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年収178万円の壁『働き損になる人』『ならない人』には“決定的な違い”があった。損をしないための「働き方の正解」とは

  • 2026.2.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

所得税の非課税枠が160万円(さらには178万円)へと大幅に拡大される方針が打ち出され、パートやアルバイトの働き方に大きな転換期が訪れています。「これまでより稼いでも税金がかからない」と喜ぶ声がある一方で、実は税金以上に注意すべき「社会保険」や「住民税」のルールは複雑なままです。本記事では、改正後の新基準を整理し、働き損を防ぐために今すぐ確認すべきポイントを専門家が分かりやすく解説します。

所得税160万円時代の幕開け 住民税や配偶者控除はどう変わる?

---所得税の非課税枠が160万円以上に拡大されましたが、年収が増えることで生じる経済的なデメリットはありますか?

石坂貴史さん:

「まず、大きな変化を整理しましょう。いわゆる「年収103万円の壁」は、近年の税制改正により、実態としてその意味合いが大きく変化しました。2025年度(令和7年度)から所得税の非課税目安は160万円に、さらに2026年(令和8年)には時限的措置として178万円まで引き上げられる見込みです。

経済的デメリットとしてまず意識すべきは、所得税よりも先に『住民税』です。住民税の非課税ラインは所得税ほど大きくは引き上げられておらず、2025年度は前年の年収が100万円以下、2026年度は年収110万円以下であれば非課税とされています。

110万円を超えると住民税(均等割・所得割)が発生しますが、課税される金額は小さく、数千円から1万円程度に収まる場合がほとんどです。

また、配偶者控除についても、従来より適用範囲が広がり、年収123万円まで控除対象となる改正が行われています。これにより、従来なら控除を失っていた年収帯でも、配偶者控除が適用される可能性があります。」

税金よりも要注意!手取りを左右する「106万円・130万円」社会保険の壁

---年収160万円(または178万円)まで税金がかからないなら、これまで以上にパート代を増やしても損をすることはないのでしょうか?

石坂貴史さん:

「税金面だけを見ればその通りですが、家計全体で見たときに最も注意が必要なのは『社会保険の壁』です。

代表的なのは、『106万円の壁』と『130万円の壁』です。106万円の壁は、従業員51人以上の企業で週20時間以上勤務し、月収8万8,000円以上の条件を満たす場合に適用されます。

年収が130万円を超える場合は、扶養に関係なく自分で健康保険や年金に加入する必要があります。勤務先の規模などに関わらず、原則として扶養から外れます。このボーダーラインが『130万円の壁』と呼ばれるものです。

社会保険に加入すると、月々の手取り額は保険料分(給与の約15%前後)減少します。これが、税金の壁がなくなった今、新たに直面する『手取りの減少』の正体です。ただし、社会保険加入は『将来の年金増額』や『傷病手当金』といった保障の充実というメリットもあるため、単なる損失ではなく『自分への投資』として捉える視点も大切です。

なお、所得税や住民税だけでなく、社会保険の壁についても、2026年内に制度改正の予定があるため、働き方を含めて、最新の動向もチェックしておきましょう。」

年末までの収入予測と「世帯単位」での判断基準

---法改正が重なり制度が複雑ですが、損をしないためにパート主婦(夫)が今すぐ確認しておくべきポイントは何ですか?

石坂貴史さん:

「制度の改正が進み、まず大切なのは、「この先、どこまで収入が増えそうか」を落ち着いて確認することです。

最初にやるべきことは、年末までの収入見込みを把握することです。今の勤務ペースを続けた場合、年収がどのあたりに着地しそうかを確認しましょう。そのうえで、勤務先の規模や週の労働時間を見て、自分が社会保険に入る条件に当てはまりそうかをチェックしてください。2026年内に制度改正はありますが、パートの場合、先に影響が出やすいのが社会保険料なので、ここを優先的に確認するのがポイントです。

次に考えたいのが、働き方の方向性です。扶養の範囲内に収めて働くのか、それとも社会保険に加入する前提で収入を増やすのかを決めます。この判断は、自分のお給料だけでなく、世帯全体の手取りで考えることが大切です。配偶者の会社で扶養手当がどうなるかも、一度確認しておくと安心です。

最後に、税金については「目安のライン」を知っておけば十分です。住民税は110万円、所得税は制度改正で160万円、今後はそれ以上まで非課税となる範囲があります。年収が少し増えただけで、税金が急に増えることはありません。社会保険、住民税、所得税を分けて考えて、自分の生活リズムや家庭に合った働き方を選ぶことが、無理なく損を防ぐコツです。」

ルールを正しく理解して、自分らしい「働き方の最適解」を見つける

税制改正によって所得税の非課税枠は広がりますが、社会保険料の負担が発生するボーダーラインは依然として家計に大きな影響を与えます。大切なのは、単に「税金がかからない範囲」を探るだけでなく、将来の年金増や保障の充実といったメリットも含めて、世帯全体での着地点を判断することです。まずは自身の勤務条件と年収見込みを照らし合わせ、無理のない範囲で最大限のメリットを享受できる働き方を選択しましょう。


監修者:石坂貴史

証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。