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酔っ払いを乗せるのは嫌だよね…タクシードライバー×酔っぱらいの会話に読者からは「すてきな作品」の声も【作者に聞く】

  • 2026.3.6

タクシードライバーにとって、泥酔客はできれば避けて通り過ぎたい存在である。この話ではタクシードライバーが回送中に自動販売機で飲み物を買っていると、突然酔っ払った女の子から絡まれてしまった。タクシーのそばで嘔吐した挙げ句、「中では吐かないから」とズカズカと乗車。仕方なく行き先を問うと「テキトーに走って。朝まで」という。タクシードライバーは「賃走」に切り替え、タクシーを発車させた。

酔っぱらいを乗せるのは誰だって嫌だよね 黒うるり(@kuro_ururi)
酔っぱらいを乗せるのは誰だって嫌だよね 黒うるり(@kuro_ururi)

本作『酔っぱらいを乗せるのは誰だって嫌だよね』を描いたのは、「週刊ヤングジャンプ」(集英社)やヤングジャンプ編集部が運営するWeb漫画サイト「となりのヤングジャンプ」に読切作品を掲載している漫画家・黒うるり(@kuro_ururi)さんである。黒うるりさんに得意な漫画の分野について尋ねると「リアリティラインが現実寄りで、感情の機微を描くヒューマンドラマ系が好きな気がします」という返事が返ってきた。また「登場人物は心に傷を抱えた人物が多いです。…と言っても重い過去というよりは“モテない”だとか“会社がしんどい”といった社会的なフラストレーションを抱えていることが多いです」とのこと。今回紹介する作品『酔っぱらいを乗せるのは誰だって嫌だよね』に登場する人物たちも心に何かしらの傷を抱えており、それは他人から見れば“取るに足らない小さな傷”であるかもしれない。特別に重い過去ではなく、人生を生きていくうえで誰しもが乗り越えてきたであろう傷。だからこそ本作には共感の声が聞こえてくるのだろう。

タクシードライバーは仕方なく発車させたが…!? 黒うるり(@kuro_ururi)
タクシードライバーは仕方なく発車させたが…!? 黒うるり(@kuro_ururi)

本作について、黒うるりさんに詳しく話を聞いてみた。

――本作は酔っ払いの女性とタクシードライバーの出会いのシーンから始まります。突拍子もない冒頭のセリフには意表を突かれました!

この冒頭のセリフはあとから付け足したものです。元々はドライバーが女の子に水を渡すシーンから始まっていましたが、唐突感があったため水を渡すまでの導入が必要だと感じ、出会いのインパクトも入れたくて冒頭を膨らませることにしました。「お互いの第一印象は悪いものである」という条件を満たすような会話にしてみました。

――「自販機で水を選ぶ人ってサイコパスなんだって」というセリフですが、このセリフを思いついたきっかけは?

私は芸人さんのYouTubeが好きでよく観るのですが、「サイコパステスト」みたいな企画で「水を選ぶのはサイコパス」という回答をたまに見かけます。芸人さんなので、皆さんその結果を受けておもしろい展開を作っておられるのですが、もし仮に、ただ本当に水が欲しくて買っているだけなのに「水を買っているってことはお前サイコパスなんだな」と言われたら、自分だったらものすごく嫌味に感じるな…と常々思っていたので、このセリフを入れました。

――本作に登場する酔っ払いの女の子は失恋の傷を心に抱えていますが、とにかく明るいですね。キャラを作るにあたってこだわったことを教えてください。

これは趣味で描いた漫画なのですが、このころの自分は「キャラクターの行動でドラマを作る」ということが苦手で悩んでいました。ですので練習を兼ねて、とにかくキャラクターが自分で何かを選択していく様子を好きに描いてみました。全体的なテーマとしては、「自分の欲より相手の幸せを優先する美しさ」や「人間の割り切れなさ」を描いたつもりです。

明るい女の子と冷めた性格のタクシードライバー。2人のテンションはかみ合わず… 黒うるり(@kuro_ururi)
明るい女の子と冷めた性格のタクシードライバー。2人のテンションはかみ合わず… 黒うるり(@kuro_ururi)

――タクシードライバーもキャラが立っていますね。

ドライバーの男は「自分ごと忘れてもらったほうが彼女のためになる」と判断したようですが、靴をあげてしまう矛盾で人間臭さをにじみ出させています。うまく表現できていたらうれしいです。また、ドライバーの回想シーンで、小さなコマなんですが、壁に映画『愛の渦』のポスターが貼ってあります。このドライバーは淡々と生きているようで、こういう文化にも興味があるのだという小ネタとして描きました。見つけていただけるとうれしいです。本当に小さいコマですが…。

――ほかにも、作者ならではの「ここを見てほしい」というこだわりのシーンがあれば教えてください。

ドライバーが女の子を励ますシーンで、途中で一人称が「オレ」に切り替わっているところは見てほしいです。彼も仕事を離れて素の自分に向き合った瞬間として描きました。あとは、女の子が「ど~でもよくなっちゃった!!」と言う見開きページでしょうか。女の子が街のトラウマを克服したイメージとして、夜の店の看板と車内が混じり合うようなビジュアルを描きました。

トラウマになっていた夜の街を徘徊! 黒うるり(@kuro_ururi)
トラウマになっていた夜の街を徘徊! 黒うるり(@kuro_ururi)

現在、黒うるりさんは「となりのヤングジャンプ」にて読切作品の『ハロー袋のネズミ』を配信中。黒うるりさんにどのような作品か尋ねると「“彼氏いない歴=年齢”の女の子が主人公です。マッチングアプリで出会った青年と遊園地デート中で、そろそろ告白されるかも…というタイミングで女の子にピンチが訪れます。果たして女の子はピンチを乗り越え、初彼氏ができるのか…!?というお話です!」とのこと。さらに「全10ページのショートショートなので、サクッと読んでいただけると思います」というメッセージも添えられた。無料配信されているので、この機会にぜひ読んでみて!

取材協力:黒うるり(@kuro_ururi)

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