1. トップ
  2. レシピ
  3. 若い世代で急増中…“20代”が気を付けるべき「潰瘍性大腸炎」とは?発症の原因を専門医に聞く

若い世代で急増中…“20代”が気を付けるべき「潰瘍性大腸炎」とは?発症の原因を専門医に聞く

  • 2026.1.20
「潰瘍性大腸炎」はどんな病気?
「潰瘍性大腸炎」はどんな病気?

「潰瘍性大腸炎(UC)」は、日本国内の患者数が年々増加している病気で、厚生労働省により指定難病に認定されています。池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック東京豊島院(東京都豊島区)院長で、消化器病専門医、総合内科専門医の柏木宏幸さんによると、男性では20〜24歳、女性では25〜29歳で最も発症しやすく、若い世代に多い病気のため、特に20代は気を付けた方がよいとのこと。そこで、柏木さんに潰瘍性大腸炎の主な症状や原因などについて聞きました。

長期的な治療が必要となる

Q.潰瘍性大腸炎とは、どのような病気なのでしょうか。

柏木さん「潰瘍性大腸炎は、自分の腸に対して過剰な免疫反応が起こることで、大腸の粘膜に慢性的な炎症が生じる病気です。その結果、粘膜のただれや潰瘍ができてしまいます。腸に過剰な炎症が起こる『炎症性腸疾患(IBD)』を代表する疾患の一つで、男性では20〜24歳、女性では25〜29歳で最も発症しやすく、若い世代に多い病気です。そのため、若い世代の方々に特に知っていただきたい病気です。性別による差はありませんが、子どもや高齢者でも発症することもあります。

大きな特徴としては、症状が良くなる『寛解期』と悪化する『活動期』を繰り返すことです。寛解期であっても、適切な治療を継続しないと症状が悪化したり、長期経過により大腸がんを合併するリスクが高まったりすることが知られています。そのため、症状が落ち着いている時期も治療や検査を続けることが非常に重要であり、長期的な治療が必要となります。

日本国内の潰瘍性大腸炎の患者数は年々増加しており、現在は30万人を超えると推定されており、決して珍しい病気ではありません」

Q.潰瘍性大腸炎を発症すると、主にどのような症状が出るのでしょうか。

柏木さん「主な症状は、血便や下痢、腹痛です。血便は、粘液(白っぽい液体)が混じった『粘血便』が特徴的です。また、最近注目されているのが『便意切迫感』です。これは『突然かつ緊急に感じる便意』で、『今すぐトイレに駆け込まないと間に合わない』ほどの激しい便意を指します。この症状により、外出や仕事、学校生活に支障を来すことが多く、多くの患者が悩まされています。このような症状がある場合は、きちんと検査や治療を受けることが大切です。

また、消化器症状以外にも、発熱や体重減少、貧血、全身倦怠(けんたい)感といった全身症状があります。また、潰瘍性大腸炎の合併症として、皮膚症状や関節の痛み、目の病気などが生じることもあります」

Q.潰瘍性大腸炎を発症してしまう主な原因について、教えてください。

柏木さん「明確な原因は、現時点では完全には解明されていません。しかし、さまざまな研究により、複数の要因が複雑に絡み合って発症することが分かってきています。具体的には、次の要因が関与していると考えられています」

(1)遺伝的要因潰瘍性大腸炎は家族内での発症が多いことから、遺伝的素因が関与していることが分かっています。欧米では、患者の約20%に炎症性腸疾患の家族歴があると報告されています。日本では欧米に比べて家族歴を持つ人の割合は低い傾向にありますが、それでも潰瘍性大腸炎の患者の約10〜15%が家族内に同じ病気を発症している人がいるといわれています。ただし、特定の遺伝子を持っているからといって必ず発症するわけではありません。発症しやすい遺伝子型があることは確認されていますが、その型を持っていても発症しない人も多くいます。

(2)環境要因食生活の欧米化や衛生環境の変化が発症に影響していると考えられています。食生活の欧米化に伴い、動物性たんぱく質や高脂肪食の摂取量が増加しました。これらは潰瘍性大腸炎や大腸がんの増加と相関していることが分かっています。一方で、和食中心の食事や食物繊維の摂取は、大腸がん発症のリスクを低下させることが明らかになっており、腸内環境にも良いとされています。

つまり、遺伝的要因と環境要因が合わさることで、腸の粘膜で免疫の過剰反応が起こり、炎症が生じると理解されています。

Q.潰瘍性大腸炎が疑われる場合、どのような症状があったら受診した方がよいでしょうか。

柏木さん「血便、下痢、腹痛のいずれかが続く場合は、消化器内科の受診を検討してください。

(1)血便・血便が繰り返し起こる、または数日以上続いている・特に粘液(白っぽい液体や付着物)を伴う粘血便がある場合

(2)下痢・1週間以上、下痢が続いている・もともと下痢しやすい体質の人でも、最近になって症状が悪化している

(3)腹痛・血便または下痢を伴う腹痛がある・下腹部痛が繰り返し起こる

若い人の血便では、切れ痔との見分けが難しいことがあります。判断に迷ったら、消化器内科に相談すると良いでしょう。血便を起こす病気は複数ありますが、出血すること自体が異常ですので、診察を受けることで適切な対応ができます。

また、下痢や腹痛に関しては、感染性腸炎(細菌性、ウイルス性)、ストレスや食生活により慢性的な腹痛や便通異常(下痢、便秘)が起こる「過敏性腸症候群」との見極めが難しいです。次のようなことがあれば感染性腸炎の可能性があります。

・発症してまだ短い・同時期に発熱や吐き気などの症状がある・未加熱の肉や魚介など、原因となる食事がある・周囲に同じ症状の人がいる

潰瘍性大腸炎の場合には、「繰り返す」「続く」ことがポイントです。症状が一時的に治まることがあっても、「いつもの症状」と自己判断せず、医師の診察を受けることが重要です。また、粘液便や血便は通常では起こらない症状のため、受診のきっかけとなります。

潰瘍性大腸炎の治療法は?

Q.潰瘍性大腸炎はどのように治療するのでしょうか。

柏木さん「潰瘍性大腸炎の治療は、症状を落ち着かせる治療の『寛解導入療法』と、良い状態を保つ治療の『寛解維持療法』の2段階で行われます。現時点では完全に治癒させる根本的な治療法はありません。しかし、適切な治療により症状や炎症を改善し、発症前に近い日常生活を送れる人も多くいます。ただし、薬が効きにくい場合や重症の場合には、治療に難渋するケースもあります。そのような場合には、特に専門医による治療が必要となります。

治療薬には内服薬や坐薬(ざやく)、注腸薬、点滴があります。炎症の部位や患者の希望、生活スタイルなどから選択されます。多くの場合は内服で治療しますが、肛門付近で炎症が起こりやすい病気であることから、坐薬や注腸製剤を使用することもあります。

潰瘍性大腸炎は『5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤』という、腸の粘膜の炎症を抑える薬を第一選択で使用します。5-ASA製剤の内服薬または坐薬や注腸製剤を使用して、多くの場合には5-ASA製剤のみで寛解導入療法および寛解維持療法が可能となります。

5-ASA製剤による副作用で使用できない場合や、炎症が十分に抑えられない場合には、他の薬剤や治療法が用いられることがあります。医師は、患者の年齢や生活スタイル、基礎疾患などを考慮し、病気の重症度や炎症の範囲に応じて、各薬剤の特徴から最適な治療を選択します。また、薬による治療が難しい場合、重症の場合、大腸がんを発症した場合などには、手術が必要となることもあります。

潰瘍性大腸炎の治療は、生涯にわたる治療が必要です。これは重く聞こえるかもしれませんが、治療を医師の指示通りに継続することで、多くの人が寛解を維持できることが明らかになっています。

一方で、薬の飲み忘れが多くなったり、自己判断で治療を中断したりした場合には、再燃する可能性が高いことが分かっています。そのため、寛解期でも継続的な治療が非常に重要です。潰瘍性大腸炎は大腸がんのリスク因子の一つですが、適切な治療を行い、寛解を達成すれば、大腸がんの発症リスクを低下させることができる点も明らかになっています。

潰瘍性大腸炎は、先述のように20代が発症しやすく、長期的な付き合いが必要な病気です。しかし、早期発見や早期治療により、多くの患者が良好な状態を維持できるようになっています。早期発見、早期治療を行うことで、『症状の増悪や再燃を防ぐことができる』『手術を避けられる可能性が高まる』『大腸がんのリスクを低減できる』『日常生活への影響を最小限にできる』というメリットがあります。血便や持続する下痢などの症状がある場合は、自己判断せず早めに消化器内科・胃腸科を受診してください」

オトナンサー編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる