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キャンセル待ちで築10年マンションを購入→入居3か月後、世帯年収850万円・30代夫妻を襲った“誤算”【不動産のプロは見た】

  • 2026.2.15
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

お部屋探しや住まい購入の条件として、以下の3つを重視する人はとても多いと感じています。

  • 南向き
  • 角部屋
  • 日当たりの良さ

内覧で部屋に入った瞬間、明るい日差しが差し込んでいると、それだけで印象はぐっと良くなります。

「ここなら気持ちよく暮らせそう」
「日当たりがいいなら、将来売るときも安心だろう」

そう思うのは、ごく自然な感覚でしょう。

しかし、実際に暮らし始めてみると「思っていた快適さ」とはまったく違う現実が待っているケースもあります。

今日は、その日当たりの良さだけを信じて選んだことが後悔につながってしまった、30代共働き夫婦のエピソードを紹介します。

南向き・角部屋にキャンセルが出て即決

今回は、私の知り合いでもある30代のAさんご夫妻の事例です。

購入当時の世帯年収は約850万円。「家賃を払い続けるより、早めに買ったほうがいい」と考え、新築ではなく、築10年ほどの中古マンションを探していました。

希望条件は、とてもシンプルでした。

  • 南向き
  • 角部屋
  • 明るく、開放感があること

そんな中、検討していたマンションの部屋(南向きで角部屋)でキャンセルが出たという連絡が入ります。急いで内覧すると、その部屋は条件にぴったりでした。

リビングに入った瞬間、たっぷりの日差しが差し込み、窓も多く、外の景色もよく見えます。奥さまが、思わずこう口にしました。

「この明るさなら、昼間は電気いらないね」

他の部屋も空いていましたが、細かく比べることはせず、Aさんご夫妻はその場で購入を決断しました。

夏になって発覚した「想像以上の暑さ」

最初の夏を迎えたときのことです。朝から夕方まで南側と西側の窓から強い日差しが入り続け、冷房をつけていない時間はじっとしていても汗が止まりません。

思わず、奥さまが冗談まじりにこう言いました。

「ダイエットになるかもね…」「それよりも、なんか外より暑くない?」

実際、冷房を切ったあとのリビングは、35度近くまで上がっていて危険でした。熱中症リスクのことも考えて、遮光カーテンやブラインド、断熱シートを次々に追加します。

気づけば、入居から3か月で約15万円の想定外の出費。それでも暑さは思うように抑えられず、冷房を使う時間はどんどん長くなっていきました。

結果として、電気代は賃貸時代より毎月1万円以上アップ。この家での夏は、快適に過ごすというより、暑さに耐える時間になってしまったのです。

角部屋ならではの「音」と「温度差」

暑さに加えてもう一つ気になり始めたのが、角部屋ならではの影響でした。実際に暮らしてみて、次のような変化を感じるようになります。

  • 外気の影響を受けやすく、部屋ごとの温度差が大きい
  • 風が強い日は、窓や換気口から音が入りやすい
  • 夜になると、外を走る車の音が思った以上に響く

一つひとつは我慢できそうでも、重なるとじわじわストレスになって効いてきます。ある日、ご主人がこうこぼしました。

「日当たりはいいのに、なんだか不快で落ち着かないんだよね」

南向き・角部屋という条件自体が悪いわけではありません。ただ、断熱性能(窓やサッシの仕様)や、夏と冬で室温がどう変わるかまで想定していなかったことが、大きな誤算でした。見た目や条件だけでは、暮らしやすさまでは判断できなかったのです。

日当たりだけで決めると、後悔する

このケースで本当に残念だったのは、判断の軸が日当たりに偏っていたことです。もし購入前に、次の点まで踏み込んで考えられていれば、結果は変わっていたかもしれません。

  • 夏場の日差しが、何時ごろから何時ごろまで室内に入るのかを確認していたか
  • 直射日光を遮る建物やバルコニーの出方がどうなっているかを見ていたか
  • 同じマンション内で、似た向き・階数の部屋を確認していたか
  • 「日当たりが良すぎる部屋」が敬遠されるケースがあることを理解していたか

日当たりは、プラスにもマイナスにもなります。明るさだけを見て判断すると、その裏にある暮らしづらさや売りにくさに気づけません。このケースが教えてくれるのは「人気条件が自分にとって快適とは限らない」ということです。

だからこそ、条件の良し悪しではなく、その部屋でどんな一日を過ごすことになるのかまで想像して選ぶべきではないでしょうか。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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