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「現金で渡すのが面倒だから」“孫名義”で口座作成→50万円振り込み…その後、祖父を襲った“想定外の誤算”【お金のプロは見た】

  • 2026.3.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

入学祝いなどのタイミングでまとまったお金を渡したい場合、金額が大きくなると現金で渡しづらくなります。そこで、祖父母がお孫さん名義の銀行口座を作り、小遣いやお祝い金を振り込むご家庭も多いのではないでしょうか。

しかしその善意が、思わぬ税務トラブルに発展するかもしれません。今回は、意外と知られていない名義預金の罠と、賢くお金を受け取るための方法について解説します。

孫へのお小遣いに発生する税金

先日、私の知人である40代女性のUさん(仮名)がファイナンシャルプランナーに家計相談をした際、Uさんの父からUさんの息子に振り込まれた入学祝い金にかかる税金について指摘され、大変驚かれていました。

Uさんの父親は、「現金で渡すのが面倒だから」という安易な気持ちで、自分の孫名義で銀行口座を作り、50万円を振り込んだとのことです。

Uさんは110万円を超える贈与には税金がかかることを知っていたため、今回のお金については「贈与税の対象にならないだろう」と考えていたのです。

年間110万円以下でも要注意!名義預金の罠とは

Uさんが認識していた110万円とは、暦年贈与(贈与税を計算する方法のひとつ)の基礎控除額のことです。実際に多くの方は「110万円以下の贈与には税金が発生しない」と考えているでしょう。

しかし、今回のように祖父が孫名義で口座を開設し、通帳や印鑑を本人以外が管理している場合、税務署からは「実質的な持ち主は祖父である」とみなされる可能性が高いのです。これは名義預金と呼ばれるもので、孫名義の口座にいくらお金が貯まっていようと、口座に入っている段階では孫への贈与として成立しておらず、祖父母の財産のまま扱われます。

その結果、毎年非課税となる110万円以下のお金を少しずつ渡していたつもりでも、孫がそのお金を使おうとしたタイミングで多額の贈与税が課せられることになりかねません。

税金をかけずに祖父母から援助を受ける賢い方法

祖父母から孫へ祝い金などを渡したい場合、税金が発生することなく資金援助を受けるには、国税庁のルールに基づいた2つの方法があります。

1.必要な都度、直接「教育費」として支払う

法律上では、扶養義務者(祖父母や親)から生活費や教育費として取得した財産のうち、通常必要と認められるものには贈与税がかかりません。そのため、教育費として渡す現金は課税対象とならない可能性があります。

ただし、ここで重要な点は「必要な都度、直接支払う」ことです。学費や塾代、入学金などが必要になったタイミングで、祖父母から直接学校や塾へ振り込んでもらう、あるいは必要な金額だけを受け取ってすぐに支払いに充てることが重要です。

2. 「教育資金の一括贈与に係る非課税措置」を利用する

「将来の学費のために今すぐまとまったお金を渡しておきたい」という場合は、教育資金の一括贈与に係る非課税措置制度を利用する方法もあります。

30歳未満の孫などへ教育資金を一括で贈与したい場合、金融機関を通じた手続きによって作った専用の口座を利用することで、最大1,500万円までが非課税となる特例措置があります。この制度を活用すれば、税務署から名義預金と疑われることなく、堂々とまとまった資金を受け取れます。

家族の思いを正しい形で受け継ごう

孫を思う祖父母の純粋な善意が思わぬ税金トラブルに発展してしまうと、家族全員が落胆してしまいます。年間110万円という数字だけで安易な判断をせず、「実質的な管理者は誰か」「お金の渡し方は適切か」などの点に着目して適切に管理することが大切です。

必要な教育資金は直接支払ったり、教育資金贈与の特例を利用したりと制度を賢く活用し、家族の温かい思いをトラブルなく未来へつないでいきましょう。


参考:No.4405 贈与税がかからない場合(国税庁)
No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁)


ライター:野田晃司
FP2級を保有する金融特化ライター。難しいお金の話を「誰にでもわかる言葉」で伝えることを得意とする。深くリサーチし、それを初心者にも伝わる言葉へ変換することに定評を受けている。FPとしての知識を活かし、これまでに500本以上の記事を執筆。「お金の不安を安心に変える身近なアドバイザー」として活動中。