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「家賃6.5万→5.5万円に値下げ」たった2ヶ月で治安が激変したマンション…オーナーが払った“思わぬ代償”

  • 2026.4.1
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皆さま、こんにちは。10年以上の実務経験があり、宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士のライターT.Sです。

引越しを検討する際、相場より安い家賃の物件を見つけて心惹かれた経験を持つ方は多いのではないでしょうか。しかし、極端に安い家賃には見えないリスクが潜んでいる場合が少なくありません。

今回は、空室を埋めるための急激な家賃値下げが、結果的にマンションの治安悪化を招いてしまったエピソードを紹介します。

平和なマンションを襲った空室対策の罠

郊外にある築18年、全24戸の賃貸マンションでの出来事です。この物件は当初、全体の約9割が居住歴5年以上の優良な入居者で占められており、クレームも少ない平和な環境でした。しかし、周辺に新しい競合物件が増加した影響で、5室の空室が発生してしまいます。

焦ったオーナーはとにかく早く空室を埋めようと、家賃を6.5万円から5.5万円へと段階的に値下げしました。家賃を下げた効果により、わずか2ヶ月ですべての空室が埋まります。

しかし、値下げ後の入居者によって、マンションの雰囲気は一変します。深夜の騒音やゴミ置き場への不法投棄が深刻化し、共用部に置いていた掃除用具が勝手に持ち出されるなどのトラブルまで頻発する事態となりました。

優良な居住者が去り悪循環に陥る

治安の悪化は、長く住んでいた居住者たちに大きな不安を与えます。この状況に耐えかねた入居歴7年の主婦は「雰囲気が変わり子どもを外に出せない」と告げ、早々に退去を決意します。さらに内見時に家賃の安さが決め手だと語っていた新規入居者の30代男性も、深夜の怒声や治安の悪さに恐怖を感じていました。

彼も、数万円の短期解約違約金(入居から一定期間内に退去する場合に発生するペナルティ)を払い、逃げ出すように退去してしまいます。結果として優良な居住者が次々と消え、トラブルを起こす入居者ばかりが残る悪循環に陥ってしまったのです。

事態の深刻さに気づいたオーナーは物件の売却を決意しますが、収益還元法(家賃収入をもとに物件価格を算出する計算方法)により賃料低下が直接響き、査定額は購入時より2割ダウンという結果に終わりました。

家賃の安さと治安リスクを見極める視点

家賃を急激に引き下げることは入居審査の基準が実質的に下がるため、モラルの低い入居者が混在するリスクを高めることになります。貸す側は目先の家賃値下げに走るのではなく、保証会社の利用を徹底したり、リノベーションで付加価値を向上させたりして、長期入居者を維持する対策を優先すべきだったとも考えられます。

そして借りる側も、極端に安い物件を選ぶ際は、トラブルに巻き込まれるリスクを十分に考慮しなければなりません。お部屋探しの内見時は室内を見るだけでなく、ゴミ置き場やポスト周りなどの共用部が荒れていないかを必ず確認してください。さらに夜間や休日の時間帯にも周辺環境をチェックし、安全に生活できる環境かどうかをしっかりと見極めて判断することをおすすめします。



ライター:T.S(宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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