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「下半身を撮られた」レースクイーンが相次ぎ被害…“盗撮犯”として撮影者が処罰対象に?【弁護士解説】

  • 2026.1.15
イベントに出演する女性の下半身を撮影すると、どんな法的責任を問われる?(画像はイメージ)
イベントに出演する女性の下半身を撮影すると、どんな法的責任を問われる?(画像はイメージ)

千葉市の幕張メッセで1月9日から同月11日まで、カスタムカーのイベント「東京オートサロン2026」が開催されました。そんな中、モデルやレースクイーンとして活動する女性が、同イベントの出演時に下半身を撮影されたとして、「下半身だけ撮られてました。とても不快です。やめてください」とSNS上で訴え、一部来場者の不適切な撮影行為が発覚しました。

イベントの主催者側は、出展者や出演者、キャンペーンガールなどの体の一部を拡大または強調した状態で撮影する行為を禁止しており、この女性のほかにも、レースクイーンとして活動する女性2人が、イベントの会場内で同様の被害に遭ったことをSNS上で告白しています。

主催者が禁止しているにもかかわらず、イベントに出演する女性の下半身を拡大した状態や強調した状態で撮影した場合、盗撮に該当するとして、撮影者が罪に問われる可能性はあるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

迷惑防止条例違反に該当する可能性

Q.そもそも、他人の体の部位を拡大した状態や強調した状態で撮影する行為は盗撮に該当するのでしょうか。撮影者が処罰される可能はありますか。

佐藤さん「盗撮とは、一般に、相手に気付かれないように隠し撮りをすることです。法的には『性的姿態撮影等処罰法』や各都道府県の『迷惑防止条例』などで規制されている行為をすれば、刑事責任を問われる可能性があります。また、わいせつな目的を持って、本人の許可なく、人物の特定ができる形で顔や体などを撮影した場合、肖像権を違法に侵害したものとして、民事上の損害賠償責任を負う可能性もあります。

性的姿態撮影等処罰法では、正当な理由がないのに、ひそかに、性的な部位や下着を撮影する行為を撮影罪(性的姿態等撮影罪)として禁じており、違反した場合、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処される可能性があります(同法2条1項1号)。

レースクイーンとして活動する女性は、一般的に人から見られることを前提とした衣装を身に着けています。そのため、例えばイベントの来場者がレースクイーンの部位を拡大した状態で撮影したとしても、性的な部位や下着そのものを撮影したわけではないとして、性的姿態撮影等処罰法の撮影罪には問われない可能性があります。

迷惑防止条例は、各都道府県によって規制内容が異なりますが、性的姿態撮影等処罰法と同様、性的な部位や下着を撮影する行為を禁じ、それに加え、公共の場所での卑わいな言動も禁じていることが多いです。

今回問題となった行為があった千葉県の迷惑防止条例も同様に、人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような行為であって、衣服で隠されている下着または体を写真機などを用いて撮影する行為や、公共の場所での卑わいな言動を禁じており(同条例3条の2第1号、同条例3条の2第3号)、違反すれば、6カ月以下の懲役(現在の拘禁刑)または50万円以下の罰金に処される可能性があります(同条例13条の2)。

判例の中には、衣服を着用した部位を撮影したり、カメラを向けたりする行為についても、迷惑防止条例の『卑わいな言動』に当たるとして処罰したものがあります。本件についても、露出度の高い衣装を着たレースクイーンの下半身など、体の一部を拡大したり、強調したりした構図で撮影していたのだとすると、迷惑防止条例の卑わいな言動として、撮影者が処罰される可能性があるでしょう」

Q.迷惑防止条例が禁じている「公共の場所での卑わいな言動」とは、どのような行為を指すのでしょうか。また、イベントの主催者が出演者の体の部位を拡大したり強調したりした状態で撮影する行為を禁じているにもかかわらず、撮影した場合は刑事責任や民事責任を問われる可能性があるのでしょうか。

佐藤さん「公共の場所とは、一般に、道路や公園、広場、駅、ふ頭、飲食店、興行場その他の公衆が出入りすることができる場所を指します。例えば、イベント会場は『公共の場所』に含まれ、会場内で他人の体を拡大したり、強調したりして撮影すれば、迷惑防止条例違反に問われる可能性があるといえます。

刑事責任を問われるかどうかは、法律や条例の定めに違反しているかどうかで決まります。また、民事責任についても、肖像権の違法な侵害に当たるかどうかは、撮影された人の社会的地位や撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性などを総合的に考慮して、『社会生活上受忍すべき限度を超えるか否か』で判断されます。

従って、イベント主催者が撮影を禁止していたかどうかによって、法的責任の有無が変わるわけではありません。イベント主催者が広く規約を周知していたにもかかわらず、規約で禁じられた撮影をしていた場合には、悪質性が高いと評価される事情にはなるでしょう」

Q.イベントの出演者や来場者などが体の一部を拡大したり、強調したりした状態で撮影される被害を防ぐために、イベントの主催者側にはどのような対応が求められるのでしょうか。

佐藤さん「イベント主催者としては、『規約を作成し、不適切な撮影行為を具体的に例示するなどして禁止すること』『規約を周知すること』『規約違反の行為が見られた場合は、行為に及んだ人に声を掛け、順守を求めること』などが必要になるでしょう」

オトナンサー編集部

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