1. トップ
  2. おでかけ
  3. パリの老舗デパートが行う、失われた作品を再現する意味とは?

パリの老舗デパートが行う、失われた作品を再現する意味とは?

  • 2026.1.3
ARTDEVIVRE.png

アールドゥヴィーヴルへの招待 vol.82025年、創刊35周年を迎えたフィガロジャポン。モード、カルチャー、ライフスタイルを軸に、豊かに自由に人生を謳歌するパリジェンヌたちの知恵と工夫を伝え続けてきました。その結晶ともいえるフランスの美学を、さまざまな視点からお届けします。

時間の流れが加速するいま、現代社会を読み解く鍵として「過去」がこれまで以上に重要になっている。過去を振り返り、新たなクリエイションへと繋げるのはモードやアートはもちろん、ビューティやメディアも同様だ。フランスの優れた文化遺産を守る手段、アーカイブ(記録の保管)に携わる女性たちに話を聞いた。

Cécile Larrigaldie/セシル・ラリガルディギャラリー・ラファイエットグループ文化事業部ディレクター

失われた作品を再現、"いま"を未来に遺す活動も。

パリの老舗デパートであり、家族経営で知られるギャラリー・ラファイエットにセシル・ラリガルディが入社するきっかけとなったのは、インターンとして「ラファイエット・アンティシパシオン」というアーティスト・クリエイター支援企業財団の設立準備に関わったからだった。家族経営は伝承を伴う。そのアーカイブを生かすことでクリエイションの垣根を取り去る発想が生まれるのだ。セシルが現在担当しているのは、互いに関連する3つの分野だ。ひとつは2023年にパリ本店の丸天井に韓国人アーティスト、キムスージャのインスタレーションを設置した例のような芸術プログラム、もうひとつは現代クリエイターの活動支援、そして3つめが文化遺産に関する活動だ。

「アーカイブ部門を立ち上げる際に最初にしたことは、"箱を開ける"ことでした」と言う。なぜなら、この仕事は多様な分野にわたるからだ。箱の中にはこのデパートの歴史が詰まっていた。かつては自前の金融機関、喫煙室、読書室からティールーム、郵便局さえ有していた。そして主力商品といえばファッションだった。1920年代には早くもプライベートブランドを出している。デザイナーたちは競馬場へ赴き、スケッチブックを手に服の流行をキャッチすると手頃な値段の服に落とし込んでいった。

「当時のカタログは百貨店にも残されていませんでしたが、そのスケッチから選んだデッサンを7人の職人に仕立ててもらいました」

こうして白いキャンバス地の服がオスマン通りの本店の最上階に陳列されることになった。ほかに社内に保管されていたのはポスターや装飾物、家具など。これらは社内に擁していたラ・メトリーズ工房で製作されたものだ。中にはシャルロット・ペリアンの初期のコレクションもある。セシルは未来の遺産をいまアーカイブ化する必要性を意識している。

「製作物は長期戦略で順次収集しています。広告キャンペーンごとにle19Mと協力し、ビジュアル用の服を製作していますが、2024年のスクービドゥ(ビニールの組紐)の服もアーカイブに加えました」

Galeries Lafayette Paris Haussmann40, boulevard Haussmann 75009 Parishttps://haussmann.galerieslafayette.com/

*「フィガロジャポン」2026年1月号より抜粋

元記事で読む
の記事をもっとみる