも通りやすく、住宅購入を後押しされるケースもあります。今回は住宅ローン契約後に起きた、思いがけない家計の変化について紹介します。

世帯年収1,000万円でも安心ではなかった「この収入なら大丈夫」と言われた住宅ローン

首都圏に住むAさん(仮名)夫婦は共働きで、夫の年収は約600万円、妻は約400万円、世帯年収はおよそ1,000万円ありました。将来を考え、住宅購入を検討し始めたといいます。

不動産会社に相談すると、「この収入なら住宅ローンは問題なく組めます」「家賃と同じくらいの返済額で購入できます」と説明を受けました。紹介されたのは約4,800万円のマンション。頭金は多く入れず、35年の住宅ローンを組む形でした。

夫婦が選んだのは変動型の金利で、当時の返済額は毎月およそ12万円です。それまでの家賃は13万円だったため、「家賃と同じくらいなら購入した方がよい」と考え、住宅購入を決断しました。当時は収入も安定しており、毎月ある程度の貯蓄もできていました。

しかし数年後、家計の状況は少しずつ変化していきます。まず影響したのが金利でした。変動型の住宅ローンは、市場環境によって金利が見直される仕組みです。

さらに生活費も上昇しました。食費や光熱費などの支出が増え、子どもが生まれたことで妻は時短勤務に変更、世帯収入も以前より減少しました。

住宅ローンの返済は続く一方で、収入は減り生活費は増えています。田中さんは「以前は貯蓄もできていましたが、最近は住宅ローンと生活費でほとんど残らなくなりました」と話します。(※プライバシーの観点から名前や数字を一部変更)

「家賃と同じ返済額」だけで住宅ローンを判断するリスク

住宅購入を検討する際、「家賃と同じくらいの返済額なら問題ない」と考える人は少なくありません。しかし、この考え方には注意が必要です。

購入時には問題のない返済額でも、将来の金利の変化によって返済負担が増える可能性があります。特に変動型の住宅ローンは、金利の動きによって返済額が変わることがあります。

また、共働き世帯の場合、出産や育児によって働き方が変わり、世帯収入が減るかもしれません。住宅を所有すると、固定資産税や修繕費、管理費などの費用も発生します。賃貸の家賃と単純に比較するだけでは、実際の負担を正確に判断できない場合もあります。

住宅ローンは「今の家計」だけで判断しないことが重要

住宅ローンは30年以上続くこともある長い契約です。4,800万円を35年の住宅ローンで借りた場合、金利0.6%では毎月の返済額はおよそ12万円程度になります。しかし、金利が1.5%程度まで上昇すると、毎月の返済額は14万円前後になります。月2万円ほどの差でも、年間では約24万円の負担増になります。

FPとして相談を受けていると、「いくら借りられるか」を基準に住宅ローンを決めてしまうケースも少なくありません。住宅ローンは、借りられる金額ではなく、将来の家計でも無理なく返していけるかという視点で考えることが大切です。

【事例から学ぶ3つのポイント】

  • 共働きで年収が高くても、出産や生活費の増加で家計の余裕がなくなることがある
  • 「家賃と同じ返済額」でも、住宅には税金や管理費などの追加の費用がかかる
  • 住宅ローンは「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」で考えることが大切

監修者:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。