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【長野県伊那市の"わが街ソウルフード"】美味すぎる!羊肉が主役の焼きそば「チャーローメン」はビールで1皿、〆でもう1皿食べられる

  • 2026.2.21

長野県の南部、人口6万人ほどの小さな街が発祥のB級グルメが「ローメン」だ。dancyu食いしん坊倶楽部メンバーのみえちさんにとっては、“夫の故郷”の味。しかしながら、その“ローメン愛”は夫以上。みえちさんが愛する「ローメン」の派生、「チャーローメン」とは、いかなるものか。

【長野県伊那市の"わが街ソウルフード"】美味すぎる!羊肉が主役の焼きそば「チャーローメン」はビールで1皿、〆でもう1皿食べられる

■汁があるかないか、ローメンとチャーローメン

熱々のお手製チャーローメンを頬張るみえちさん
熱々のお手製チャーローメンを頬張るみえちさん

気がつくと夫の故郷の味が病みつきになっていました、とdancyu食いしん坊倶楽部会員のみえちさんは話す。夫の故郷は長野県伊那市で、その一皿とは羊肉とキャベツを蒸した麺と炒める、ソース風味の「炒肉麺(チャーローメン)」だ。

「伊那にいた頃は、居酒屋で1杯目の生ビールと共に注文して食べ、それから別のものをあれこれつまんだ後で、締めにもう一皿食べるほどでしたから」(みえちさん)

それはたしかに「病みつき」レベルだ。愛娘の離乳食としても食べさせていたというから、彼女のチャーローメン愛(ラブ)ぶりがうかがえる。一般的には「ローメン」でひとくくりにされることが多いが、スープ版「ローメン」と、焼きそば版「チャーローメン」に分かれるらしい。みえちさんは後者一択。伊那地方では、お祭りの際の屋台でもチャーローメンが売られていたらしい。

「伊那に引っ越した当初は、羊肉が苦手で食べられませんでした。ですが、ある居酒屋で試しに食べたら、『あっ、こんなにおいしいんだ!』となってハマりました。少し厚めに切られた羊肉は臭みがなく、むしろ程よい噛みごたえがあり、多めのキャベツから出る水分と甘味で一定のコクがあり、とてもマイルドな味になるんです」(みえちさん)

マイルドな味だからこそ、各自がお好みの味にできるのも魅力。伊那市内でチャーローメンやローメンを提供する店のテーブルには、いずれも自分好みに味変できるように、ウスターソース、お酢、七味、ごま油、おろしニンニクなどが並んでいるという。

「私はお店で出されたチャーローメンに、お酢を加えてあっさり味にするのが好きで、夫はニンニク多めでラー油を少々足しますし、15歳になった娘は辛いのが苦手で、自宅で食べるときは中濃ソースを足す感じですね」(みえちさん)

■夫が伊那から買ってくる、独特の麺

服部製麺所のローメン用「蒸し麺」
服部製麺所のローメン用「蒸し麺」

伊那地方では昭和30年代に羊毛産業が盛んだったが、当時の羊肉は臭みが強くて食用ではなかったという。そのイメージが強いせいか、伊那市在住のみえちさんの義父母はご当地グルメとして定着した今でも、チャーローメンもローメンも食べないらしい。ところが、みえちさんは、チャーローメンの禁断症状がときどき出るという。

「親の介護で実家のある東京に戻ってきてからは、生ビールを飲む度にチャーローメンがむしょうに食べたくなって、口寂しくなるんです」(みえちさん)

ご主人が実家に帰省する度に、伊那市にある「服部製麺所」の蒸し麺をまとめ買いしてきていもらい、自宅には常に10袋ほどを冷凍保存で常備。羊肉は近くのスーパーで薄切りパックを購入して、毎月1、2回は家族で楽しんでいる。

「まず水と鶏ガラスープで出汁をとり、ウスターと中濃ソース、隠し味にオイスターソースを加えて薄味に整えて、あとは家族各自で好きな味にして満喫しています。ですが残念ながら、私が好きなチャーローメンには何か一味足りないんですよねぇ~~、それが何なのかは今も謎です」(みえちさん)

■製麺所の社長を直撃!

蒸し麺
蒸し麺
調理シーン
調理シーン
ローメン石碑
ローメン石碑

服部製麺所の服部大希(だいき)社長によると、第二次世界大戦後、中国大陸から戻ってきた兵隊たちが、現地で食べていた麺料理を伊那市でも楽しむようになったのがローメンやチャーローメンの発端だという。

「先代社長の話だと、1960年当時は家庭に冷蔵庫がまだ普及しておらず、3日程度しか日持ちしない麺の保存期間をどうやって延ばすのか、が課題だったようです。そこで先代社長が、市内にある中華料理店『萬里』の先代店主と試行錯誤する中で、製造過程で麺の水分を熱風で飛ばして乾燥させることで、賞味期限を延ばす方法を考案したようです」(服部社長)

熱風で乾燥させるために同製麺所の麺は、市販の焼きそば麺より茶色で麺も硬めながら、ローメンもチャーローメンにも使える。

「当社の麺は、ローメンの場合はそのままスープに入れて戻しますが、チャーローメンの場合は麺をゆでて柔らかくしてから、羊肉やキャベツと一緒に炒めてご利用いただいています。そのおかげでどちらもモチモチした食感を楽しめます。賞味期限も現在は製造日から10日間まで大丈夫です」(服部社長)

服部社長の話だと、伊那市のご当地グルメとして定着した今、ローメンを扱う店の方が多いが、若い人には味が比較的濃いチャーローメンのほうが人気らしい。少数だが、両方を提供する店もあるという。

■“わが街ソウルフード”は、夫婦円満の秘訣

服部社長の好みを聞くと、「小さい頃はチャーローメンが好きでしたけど、大人になってからはスープ版のローメンを好んで食べるようになりましたね」という答えが返ってきた。年齢によって好みが変わる点も、このソウルフードの奥深さかもしれない。

一方、みえちさんのチャーローメン愛は、親の介護がひと段落つけば再び伊那に戻りたいというほどに強固で、揺るがない。

「主人と別れたら服部製麺所の蒸し麺の入手が、困難になるじゃないですか。『縁の切れ目がチャーローメンの切れ目』になる事態はどうしても避けたいので、チャーローメン愛が夫婦円満の秘訣、とでも書いておいてください」

そう話す彼女のソウルフード愛、少々のおのろけも含めてご馳走様でした。

文・写真:荒川 龍、写真:みえちさん

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