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「いつまで待たせるんだ!!」銀行窓口で客が激怒。数年分の“未記帳通帳”を前に、銀行員が提示した選択肢とは…?

  • 2026.2.18
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。
今日は、私が銀行の窓口業務に携わる中で、今でも忘れられない“あるトラブル”についてお話ししたいと思います。

銀行窓口は、一見すると「手続きが遅い」「融通がきかない」と思われがちな場所かもしれません。
しかしその裏側では、1円の誤差も許されない厳格なルールと、見えない責任が常に張り巡らされています。

「いつまで待たせるんだ!!」と怒鳴られた日

その日、窓口に来られたお客様は、数年分の通帳が未記帳の状態でした。
ATMコーナーに設置されている記帳機では対応できず、店内の通帳記帳機で付込処理を行う必要がありました。

この店内の通帳記帳機は、通常の記帳機よりは早いものの、私が働いていた銀行では通帳1冊が満タンになるまで約5分かかりました。
枚数が多ければ、それだけ時間も必要になります。

処理を進めている最中、待ち時間が長く感じられたのでしょう。
お客様はついに声を荒らげました。

「いつまで待たせるんだ!!」

窓口のカウンター越しに浴びせられる怒号。
しかし、途中で処理を止めることはできません。
記帳は一度始めると、最後まで完了させる必要があるからです。

提示できる選択肢と、できないこと

私は冷静に、以下の選択肢をご案内しました。

  • 後日、記帳後の通帳を郵送する方法
  • その場で記帳が終わるまでお待ちいただく方法

ただし、郵送には条件があります。
銀行に届け出ている住所宛にしか郵送できないため、住所変更がある場合は、別途諸届窓口での手続きが必要です。
つまり、

  • 住所変更 → 諸届窓口で順番待ち
  • それが難しければ → 記帳完了まで待つしかない

どちらかを選んでいただく必要がありました。

なぜ、ルールを曲げられないのか

「少しくらい何とかならないのか」
そう言われることも少なくありません。

しかし銀行では、マネーロンダリング防止や不正防止の観点から、
記帳・郵送・本人情報の確認すべてに厳格なルールが定められています。

感情で対応を変えることはできません。
それはお客様を守るためであり、同時に銀行員自身の責任を守るためでもあるのです。

怒号が飛び交う中でも、私たちは淡々と、しかし丁寧に説明を続けます。
それが「お断りの技術」であり、銀行窓口におけるホスピタリティだと私は思っています。

この経験から、読者の方へ伝えたいこと

銀行窓口での待ち時間や手続きの多さに、
「どうしてこんなに時間がかかるのだろう」と感じたことがある方は、きっと少なくないと思います。
実際、私自身も窓口に立つ前は、ここまで多くの確認や制約がある仕事だとは想像していませんでした。

一つひとつの作業は小さく見えても、その積み重ねの先には「もしものトラブルを防ぐ」という大きな目的があります。
確認を省くことで早く終わる手続きもあるかもしれません。
しかし、万が一のミスが起きたとき、その影響はお客様の生活そのものに及んでしまいます。お客様の大切な資産に、1円たりとも間違いがあってはならない。その最後の砦として、私たち銀行員は、時に融通がきかないと思われても、厳格な確認を徹底する責任があるのです。

だからこそ、窓口では「急いでいる」というお気持ちを受け止めつつも、
守らなければならない一線を越えない判断が求められます。
その判断の積み重ねが、結果として金融の安心を支えているのだと、日々実感しています。

もし銀行窓口で「時間がかかる」と言われたとき、
それは単なる作業の遅さではなく、安全と正確性を守るための時間である可能性があります。

少しだけ視点を変えていただけると、

  • なぜ待つ必要があるのか
  • なぜ途中で止められないのか

が、見えてくるかもしれません。

銀行窓口の向こう側では、今日も「当たり前」を守るために、
静かで必死な仕事が続いています。


ライター:くまえり銀行員

金融機関の窓口業務に携わり、日々さまざまなお客様対応を経験。
忙しい日常の中で起こりがちな銀行手続きの行き違いやトラブルを、窓口の内側から見た視点で、読者に寄り添いながら伝えています。「知らなかった」が「なるほど」に変わる瞬間を大切に執筆中。