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一度も洗濯物を干してないのに30万円…?入居から10年後、30代夫妻を襲った大誤算【一級建築士は見た】

  • 2026.2.14
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「2階には広めのバルコニーを」

注文住宅の打ち合わせで、多くの方が検討されることの一つです。

しかし、入居から10年が経過したTさん夫妻(30代)のバルコニーに置かれているのは、使い道のない物干し竿と、隅に溜まった泥汚れ、そしてエアコンの室外機だけでした。

共働きのTさん夫妻にとって、洗濯は夜の室内干しか、ガス乾燥機の活用が中心。結局10年間で一度も洗濯物を外に干すことはなかったといいます。

「なんとなく便利そう」というイメージで設置した空間が、結果として掃除の手間が増えるだけの場所になってしまうこともあるのです。

使っていなくても発生する「維持費」

バルコニーを検討する際に知っておきたいポイントは、たとえ使っていなくてもメンテナンス費用が発生する可能性があることです。木造住宅において、バルコニーは雨漏りのリスクに配慮が必要な箇所の一つといえます。

床の防水層は、紫外線を浴び続けることで経年劣化が進みます。防水性能を維持するためには、10年から15年ごとに表面の塗り替えや再防水工事を検討することが大切です。

Tさんのもとに届いたメンテナンスの見積書には、バルコニーの防水工事として「30万円」の文字が並んでいました。一度も使っていない空間にこれだけの費用をかけることに、Tさんは戸惑いを感じたといいます。

放置が住まい全体に与える影響

「使っていないなら、そのままにしておけばいい」と考えるのは注意が必要です。バルコニーの防水機能が低下すると、雨水が床下や、家を支える重要な構造材へと浸入しかねません。

気づいたときには木材の腐食が進み、修繕費がさらに膨らんでしまうこともあります。バルコニーを作った場合は、定期的にメンテナンス費用を積み立てておく必要があるといえるでしょう。

一級建築士が「バルコニーなし」を提案する理由

近年「バルコニーを作らない」という選択をされる方が増えています。その理由には、以下のようなものがあります。

・コストの最適化
バルコニーを作るには、防水工事だけでなく、手すりや専用の窓などの設置で100万円近いコストがかかります。その予算を「ランドリールーム(室内干し専用の部屋)」などの充実にあてる方が、近年増えています。

・メンテナンスリスクの軽減
家の形状をシンプルにすることで雨漏りのリスクを抑え、将来の維持費の削減が期待できます。

・断熱性能への配慮
バルコニーへ出入りするための大きな窓は、冬場の冷気の入り口になりやすいものです。窓の配置や種類を工夫することで、光熱費の節約につながります。

「面積」は削れても「維持費」は削れない

家づくりにおいて大切なのは、初期費用だけでなく、将来の維持費まで想像することです。

もし今、プランの途中にいるなら、ご自身のライフスタイルを冷静に見つめ直してみてください。そのバルコニーは、本当に10年後、20年後もメンテナンス費用をかけて守り続ける必要がある場所でしょうか。

「あって当たり前」という固定観念を一度外してみることが、将来のゆとりある暮らしにつながるかもしれません。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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