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デザインから歴史を味わう。建築とインテリアに浸る、プラハとブダペストの東欧旅。

  • 2026.1.2

帝国の壮麗な面影を残すハンガリーのブダペストと、時代を超えてその美しさが称賛を集めるチェコのプラハ。古代や中世から政治、学問、芸術の要衝として栄えたふたつの街並みはいずれも世界遺産に登録され、いまなお当時のムードを伝えている。特に見どころなのが、各時代の美学を物語る建築だ。圧倒的な外観と洗練された内装を兼ね備えて感性をとことん磨いてくれる、必訪のスポットをご紹介。

帝政期の栄華を偲ばせるブダペストで新たに息づく、日本人建築家の美意識。

ドナウ川の両岸に市街地が広がるブダペストは、街のシンボルであるセーチェーニ鎖橋を中心に、威厳と気品をたたえる絵画のような佇まいを備えている。特に宮殿を後方に望み石の吊り橋が光り輝く夜景の美しさは有名で、時には戦火に見舞われながら、何世紀も変わらず時の流れを紡いできた。

この橋の目の前に位置するフォーシーズンズ ホテル グレシャム パレス ブダペストは、20世紀初頭に建てられた歴史的建築を改装した宿泊施設。もともとは保険会社の本社ビルとして造られ、時勢に応じて軍の宿舎やレジデンスとして使用されてきたというが、今日もアールヌーヴォーの優美な趣を色濃く残している。

おだやかな気品をたたえてゲストを出迎えるのは、約200万枚ものモザイクタイルとあでやかなシャンデリア、色とりどりのステンドグラス。なだらかで有機的な曲線と内装のシックな色使いが、重厚感を漂わせながらどこか軽やかさも感じさせる。

エントランス奥のラウンジバー「ムーズァ」では、アーティスティックなシグネチャーカクテルをいただくほか、テーブル席でのアフタヌーンティーも楽しめる。ハンガリーを代表する名窯「ヘレンド」の食器で提供される上質なお茶やお菓子は、この空間で過ごすひとときをさらにユニークに彩ってくれそう。

鎖橋の目の前という好立地は、ブダペストの街をめぐるのに最適。白を基調にクラシカルな雰囲気とモダンな利便性がほどよく調和した客室からも王宮や橋がダイレクトに望め、時間帯によってさまざまな表情を見せるその美しさを堪能できる。

Four Seasons Hotel Gresham Palace BudapestBudapest, Széchenyi István tér 5-6 1051https://www.fourseasons.com/budapest

お次は、豪奢なネオルネッサンス様式で建てられたハンガリー国立歌劇場へ。140年以上の歴史を誇る夢幻の空間は、オペラやバレエの本拠地のひとつとしての機能を果たすと同時に、19世紀末から20世紀初頭にかけてのブダペストの勢いを物語る。

ハンガリーはもちろん、オーストリアやフランスなどヨーロッパじゅうの王侯貴族を迎え、娯楽と社交の場として愛されたこちら。贅を尽くして各セクションごとに異なる壁の色や装飾のモチーフを施した内装は、まるで宮殿のよう。絨毯が敷かれた階段の描く絶妙なカーブや、タイルに衣装掛けといった細部のレトロなデザインなど、ふと目を向けた先にもひっそりと歴史情緒があふれている。

ぜひ思いきりドレスアップして芸術鑑賞に訪れたいが、公演と旅程がうまくマッチしない場合は、館内の見学ツアーに参加することでも建物内へアクセスできる。柱の重厚感から天井画の見事さに至るまで、時間の許すかぎりじっくり堪能したい場所だ。

Hungarian State Opera HouseBudapest, Andrássy út 22 1061https://www.opera.hu

一方で、新たな音楽の聖地として2021年に完成したのが、ブダペスト市民公園内の「音楽の家」。周囲の豊かな緑と溶け合うように有機的な佇まいを放つ建物は、日本人建築家の藤本壮介の手によるもの。屋根部分にいくつもの穴を配したり外壁をガラス張りにしたりと、自然光がやわらかく内部へ取り込まれる設計に。自然と建築の境界をなくすことを目指したのだといい、密閉空間になりがちな音楽ホールにはめずらしい造りとなっている。

天井は約3万枚ものプレートで覆われ、さながら建物の外に生えているイチョウの落ち葉を敷きつめたよう。大きな螺旋階段が描くカーブも、森と共生する建物のオーガニックな印象を後押しするポイントだ。

ちなみに実は、同じ公園内の再開発プロジェクトにて、妹島和世と西沢立衛がタッグを組むSANAAが新しい国立美術館の設計を手がけることが決まっているそう。どちらもコンペで偶然日本人建築家の提案が採用されたのだというが、ひとつの敷地内でハンガリーの歴史ある建物と、日本が発信するコンテンポラリーなモダン建築のコントラストを楽しめる貴重なアドレスになること間違いなし。今後も目が離せない。

House of Hungarian MusicBudapest, Olof Palme sétány 3 1146https://zenehaza.hu

多彩な時代の建築が重なり合うプラハは、新旧にわたる見どころが目白押し。

中世の面影を残した美しい景観が高く評価されるプラハ。ロマネスクからゴシックにルネサンス、バロックなど、11世紀から18世紀にかけてのさまざまな建築様式で建てられた建造物が数多く現存し、街全体が"建築の博物館"と呼ばれることもあるのだとか。

アルマナック X アルクロン プラハは、1930年代のチェコスロバキア時代の銀行をリノベーションしたホテルだ。内装の随所にアールデコの要素を取り入れて都会的でヒップな雰囲気を漂わせつつ、シンプルかつ過ごしやすい温かみを感じる空間に。

アールデコの意匠を最も感じられるのが、1階にある「アルクロン・バー」。さまざまな色彩やパターンが見事に調和する華やかでスタイリッシュな空間の中で、このホテルの歴史にインスパイアされた独創的なミクソロジーを体験することができる。

もちろんバーはホテルのゲストだけでなく、ウォークインでも利用可能。大人の遊び心を感じさせる社交場で、プラハで過ごす夜をさらに鮮明に彩ってみて。

Almanac X Alcron PragueŠtěpánská 623/40, Praha 1https://www.almanachotels.com/praguex

プラハでは、さまざまな時代と様式の麗しい建築を堪能する方法として、その空間を活かしたカフェを訪れるという手がある。中でも「グランド・カフェ・オリエント」は、20世紀初頭に興ったキュビズムの理念を反映した建築の内部でティータイムを楽しめる、世界でも稀なスポット。徹底して直線のみで構成された建物が、モダンながらもファンタジックな印象を与える。

階段や照明などの細部に至るまで、空間を幾何学模様の連続として捉える芸術運動を建築へも活かそうとした工夫が見てとれる。上階にキュビズムの博物館、下階にはアクセサリーや食器を扱うショップもあるので、じっくり堪能したい。

Grand Cafe OrientDům U Černé Matky Boží 1st floor, Ovocný trh 19, Praha 1https://grandcafeorient.cz

プラハの街には古い建築ばかりでなく、現代の名作も。その代表が、先日逝去したばかりの巨匠、フランク・ゲーリーによる「ダンシング・ハウス」だ。その通り名のとおり、人が踊るように曲線を描くファサードをはじめ、高さの異なる窓や建物を横切る大胆なカーブラインなど、この街でもひときわ異彩を放つランドマークとなっている。中にはレストランやバー、ホテルが入っており、滞在や景色を通して建築をじっくり味わうことが可能。

Dancing HouseJiraskovo Square 1981/6, Praha 2 Nove Mestohttps://www.dancinghouse.cz

また、近年できた最新スポットのひとつとして注目を集めるのが、旧市街の喧騒から少し離れたエリアで、歴史ある駅に直結する複合施設として産声をあげた「マサリチカ」。こちらはザハ・ハディド・アーキテクツがデザインしたもので、中にホテルやカフェ、レストラン、オフィスがイン。レトロなムードに目が向けられがちな歴史ある都市の景観の中で、新たな感性を体現するスポットとして存在感を確立させている。

MasaryčkaNa Florenci 2139/2, Praha 1https://www.masarycka.com

経由地のイスタンブールでも、文化的背景を映したモダン建築を感じて。

フライトはターキッシュ エアラインズでトルコを経由。アジアとヨーロッパ、アフリカを結ぶ重要なハブ空港であるイスタンブールでは、世界でも有数の利用者数と発着数を誇る。約144万㎡という広さのメインターミナルは"世界最大級の単一屋根の空間"といわれており、建築の観点からも要チェック。デザインには東洋とヨーロッパの建築様式を融合させ、イスタンブールのアイデンティティや豊かな建築史を反映させてあるそう。

ターキッシュ エアラインズのラウンジは空港の上階部分にあるので、大きな屋根を持つ広大な空間の開放感をたっぷりと享受できるはずだ。トルコ料理やトルコの伝統菓子などが所狭しと並び、トランジットの時間だけでも異国情緒を満喫できそう。ちなみに、2025年には成田空港にも世界最大級の大型ラウンジがオープン。世界の中でもイスタンブールに次ぐ大きさの施設として今後も拡大が予定されているというから、出発前の過ごし方の選択肢としてカウントしてみては。

 

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