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「年収500万で4000万マンション」を買った30代夫婦→10年後、リボ払いに追い込まれた“想定外のワケ”

  • 2026.3.6
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

住宅ローンの事前審査が通ったとき、多くの方がほっとされます。銀行から融資可能と言われると、大きな買い物への不安が和らぐものです。不動産は人生で最も高額な支出の一つですから、背中を押された感覚になるのも無理はありません。

しかし、借りられる金額と、無理なく生活を続けられる金額は同じではありません。

今日は、年収500万円の共働き世帯が4,000万円のマンションを購入し、10年後に貯金がほとんど残らなくなったケースを取り上げます。ローンのシミュレーションをもとに、住宅費が家計にどのような影響を与えるのかを具体的に見ていきます。

手取り33万円。住宅費がじわじわと家計を締めつける

10年ほど前に担当した、30代前半のAさんご夫婦のケースです。世帯年収は500万円、手取りは年間約400万円、月にすると約33万円でした。

購入したのは4,000万円のマンションです。諸費用(登記費用や仲介手数料など)は自己資金で支払い、物件価格の4,000万円を全額ローンで借り入れました。金利は変動金利の年0.7%、返済期間は35年です。

当時の毎月の住宅関連費を整理すると、次のとおりです。

毎月の住宅関連費
・ローン返済:約107,000円
・管理費、修繕積立金:25,000円
・固定資産税(月換算):10,000円
→合計:約142,000円

参考:住宅保証機構株式会社|住宅ローンシミュレーション

手取り33万円に対して、住宅費は約14万2千円。手取りの約43%を占めています。

私はその場でこう伝えました。

「住宅費は手取りの25〜30%以内が目安です。40%を超えると、家計は一気に不安定になります」

それでもAさんはこう答えました。

「今の家賃とあまり変わりませんし、ボーナスもあります。大丈夫だと思うんです」

家賃との比較、そして賞与を前提にした家計設計。この判断が、数年後に家計の余裕を静かに奪っていくことになります。

「ボーナス前提」の家計設計が招いた静かな赤字状態

Aさん夫婦の毎月の支出は、次のとおりでした。

  • 食費:60,000円
  • 保険料:30,000円
  • 通信費:20,000円
  • 光熱費:25,000円
  • 日用品・交際費:40,000円
  • 保育園費用:30,000円

ここまでで約20万5千円です。これに住宅費14万2千円を加えると、毎月の支出は合計34万7千円になります。手取り33万円を上回る水準です。

不足分は、児童手当やボーナスで補っていました。つまり、毎月の収支は実質的に赤字で、賞与で埋める構造になっていたのです。

本来、賞与は会社の業績や景気の影響を受けるため、確実に支給される収入ではありません。そのため、毎月かかる固定費をボーナスで補う家計設計はリスクが高いといえます。

それでもAさんは、自社は安定しているから心配ないと笑顔で話されました。しかし、この判断が、後になって家計の余裕を少しずつ奪っていくことになります。

教育費が月3万円増えた瞬間、家計崩壊

購入から7年後のことです。お子さんが小学校高学年になり、塾に通い始めました。教育費は月3万円に増加。

同じ時期に、奥様が体調を崩し、パート収入が月5万円減少しました。支出は増え、収入は減る。家計のバランスは一気に崩れます。

その月、Aさんから久しぶりに連絡がありました。

「貯金がほとんどありません。カードのリボ払い(あらかじめ決めた一定額で毎月支払いをすること)も増えていて…」

そして、10年目の時点で、ローン残債は約3,050万円でした。思ったほど元本は減っていません。さらに住宅ローン控除も終了し、実質的な負担は重くなっていました。

銀行基準は“生活基準”ではない

銀行は、返済比率(年収に対する年間返済額の割合)をもとに、融資できる金額を判断します。基準を満たしていれば、理論上は借り入れ可能と判断されます。

しかし、銀行が見ているのは現在の年収と返済額のバランスです。次のような将来の変化までは保証してくれません。

  • 教育費の増加
  • 親の介護
  • 転職や収入減
  • 賞与の減額

年収500万円で4,000万円の借り入れは、数字上は可能です。ただし、住宅費が手取りの40%を超えると、家計の余裕は一気に小さくなります。

予想外の出費や収入減が一度起きれば、その月から赤字に転落します。それが二度、三度と続けば、貯金は簡単に減っていきます。これが、気づかないうちに近づいてくる家計の崖です。

借りられる額ではなく、守れる額で決める

住宅ローンは、審査に通すことが目的ではありません。家計を守れる金額で組むことが大切です。

目安としては、住宅費を手取りの25〜30%以内に抑えることです。年収500万円の世帯であれば、総住宅費は高くても月10万円台に収める設計が一つの基準になります。

生活費や教育費が増えても耐えられる「余白」がなければ、家計は簡単に崩れます。

購入前に、10年後も貯金を続けられているかを具体的に想像してみてください。答えに迷いがあるなら、価格を一段下げる判断も選択肢です。


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