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「どうせ無理」を超えてゆけ! 墨俣一夜城と“この世を見返す”男たち【NHK大河『豊臣兄弟!』7話】

  • 2026.2.24

*TOP画像/直(白石聖) 小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』7話(2月22日放送)より(C)NHK

 

戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第7話が2月22日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

 

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侍大将となった藤吉郎、難役に挑む

織田信長(小栗旬)は犬山城を攻め落とし、ついに尾張統一を成し遂げました。そして、藤吉郎(池松壮亮)は織田家重臣の一人として、評定に参加を許されるほど出世を果たしました。

藤吉郎(池松壮亮)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟』7話(2月22日放送)より(C)NHK

信長の次の企ては美濃攻めであるものの、墨俣(すのまた)に砦(とりで)を築くのに難航中。この難業は佐久間信盛(菅原大吉)や柴田勝家(山口馬木也)さえも失敗しています。

 

そうした中、藤吉郎は“難しい仕事だからこそ、自分がやってみせたい”と思いを募らせていきます。この積極的な心意気は何事にも躊躇しがちな現代の私たちにも見習うべきものがあるかもしれません。

 

小一郎(仲野太賀)は砦建設の成功に向けて、現地へ赴いた者たちから話を聞いてまわります。饅頭を差し入れたり、マッサージを施したりするなど、相手に合わせて細やかな気遣いをし、心を開いて経験を語ってもらえるように工夫します。

 

また、小一郎は立派な干し柿を持参し、勝家を尋ねましたが、「わしを笑いに来たのか」と一蹴されていました。それでも、勝家は「敵は斎藤ではない。「とき」じゃ」と重要な助言を彼に与えていました。とはいえ、小一郎も藤吉郎も重要なヒントである“とき”について“土岐”なのか何であるのか悩みます。

 

“とき”について考えを巡らせる中、斎藤軍は砦がほぼ完成した頃に攻めてくるのがお決まりのパターンだという話を聞き、“とき”が“時”を意味することに気付きました。

 

さらに、小一郎は、母・なか(坂井真紀)が味噌汁の下ごしらえをしておくことで、簡単に仕上げる姿を見て、ひらめきました。砦も別の場所で下ごしらえをしておけば、短時間で完成させられると思いついたのです。

 

この計画を実現するには、尾張と美濃の国境の川筋を仕切る川並衆の協力が不可欠です。しかし、川並衆の棟梁・蜂須賀正勝(高橋努)は、かつての仲間である前野長康(渋谷謙人)と確執を抱えていました。

 

長康と正勝は共に武功を挙げて出世し、城持ちになることを夢見てきましたが、数々の戦で負け続け、“疫病神”と罵られるようになりました。久しぶりに許された戦でもおとりとして利用され、正勝は“誰の下にもつかぬ”と決意。一方、長康はこうした考えでは乱世を生き抜けないと判断し、織田家に仕える道を選びました。

長康(渋谷謙人) 大河ドラマ『豊臣兄弟』7話(2月22日放送)より(C)NHK

藤吉郎が正勝に協力を説得する最中、斎藤の兵が織田家臣の小一郎や藤吉郎を狙って長康の屋敷を包囲しました。長康、弥助(上川周作)、甚助(前原瑞樹)らが危機に陥る中、正勝は小一郎らとともに駆けつけ、救出に成功しました。

安藤守就(田中哲司) 大河ドラマ『豊臣兄弟』7話(2月22日放送)より(C)NHK

小一郎(仲野太賀) 藤吉郎(池松壮亮) 蜂須賀正勝(高橋努) 前野長康(渋谷謙人)大河ドラマ『豊臣兄弟』7話(2月22日放送)より(C)NHK

正勝と長康は負け続きで自信を失っていましたが、この勝利で再び軍神として蘇ります。そして、正勝は“3年後の城持ち”を条件に砦建設への協力を決意しました。

 

本作において、藤吉郎は「共にこの世を見返そう」と、正勝に声をかけていました。負け続けた人生にうんざりし、“この世を見返してやりたい”と思う人は現代でも少なくありません。しかし、“どうせ無理だろう”と諦めてしまうことも多いでしょう。そんな中、本作には下剋上の希望が脈々と流れ、勇気づけられる力があふれていました。

 

小一郎と直 近しい関係性だからこそすれ違う心

藤吉郎と寧々は祝言を挙げ、家族に祝福されながら幸せいっぱいの夫婦となりました。しかし、祝言直前、二人が激しく言い争うシーンも……。

 

藤吉郎が「お市様と比べても (花嫁姿の寧々は)遜色のない美しさじゃ」と口にしたことで、寧々は“お市様の方が好きなのか” “いつもはお市様の方が美しいと思っているのか”と誤解し、心をかき乱されたのです。藤吉郎の発言には配慮が足りなかったかもしれませんが、相手に本音をぶつけ合い、ケンカできるのは信頼できる夫婦の証ともいえます。

 

一方、直(白石聖)は藤吉郎と寧々の仲睦まじい姿をさみしげに見つめていました。二人の祝言の直前には「私は中村に帰る!」と小一郎に宣言。この言葉は単なる思いつきではなく、積もり積もった思いの表れでした。

 

小一郎が兄とともに駆け巡る日々の中で、直は孤独感や不安感を深めていました。戦場にいる小一郎の無事を案じ、心が兄の方にばかり向いているように感じて寂しかったのです。

 

それもそのはず、直は若くして父の許しを得ず実家を離れ、見知らぬ清須の地で暮らしています。しかも、唯一の頼りである小一郎とは一緒に暮らせないばかりか、彼は戦場へ行くこともありますし、留守もしがちです。心細さが募るのは当然です。

 

小一郎と直は遠慮なく思いを伝え合える関係でしたが、小一郎は直の心に近しさと信頼ゆえに寄り添えていませんでした。

 

小一郎は直の胸の内に気づけなかったものの、彼女を誰よりも深く愛していました。だからこそ、直が病に伏せたときには全財産にも思える量のお賽銭を携えて、必死に祈っていたのです。

直(白石聖) 小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟』7話(2月22日放送)より(C)NHK

藤吉郎が「直。わしは死なん!必ず生きて 直のところに帰ってくる!約束する![中略]お主が わしの帰る場所なんじゃ」と、直に気持ちを打ち明け、抱きしめるシーンは感動しました。

 

本放送回では、正勝と長康、小一郎と直という関係性を通じて、思いや自分の意図を伝えなければ、どんなに近しい間柄であっても心がすれ違ってしまうということを、静かに、しかし確かに教えてくれたように感じます。

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