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レストランで開店15分前に来る客→店員「まだオープン前です」と伝えるもトラブルに…その後、責任者が下した“判断”とは?

  • 2026.2.1
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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

こんにちは、ライターのリコです。

飲食店において「オープン時間」は絶対のルールです。特に朝の準備時間は、スタッフにとって1分1秒が惜しい戦場。その聖域に、もし開店前からお客様が入ってきたら……?

レストランのマネージャー時代、私は毎朝「ある常連様」の対応に頭を悩ませていました。

今回は、マニュアル通りの対応で衝突するのではなく、あえてこちらのルーティンを変えることで、お客様もスタッフも幸せになった「逆転の発想」についてお話しします。

毎朝6時15分の緊張感

当時、私はホテルのレストランで朝食の時間帯の責任者をしていました。

朝食のオープンは6時30分。通常であれば、その10分前に準備を終えてスタッフ全員でブリーフィング(朝礼)を行うのが毎朝の流れです。

しかし、その常連様は違いました。決まってオープン15分前の「6時15分」に来店されるのです。

時にはまだ掃除機をかけているような状況でも店内に入り、自分のお決まりの席にドカッと座ってしまうこともありました。

当然、ルール違反です。「まだオープン前ですので」とお断りしたこともありましたが、そのたびにトラブルになり、現場の空気は最悪に。

スタッフたちは毎朝6時を過ぎると、「今日もあの人が来る……」とビクビクし始めます。

準備は焦り、笑顔は消え、お客様を「招かれざる客」として見てしまう。 「このままでは、お客様にとっても、スタッフにとっても良くない」。そう判断した私は、ある決断を下しました。

「お客様を変える」のではなく「私たちが変わる」

話し合いの結果、私たちは発想を転換することにしました。 「時間前だから入店させない」と戦うのではなく、「そのお客様の習慣(6時15分来店)を尊重して、迎え入れる」ことにしたのです。

具体的には、以下の2つの改革を行いました。

1. スタッフの時間をズラす

これまで「オープン10分前(6時20分)」に行っていたブリーフィングや準備完了の時間を、さらに5分前倒ししました。お客様が来店される6時15分には、もう「迎え入れる姿勢」ができている状態を作ったのです。

2. 「お断り」から「お願い」へ

これまでは「まだ準備中なので入れません」と断っていましたが、伝え方をガラリと変えました。
「おはようございます! もうすぐ準備が終わりますので、あと5分だけ待っていただけませんか?

準備がほぼ整っている余裕から、笑顔でそう寄り添うように伝えると、あれほど強引だったお客様が「ああ、わかったよ」と理解してくださるようになったのです。

そして6時20分(オープン10分前)には、「お待たせしました、どうぞ」と一番乗りでご案内。「おはようございます!」とスタッフ全員で温かく迎えるようにしました。

組織として「特別扱い」を標準化する

この対応がスタッフによってバラバラだと、またトラブルになります。そこで、私はこの対応を個人の判断ではなく、組織の仕組みにしました。

  • 情報の共有: 宿泊予約部門と連携し、そのお客様がいつ泊まるかを事前に把握。
  • 上長の承認: 支配人や総支配人にも報告し、「このお客様に関しては10分前倒しで案内する」という公認のルールを作成。

こうすることで、新人スタッフや他の担当者が入っても、焦らず落ち着いて対応できるようになりました。

その結果、スタッフたちはもうそのお客様を怖がらなくなりました。「どう対応すればいいか」という明確な答えと準備があるからです。

余裕が生まれたことで自然な笑顔で接することができるようになり、その空気感はお客様にも伝わります。以前は無言で座っていたその常連様が、今では警戒心を解き、冗談を交えた会話を楽しんでくださるようになったのです。

ホスピタリティは「相手を知る」ことから

色々なお客様がいる以上、トラブルは尽きません。 しかし、「ルールだからダメ」と突っぱねる前に、「なぜこの人はそうするのか?」「どうすればお互いがストレスなく過ごせるか?」を考えること。それが本当のホスピタリティだと私は学びました。

もちろん、今回うまくいったのは、そのお客様が長年の常連様であり、私たちも組織として対応を仕組み化できたからこそかもしれません。すべてのケースで同じ対応が正解とは限りませんが、対立以外の選択肢を考えるきっかけになれば幸いです。そんな柔軟さが、現場の空気を劇的に変えることがあります。


ライター:東城史枝(トウジョウフミエ)

バリ在住のフリーランスWebライター。旅行・生活・グルメを中心に執筆しています。
読者に寄り添い、日常を少し心地よくする文章を届けたいと思っています。


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