1. トップ
  2. 「別のお客様の注文品でした」弁当の配達ミスが発覚…→その後、店長が取った“咄嗟の判断”に「今後もお願いすることに決めた」

「別のお客様の注文品でした」弁当の配達ミスが発覚…→その後、店長が取った“咄嗟の判断”に「今後もお願いすることに決めた」

  • 2026.2.2
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

お弁当屋にとって、配達ミスは最も避けたいトラブルの一つです。特にお届け先が企業の役員会議や大規模なイベントである場合、一つの間違いが「即、契約打ち切り」に直結します。

しかし、人間が動いている以上、どうしてもミスは起きてしまうもの。大切なのは「起きた後」のスピード感と、お客様の期待値を上回るリカバリー案です。

今回は、私が経験した「お届け内容の取り違え」という致命的なミスを、いかにして「以前より深い信頼」に変えたのか。実体験をもとにお話しします。

​「特注」のはずが「日替わり」に… 重役会議直前に鳴った震える電話

その日、私は店内で別の業務に当たっていました。そこへ配達に出たスタッフから、震える声で電話が入りました。

「お届け先で中身を確認したところ、全て別のお客様の注文品でした。今、会議が始まろうとしています…」

血の気が引きました。お届け先は、地域でも有数の大手企業。 注文は、役員会議用の「特注の高級幕の内弁当」。しかし、実際に現場にあるのは、安価な「日替わり弁当」でした。

会議の時間は動かせません。スタッフはパニックになり、受け取った企業の秘書の方も、困惑して怒りを通り越した表情を浮かべているとのこと。

私の管理不足が招いた、まさに絶体絶命の事態でした。

謝罪よりも「場の空気」を救え。負の記憶を上書きする「二段階リカバリー」

私は即座に、スタッフへの指示と自分自身の行動を切り分け、「二段階のリカバリー」を発動しました。

① 第一手:生理的・社会的ストレスの回避(現場スタッフへの指示)

「その場にある弁当を、まず無償で置いてくるように」最悪なのは、ミスによってテーブルの上が「空(から)」になり、会議の進行やホスト役(秘書の方)のメンツが潰れることです。「正しいものが届くまで、まずはこちらで場をお繋ぎください」と伝え、会議の体裁を守ることを優先させました。

② 第二手:感動による記憶の上書き(店長の行動)

次に、私は店にある最高級の食材を詰め込んだ「お詫び専用の特別弁当」を15分で作成し、自ら車で急行しました。私の思考は、単なる謝罪ではなく「負の体験を正の記憶で上書きする」ことにありました。ただ正しいものを届けるだけでは「マイナスがゼロに戻る」だけです。しかし、ミスの後に想定以上の「質(グレードアップ)」と「スピード」で対応すれば、それは「特別な体験(プラス)」に変わる可能性があるからです。

現場到着後、過剰な言い訳で会議の進行を妨げないよう、最短時間で頭を下げ、出来立ての特別弁当と「次回使える優待券」をお渡ししました。

「次回も頼む」と言わせる仕組み作り

後日、その企業の担当者様から連絡をいただきました。

「あの時の対応を見て、今後もお願いすることに決めたよ」

継続注文の確約――ピンチを信頼に変えた瞬間です。 お客様は、ミスそのものよりも「その後の対応力」を見て、パートナーとしての信頼性を評価してくれたのです。

もちろん、この経験を精神論だけで終わらせてはいけません。私はすぐに以下の仕組みを導入しました。

  • 「配達時のダブルチェック用カラータグ」の導入 配達ルートや種類ごとに色を分け、視覚的に誤配送を防ぐ。
  • 「店長直行ルール」の明確化 トラブル発生時は、担当者ではなく決裁権を持つ店長が即座に動く。

現場でのミスを「スタッフの不注意」という属人的な問題にせず、チェック機能という「構造」に組み込むことで、スタッフも安心して配達に出られる環境を整えました。

ミスは、場合によって「営業ツール」になる

トラブル対応の本質は、表面上の処理ではなく、お客様が感じた「不安」や「気まずさ」を解消することにあります。

  • 誠実な対応
  • 期待を超えるスピードと質

この2つが揃ったとき、ミスは営業ツールになります。 今日から、もしもの時の「自分なりの必勝リカバリー案」を準備しておきましょう。それがあなたの、そしてお店の「底力」になります。


ライター:松田 正太郎(まつだ しょうたろう)

鹿児島県を拠点に活動するフリーライター兼、個人事業主。前職ではお弁当屋の店長として9年間勤務。延べ10万人以上の接客に携わり、現場でのクレーム対応やスタッフマネジメントの最前線を経験しました。「行動ファースト・構造思考」を信条とし、現場のリアルな空気感を言語化しながら、読者が明日から実践できる解決策を提示する執筆を得意としています。現在は自営業を営む傍ら、AIツールを駆使した業務効率化やビジネス設計を行い、圧倒的なスピード感と納期遵守、そしてプロとしての徹底した現場視点を持った記事をお届けします。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名OK】