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駅のきっぷ売り場で「領収書ちょうだい。そしたら払い戻して」と不可解な要望…その後、後ろに並んでいた人が“放った一言”にスカッ

  • 2026.2.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

鉄道会社に勤務していると、日々多くのお客様の生活を支えている実感が持てる一方で、時にはルールを根底から揺るがすような要求に直面し、頭を抱えることもあります。

今回は、私が経験した、窓口での「忘れられない押し問答」と、そこで得た教訓についてのエピソードをご紹介します。

閉店間際、窓口に現れた男性の「不可解な要求」

ある日の営業終了30分前。定期券の申込書を持った男性が現れました。

通常通り、経路や利用開始日の確認を行い、発券の操作を進めていた時のことです。代金を支払い、領収書を受け取った直後、男性は平然とこう告げました。

「定期券の領収書ちょうだい。そしたら払い戻して」

一瞬、耳を疑いました。鉄道の規定では、払い戻しの際には当然、発行した領収書もあわせて回収しなければなりません。もし領収書だけが手元に残れば、実際には支払っていない金額を「支払った証明」として悪用できてしまう可能性があるからです。

「お客様、そのようなお取り扱いはできません。払い戻しの際は領収書も回収させていただきます」と丁寧にお伝えしましたが、男性は納得しません。「他ではやってくれた」「なんで融通が利かないんだ」と、次第に声を荒らげ始めました。

緊迫する現場。沈黙を破ったのは「第三者の声」だった

閉店時間が迫り、後ろには他のお客様も並んでいます。終わりの見えない押し問答に、精神的に疲弊し始めたその時でした。

「駅員さん困ってるでしょ。ルール違反なことを強要するのはやめなよ」

背後から響いたのは、次に並んでいた若い男性客の声でした。窓口一帯に緊張が走ります。

その客は、毅然とした態度で「それは不正に繋がる行為だ」と指摘しました。駅員という立場上、お客様に対して強く踏み込んだ表現を控えていた筆者に代わり、ルールの大切さを代弁してくれた瞬間でした。

周囲の視線も集まる中、分が悪いと悟ったのか、男性は定期券を購入することなく、足早に立ち去っていきました。

「できない」と言う勇気は、誠実さの裏返し

この経験を通じて学んだのは、「正しい知識こそが、自分とお客様の公平性を守る鎧になる」ということです。「前はできた」「他ではやってくれた」という言葉に惑わされず、ルールを堅持できたのは、それが公共交通機関としての信頼を守るために不可欠だと理解していたからです。

現在、筆者は後輩たちにこう伝えています。 「お客様のご要望に添えないことと、あなたのサービスが悪いことは別問題である」と。

誠実にルールを運用していれば、必ず見てくれている人がいます。あの日、名乗らずに去っていったあのお客様への感謝を胸に、今日も「毅然とした、しかし温かい対応」を心がけて窓口に立ち続けています。


ライター:どこかの駅員

新卒から鉄道会社に勤務し、現在もどこかの駅で働いています。改札対応やホームでの安全確認、お忘れ物対応など、日々多くのお客さまと接する中で、クレーム対応やお酒を召されたお客さまへの対応など、現場ならではの出来事や気づきを数多く経験してきました。
業務を通して培った「相手の立場を想像する視点」や「瞬時に物事を判断する力」を活かし、普段駅を利用しているだけではわからない、現場の裏側や判断の背景を、臨場感のある文章で伝えられるように心がけています。
実体験に基づいたリアルさと、読みやすさのバランスを大切にしながら、共感や納得につながる記事をお届けします!


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