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夫の死後、通帳を探すも見当たらず「生活費はどうすれば…」→さらに60代女性を襲った“想定外の大誤算”【お金のプロは見た】

  • 2026.3.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

夫が心筋梗塞で倒れ、そのまま帰らぬ人となったのは、何の前触れもない平日の朝でした。

66歳女性・Aさん(仮名)は葬儀を終えた翌日、ふと「生活費はどうすれば」と思い立ち、夫の通帳を探し始めました。しかし、どこを探しても見当たりません。「うちは夫に任せておけば大丈夫」と思っていたAさんは、夫が亡くなって初めて、自分が何も知らされていなかったことに気づきました。

今回は、厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当している柴田が、「夫の死後の相続における失敗談」を通して、今すぐ夫婦で共有すべきポイントを解説します。

「夫に任せていた」家庭が直面する3つの落とし穴

Aさんのように、家計の管理をどちらか一方に任せきりにしている夫婦は少なくありません。しかし配偶者が突然亡くなったとき、その「任せていた」という事実が深刻な問題に変わります。

まず口座凍結です。銀行口座は死亡と同時に凍結されるわけではありません。しかし葬儀社への支払いや役所への届け出を進めるなかで、銀行に死亡の事実を伝える場面が出てきます。その届け出を境に口座は凍結され、以降は遺産分割協議が終わるまで原則として引き出せなくなります。相続手続きには戸籍収集だけで1〜2ヶ月かかることもあり、その間の生活費をどう工面するかは残された家族にとって切実な問題です。Aさんも「まさかこんなに早く使えなくなるとは」と肩を落としていました。

次に隠れ借金・連帯保証の発覚です。住宅ローン以外の借入や、知人の保証人になっていたといった事実が、死後に初めて判明するケースがあります。相続放棄ができる期限は「相続を知った日から3ヶ月」。この期限を過ぎると借金も含めてすべてを相続したとみなされるため、時間との戦いになります。

そして見落とされがちなのがデジタル資産の把握です。ネット証券・暗号資産・電子マネー・サブスクリプションサービスはIDとパスワードがわからなければアクセスすら困難です。Aさんの夫もネット証券に口座を持っていましたが、ログイン情報が不明なまま現在も手続きが進んでいません。

借金があるかどうかは死後でも調べられる

「もしかして借金があるかもしれない」と不安なとき、調べる方法があります。信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)に開示請求をすれば、故人のローンやクレジットの契約状況を確認できます。郵送で手続きが可能で、数週間で結果が届きます。

借金が判明し、相続放棄を検討する場合は家庭裁判所への申述が必要です。3ヶ月の期限に間に合わない可能性があれば、期限の延長申請もできます。ただし手続きは複雑なため、早めに弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。一人で抱え込まず、専門家を頼りましょう。

今すぐ夫婦で共有すべき3つの情報

「うちは大丈夫」と思っているご夫婦こそ、今日確認してほしいことがあります。

1.金融資産の一覧を作る

銀行口座・証券口座・保険証券の保管場所と、おおよその残高をリストにして共有してください。エンディングノートを活用するのも有効です。

2.借入・保証の有無を伝えておく

住宅ローン以外の借入や、誰かの連帯保証人になっている場合は必ず配偶者に共有してください。

3.デジタル資産のIDを残す

ネット証券・電子マネー・サブスクのIDとパスワードは、紙に書いて封筒に入れ、金庫や通帳と同じ場所に保管しておきましょう。

配偶者が亡くなった直後でも、一定の条件を満たせば凍結口座から仮払いを受けられる制度があります。 2019年の法改正により、相続人一人につき口座残高の3分の1×法定相続分(上限150万円)まで引き出せるようになりました。葬儀費用や当面の生活費に充てられるため、まずは銀行の窓口に相談してみてください。

まとめ

Aさんが直面した混乱は、夫が悪意を持って情報を隠していたわけではありません。

「自分がいなくなるとは思っていなかった」ただそれだけのことが、残された家族を追い詰めました。お金の情報を夫婦で共有することは、信頼関係を疑うことではありません。

万が一のときに、大切な人を守るための準備です。今夜、通帳がどこにあるかを確認するところから始めてみてください。


監修者:柴田 充輝

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1200記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。