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『事故物件』には“見抜く方法”があった。告知事項がないのに「危険」と感じるべき“共用部のサイン”【不動産会社は見た】

  • 2026.2.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

賃貸の内見時、写真や情報だけではわからない物件の「本当の姿」が気になる方も多いのではないでしょうか。特に、過去に何かあった「事故物件ではないか」という漠然とした不安は、物件選びの大きなハードルになりがちです。しかし、専門家は「事故歴の有無よりも、その後の管理状態のほうが、実際の住み心地には大きく影響する」と指摘します。

この記事では、不動産のプロである岩井佑樹さんに、内見時に見落としがちな共用部分の「違和感のサイン」や、物件の「素顔」を見抜くための具体的なチェックポイントを詳しく伺いました。事故物件への不安を解消し、管理が行き届いた安心して住める部屋を見つけるためのヒントを、ぜひお役立てください。

「何かあった部屋」は共用部分にサインが? プロが指摘する”違和感”の正体

---内見時に「事故物件かも?」と不安になることがあります。共用部分から、そうした「何かあった」物件のサインを読み取ることはできるのでしょうか?

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「共用部分だけで「過去に何かあった」と断定することはできません。ただ、現場では違和感として現れることがあります。

私が注意して見るのは、建物全体の経年状況と一部の補修内容が合っているかどうかです。例えば、次のような状態です。

・共用廊下のシートが、特定の号室の前だけ新しく貼り替えられている
・タイル仕上げの廊下で、その号室前だけ色味の違うタイルに交換されている
・玄関ドア枠や周辺の壁だけ塗装し直されている
・天井ボードや照明器具がその号室前だけ新しくなっている

通常の大規模修繕であれば、同じ範囲をまとめて工事します。ところが、特定の一室の前だけ部分的に手直しされている場合は、単なる経年劣化以外の事情があった可能性も考えます。

また、共用部の管理面の変化も確認します。

・防犯カメラが特定の位置に後付けされている
・掲示板にトラブル注意の掲示が増えている
・オートロックや鍵の仕様が一部だけ新品に交換されている

事故やトラブルをきっかけに対策が強化されることはあります。ただし、防犯意識の向上や設備更新という理由もあるため、これだけで判断することはできません。

さらに、空室の状況も参考にします。

・同じ並びの住戸だけ長期間空室が続いている
・相場に対して条件が弱いわけではないのに成約しない

こうした要素が複数重なる場合は、背景や理由を確認する必要があると判断します。」

「不自然な補修跡」「強い消臭剤」…プロが見抜く”怪しい”サインとは?

---具体的に、内見時に「ここは注意して見てほしい」というポイントがあれば教えてください。どのような違和感に注目すべきでしょうか?

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「現地で違和感を感じるサインはいくつかあります。私が実務で確認しているポイントを挙げます。

・特定の号室まわりだけ不自然に新しい補修跡がある
室内ではなく、玄関ドアやドア枠、インターホン周辺、壁の一部だけが新品に近い状態になっているケースがあります。通常の原状回復や定期修繕は一定範囲をまとめて行うことが多いため、号室まわりだけピンポイントで更新されていると違和感が残ります。

・強い消臭対策が「常設」されている
共用廊下やエレベーターホールに業務用の消臭剤や芳香剤が置かれている場合、過去に臭気対応が必要だった可能性があります。清掃直後の一時的な対策なのか、ずっと置かれているのかで意味が変わるため「常に置いてある感じ」があるかどうかを見ます。

・ポストや宅配ボックスの状態に偏りがある
特定の号室だけ郵便物が長期間たまっていた形跡がある、またはポストの名札部分だけ交換されているなども確認ポイントです。長期不在の理由はさまざまですが、空室期間や募集状況と合わせて見ていくと、違和感の正体が見えてくることがあります。

・表札やネームプレートの扱いが不自然
ある号室だけネームプレートの台座ごと新しくなっている、または何も表示されていない状態が長く続いている場合も気になります。表札の有無だけで判断はできませんが、ほかの号室と比べて浮いていると感じたときは理由を確認します。」

事故物件より重要? プロが語る「住み心地を左右する」最重要チェックポイント

---事故物件の有無も気になりますが、賃貸物件を内見する際、事故歴以外にどんな点に注目すべきですか?また、事故物件の告知義務についても知りたいです。

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「賃貸で内見をする際、事故物件かどうかばかりに目が向きがちですが、私が必ず見るのは『管理がきちんと回っている建物かどうか』です。事故歴の有無よりも、その後の管理状態のほうが、実際の住み心地には大きく影響します。

具体的には、以下を確認します。

・共用部の清掃が行き届いているか
・掲示板に古い紙が貼られたままになっていないか
・ゴミ置き場が荒れていないか

特にゴミ置き場と掲示板は重要です。ゴミが散乱していたり、注意書きが何枚も重ねて貼られている場合は住民トラブルが起きやすい環境の可能性があります。逆に、整っている建物は管理会社がきちんと機能しているケースが多く、安心して暮らせる傾向があります。

事故物件の告知義務についても知っておくべき点があります。国土交通省のガイドラインでは、自殺や他殺などが発生し、特殊清掃などが行われた場合は原則として告知対象です。
賃貸では、事案が発覚してから概ね3年間は告知が必要とされています。この期間内であれば、入居者が入れ替わっても告知は続きます。

ただし、「何人入れ替わったら大丈夫」という基準はありません。重要なのは、借主の判断に影響するかどうかです。少しでも気になることがあれば、遠慮せずに「過去に告知対象となる事案はありますか」と担当者に確認することが大切です。」

内見は「違和感」と「管理」に注目! 安心して暮らせる物件選びの鍵

賃貸物件の内見では、「もしかして事故物件…?」という漠然とした不安がつきまといがちです。しかし、プロの視点では、単なる事故歴の有無よりも、物件全体に漂う「違和感のサイン」や「管理体制」に注目することが、安心して暮らせる物件を見つけるための重要な鍵となります。

不自然な補修跡、常に置かれた強い消臭剤、偏りのあるポストや表札の状態。これらは、過去に何らかの事象があった可能性を示す「違和感」のサインです。もちろん、これだけで断定はできませんが、物件の「素顔」を知るための重要なヒントになりえます。

そして何よりも、共用部の清掃状況や掲示板、ゴミ置き場の状態から読み取れる「管理体制の良さ」は、日々の住み心地に直結するプロが最重視するポイントです。告知義務の期間も頭に入れつつ、気になることがあれば遠慮せず担当者に確認する勇気を持つこと。これらの視点を持つことで、より賢く、安心して新生活をスタートできる物件選びができるでしょう。


監修者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹
合同会社ゆう不動産代表。『売る力 × 伝える力』を軸に、不動産の価値を最大化している。不動産売買の専門家として現場に立ちながら、不動産分野に特化したWebライターとして1,000本以上の記事を制作。売却査定から仲介・買取まで幅広く対応し、物件の魅力を正しく伝えることで「早く・高く・安心」の取引を実現している。派手な宣伝よりも、目の前の一人に誠実に向き合う姿勢を大切にしている。地域に寄り添いながら、不動産とWebを掛け合わせた独自の発信力で、オーナーに最良の選択肢を示すことが使命。「売買専門 × 情報発信」の融合ビジネスで、不動産の価値を丁寧に引き出している。